蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

月明かりのベランダで、 銀河を撮影する の巻

2022-06-13 15:00:37 | 天体観測

関東地方は、梅雨入りに入って、このところ曇り空が続いていましたが、昨日は、嘘のような晴れ間が覗きました。2日後には、満月を迎える月明かりのベランダで、近赤外線撮影で、銀河をとってみました。梅雨時期の貴重な晴れ間ですから無駄にはできません。

近赤外線フィルターは、 以前記事にしたMarumi R2を使います。

ベランダから、お気楽近赤外線フィルタ?で銀河を撮る の巻 - 蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

ベランダから、お気楽近赤外線フィルタ?で銀河を撮る の巻 - 蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

前回、いつかは、近赤外線で、銀河を撮ってみたいと書きましたが、ネットサーフィンしていて、偶然に視聴した天文リフレクションさんの「ゲリラライブ・R2フィルターでベラ...

goo blog

 

 

対象は、おとめ座銀河団のNGC 5364、明るさは、10.4等、月が真上で光っています。この条件では、かなり厳しい感じですが、何事も経験です。

スタック中に雲が出てきて20枚で中断。うーん、何か写っているかなぁ。圧倒的に露出が足りません。コントラストも低いです。迷光のせいか、赤いゴーストのようなものまで映り込んで込んでいます。 こんなに明るい夜は、近赤外線でも苦しいか。

気を取り直しして、同じ条件で、M104 みんな大好きソンブレロ銀河、明るさ8.52等。

こちらは、まあ、まあ撮れました。安価な色素フィルターではなく、干渉フィルターならもっと明るく撮れるのかなと思っておりますが、もう少しこのフィルターに付き合って、色々試行錯誤してみる予定です。

 


梅雨入り直前に、球状星団を見る の巻

2022-06-07 10:36:34 | 天体観測

今年も、うっとしい梅雨の季節になりました。この時期の高温多湿は、単に、雲で、天体が見えないだけでなく、機材も、カビ、サビなどの害に侵される頭の痛い季節です。

梅雨に入る直前の束の間晴れ間に、ベランダで球状星団星団を撮影しました。

球状星団とは、数十万個の恒星がお互いの重力で球状に集まって、銀河の中心の周りを周回していおり、多くの球状星団は、銀河のバルジのように古い恒星から構成されていることから、かって、伴銀河だったものが、潮汐力で、周辺の星が剥ぎ取られて、中心部が残ったものと考えられているそうです。

今まで、Balconは、球状星団は、地味な天体だなと思っていましたが、古い過去に、天の川銀河の近くにあって、小さな銀河だったと思うと、少し見方が変わって来ました。

今回は、高橋のミューロン180cに レデューサをつけて、焦点距離1800mmで、サイトロンのComet BP フィルターを使用して、へびつかい座のメシエ10、12を撮影しました。

前回作製したフードも使用しています。

この二つの球状星団は、双眼鏡で見ると同一視野に入るぐらい近くに見え、どちらも、シャルル・メシエが発見しましたが、星を含まない星雲として記録したそうです。星を分離したのは、ウイリアム・ハーシェルでした。当時、ハーシェルは、途轍も無く巨大な反射望遠鏡を持っていました。

では、M10です。距離は、14300光年

お次は、M12。距離は、16000光年。

M10のほうが、少し派手な感じですが、よく似た天体です。


遠征2日目 マルカリアンの鎖 の巻

2022-05-10 11:12:14 | 天体観測

遠征 第一日は、気温が2℃まで、下がって初めての鏡筒ヒーターの出番となりました。SV bony製の野菜たっぷり塩タンメン3杯分で購入したもので3段階切り替え付きですが、弱で、鏡筒に触るとほんのりと温かく感じます。

今日は第二日です。晴れているので、期待できますが、山の天気はは変わりやすいので油断はできません。昨日は、フィルターなしで、系外銀河を撮影することができたので、この辺りの光害マップを参照してみます。

Light pollution map

普段、観測している場所は、ブルーの丸で表されている都内ですが、都心よりややマシの光害地です。今回の遠征地は赤丸の場所で、車で約3時間ほどの移動になります。甲府から松本にかけて、中央高速沿いに明るいベルトが走っていますが、高速を降りてから、30分ほど八ヶ岳方向に登っているので、このマップではぎりぎりグレーの領域に入っています。

赤道儀は、電装品と鏡筒を外して、ゴミ袋を掛けたままベランダに置いてあるので、2日目は、極軸合わせを省略して撮影に入ります。まずテストとして、しし座のお腹の辺りのM95、M96を狙います。もちろんフィルターは無しです。

こんな感じで写りました。ASI AIR のプレートソルビングによるアノーテションはこんな感じです。

写真が悪いので、恐縮ですが、一応写っている銀河の名前は、わかります。

本日のメインは、マルカリアンの鎖です。この天体も、自宅のベランダでは、庇が邪魔になって、見えません。wikipediaによれば、

おとめ座銀河団の一部を構成する銀河の線状の集団である。地球から見た場合、各メンバー銀河は、なめらかな弧を描く曲線状に乗って見えるので「鎖」と呼ばれている。この集団は、1960年代に、この集団の共通する固有運動を発見した、アルメニア (旧ソ連) ・ビュラカン天文台の天文学者であるB・E・マルカリアンにちなんで命名された[4]。メンバーの銀河は M84 (NGC 4374), M86 (NGC 4406), NGC 4477, NGC 4473, NGC 4461, NGC 4458, NGC 4438 および NGC 4435であり、概略位置は、赤経  12h 27m赤緯 +13° 10′ である」

