今の若い人たちは、黒電話を見たことがない人が多いと思います。ましてや、中央のダイヤルを回して、電話番号を入力することを知らない人もいるかもしれません。黒電話の時代には、鑽孔(紙)テープというもので、コンピュータとデータをやり取りしていました。写真の左が5単位の電信用、右側がコンピュータで使われた8単位のテープです。
鑽孔テープとはどんなものかというと、上質な紙でできたテープで、厚さは0.1mm(0.00394 インチ)で、結構、腰がありました。テープの幅は25.4mm(1インチ)である。穴と穴の間隔はどちらの方向でも2.54mm(0.1インチ)です。データ用の穴の直径は1.83mm(0.072インチ)、テープを確実に送るように、フィード用の穴の直径は1.17mm(0.046インチ)穴が未使用のテープでも空いていました。このテープに紙テープ・リーダ/パンチという装置で穴を開けて、データを記録したり、穴の位置から、データを読み取ったりしていました。
テープのフォーマットは上の図のようになっています。テープは、図では下から上に流れていきます。テープの裏表と走行方向がわかるように表側に矢印が、未使用テープに印刷されているものもありました。リーダ/パンチには小さな歯車があってフィード孔が歯と噛み合ってテープを送るようになっていました。テープの作成には、テレタイプに付属している装置も使えましたが、普通は、高速テープ読み取り/鑽孔装置というものを使っていました。テレタイプについている装置は読み取り速度が50バイト/分に対し、高速読み取り装置は300バイト/分と6倍も早かったのです!8kバイトのフォートラン・コンパイラを読み込むのに20分以上かかったと思います。装置にテープを仕掛けて、リードボタンを押してから、コーヒーを飲みに行って、帰ってくるとまだ読み込みが終わっていないという長閑な時代でした。 balconは、データゼネラル社製NOVA というマシンで、紙テープの時代を半年ぐらい経験しましたが、すぐにDEC社製PDPー11のRT-11 オペレーティング・システムでハードディスクの時代に突入したので、先輩たちのように、紙テープを肉眼で読めるようにはなりませんでした。
これが、DEC社製の High speed Paper Tape Reader/Punch (型番PC05)です。中央に読み取りヘッドがあり左から右に紙テープが流れていきます。
写真のはカバーを開けた読み取り部で、テープの穴を光学的に読み取っていました。
simHは、高速紙テープリーダ/パンチ装置をサポートしています。勿論、PiDP-11もサポートしています。紙テープをリーダにセットして読み取りの準備をするコマンドは、コントロールeでsimHに割り込みを掛けてsim>のプロンプトの後に、
attach ptr ********
と入力します。 ptrは 高速紙テープリーダのデバイス名で、******* は読み取りを希望する紙テープのイメージが入ったファイル名です。例えば、data.ptap というファイルに紙テープのイメージが入っている場合は、
attach ptr data.ptap
を入力します。 紙テープをセットして、続行する場合は、continueコマンドで、続行できます。紙テープを、リーダから取り外すには、simhにコントロールeで割り込みをかけて、プロンプトに対して、
detach ptr
と入力すると、リーダからテープが取り外せます。
パンチに新しい紙テープをセットするには、
attach ptp *******
と入力します。********はファイル名ですが、存在しないファイルを指定すると、自動的にファイルを作成して、パンチにセットできます。なお、ptpは、高速紙テープ・パンチのデバイス名です。パンチ装置から、紙テープを外すコマンドは、
detach ptp
になります。
割り込みがかかっている時に、
rm ****** と入力すると、ファイルを消すこともできるので、失敗したテープイメージを削除するのも簡単です。
ゴミ箱がいっぱいになることもありません。仕損じた紙テープが駄菓子屋で売られて、子どもたちが遊んでいた時代もあったようですが。
次回は、紙テープにデータを鑽孔したり、読み取りをしたりしてみます。(高速紙テープリーダ/パンチ装置を使うの巻に続く)