とのことで、星図ではこんな感じ。

グレーのハッチが入っている領域がおとめ座で、白い部分がかみのけ座の領域に当たります。

赤い線に沿って銀河が並んで見えます。とにかくこの当たりは銀河が、たくさん存在します。

写真は1時間の露出のつもりが、途中で寝落ちして、1時間15分の露出になってしまいました。

憧れのマルカリアンの鎖も撮れたので、今回の遠征は終了、明日は自宅に戻ります。

 

 

 


ベランダで、本当のメトカーフ追尾 の巻

2022-01-12 15:18:11 | 天体観測

メトカーフ追尾に挑戦してみました。Leonard彗星の近日点を挟んだ1月2日、1月4日の2日メトカーフ追尾で、この彗星を撮影しました。忘れないうちに、記事にします。

Leonard彗星の近日点通過は、2022年1月3日だったのですが、近日点通過付近はでは、速度が65km/secと一番早くなります。この速度だと、10分ちょっとで、地球を一周するぐらい早さです。もちろん天球上を、異様な方向と速度で横切りますから、赤道儀の通常の追尾では、対応できません。20世紀の銀塩写真時代にでは、ガイド鏡を覗いて、十字線にコマを捉えて、手動追尾するか、後付けの「コメットトラッカー」という装置に赤緯、赤経、の移動量をセットして、自動追尾したようですが、この装置、価格が赤道儀並みに高価でしたので、Balcon は現物を見たことがありません。

21世紀のLosmandyの赤道儀コントローラ、Gemini II は、単体で、彗星を追尾できる機能があるので、これを利用します。まず彗星のデータを収集します。

撮影は、日没後、薄明の時期に行うので、17:00と18:00の彗星の、赤経(RA)、 赤緯(DEC)を、プラネタリウムアプリで求めます。今回、SkySafari  pro を使いました。

1月2日17:00:00に時刻をセットして、検索機能でBlightest Cometsを検索すると、C/2021 A1(Leonard)が一番上に出てくるので、これを選択します。

すると彗星のデータが表示されます。このデータから、RA、DECを拾います。

このようにして、

17:00 RA=21h35m53.78s、 DEC=-35°23'39.3"

18:00 RA=21h35m58.77s、 DEC=-35°24'0.21"

を得ました。17:00から18:00までの1時間の差分は、

ΔRA = 00h00m04.99s、ΔDEC= -00° 00'22.80"

と計算できました。

これをLosmandy の赤道儀に入力します。

ハンドコントローラのMenu(メニュー)から、TRACK(追尾)を選択します。図A

出てきた選択枝の中からUser Define のボタンをタップして(図B)

Delta RA、Delta DEC、 Time Span、に値を入力します。小数点以下は入らないので、四捨五入して入力して、Setを押すと(図C)、マジックナンバーが計算されて、Comet/UserDefinedモードにチェックが入り設定されます。(図D)

 

あいにく、水平線近くの大気散乱光が明るく、30秒しか露出を掛けられなかったため、背景の恒星があまり流れていませんがこんな感じで撮れました。

近日点通過の1月3日は、水平線に雲が出ていて観測出来ず。近日点通過後の1月4日に、再度、メトカーフ法で撮った写真は、露出を60秒まで取れたので、恒星がもう少し流れています。

近日点通過前後で、核が崩壊することもなく、Leonard彗星は、太陽系を飛び去っていきそうです。北半球での観測は今後厳しくなるとのことで、ベランダからはこれが最後になります。

メトカーフ法らしい、背景の恒星が流れるような長い露出が撮れなかったですが、別の彗星で、太陽から離れていて、長い露出がかけれる状況で、もう一度、メトカーフ法にトライしたと思います。


FSQ レデューサのファースト・ライト の巻

2021-12-31 23:41:08 | 天体観測

今年最後の投稿になります。

高橋製作所のFSQ85 edpと同時購入したレデューサを使ってみました。FSQ85は、別売りのレンズを組み合わせると3種類の焦点距離を使うことができます。素の状態では、450㎜(F5.3)、レデューサを組み合わせて、327mm(F3.8)、エクステンダを使えば、 680mm(F8.0)となります。

レデューサは、カメラ回転装置のすぐ後に取り付け、短い延長筒(CA-35)を介してカメラマウント(DX-WR)に接続します。

焦点の位置は、焦点距離450mmのときと、ほぼ同じか、やや、後方に来ます。

今回は、オリオン大星雲を撮影しました。印象としては、かなり明るくなり、撮影時間を短縮できます。

露出は、0.2秒を 400枚スタックに5秒を100枚スタックして総露出時間 580秒(9分40秒)でこんな感じになりました。

焦点距離450mmで撮ると、総露出時間32分でこんな感じ。この撮影日はシーイングも良くて、単純には比較できませんが。

少しレデューサをいろいろ使い込んで、時短を図りたいと思います。

今年も最後になりました。天文趣味に復帰して、東京都内のベランダからでも、いろいろな天体写真が撮れることがわかり、いろいろ楽しんでいるうちに、約1年が過ぎました。こんな光害がひどいところでも、月、惑星は、もとより、惑星状星雲、銀河、彗星なども、カラー写真にとれることがわかり正直驚いています。技術の進歩によるところが多いとは思いますが、特に、ZWO社のASI air proによるプレートソルビング、電子観望(Live stack)の助けがなければ、ここまで、来なかったと思います。

来年の抱負としては、ベランダから、近くの公園に足をのばして、ベランダからは、見えない北天の天体を狙ってみたいと思っています。このような忘備録的なブログでも、訪問してくださる少数の方々に感謝しつつ年を越したいと思います。ありがとうございました。よいお年をお迎えください。


PVバーナー

PVアクセスランキング にほんブログ村