メトカーフ追尾に挑戦してみました。Leonard彗星の近日点を挟んだ1月2日、1月4日の2日メトカーフ追尾で、この彗星を撮影しました。忘れないうちに、記事にします。
Leonard彗星の近日点通過は、2022年1月3日だったのですが、近日点通過付近はでは、速度が65km/secと一番早くなります。この速度だと、10分ちょっとで、地球を一周するぐらい早さです。もちろん天球上を、異様な方向と速度で横切りますから、赤道儀の通常の追尾では、対応できません。20世紀の銀塩写真時代にでは、ガイド鏡を覗いて、十字線にコマを捉えて、手動追尾するか、後付けの「コメットトラッカー」という装置に赤緯、赤経、の移動量をセットして、自動追尾したようですが、この装置、価格が赤道儀並みに高価でしたので、Balcon は現物を見たことがありません。
21世紀のLosmandyの赤道儀コントローラ、Gemini II は、単体で、彗星を追尾できる機能があるので、これを利用します。まず彗星のデータを収集します。
撮影は、日没後、薄明の時期に行うので、17:00と18:00の彗星の、赤経(RA)、 赤緯(DEC)を、プラネタリウムアプリで求めます。今回、SkySafari pro を使いました。
1月2日17:00:00に時刻をセットして、検索機能でBlightest Cometsを検索すると、C/2021 A1(Leonard)が一番上に出てくるので、これを選択します。
すると彗星のデータが表示されます。このデータから、RA、DECを拾います。
このようにして、
17:00 RA=21h35m53.78s、 DEC=-35°23'39.3"
18:00 RA=21h35m58.77s、 DEC=-35°24'0.21"
を得ました。17:00から18:00までの1時間の差分は、
ΔRA = 00h00m04.99s、ΔDEC= -00° 00'22.80"
と計算できました。
これをLosmandy の赤道儀に入力します。
ハンドコントローラのMenu(メニュー)から、TRACK(追尾)を選択します。図A
出てきた選択枝の中からUser Define のボタンをタップして(図B)
Delta RA、Delta DEC、 Time Span、に値を入力します。小数点以下は入らないので、四捨五入して入力して、Setを押すと(図C)、マジックナンバーが計算されて、Comet/UserDefinedモードにチェックが入り設定されます。(図D)
あいにく、水平線近くの大気散乱光が明るく、30秒しか露出を掛けられなかったため、背景の恒星があまり流れていませんがこんな感じで撮れました。
近日点通過の1月3日は、水平線に雲が出ていて観測出来ず。近日点通過後の1月4日に、再度、メトカーフ法で撮った写真は、露出を60秒まで取れたので、恒星がもう少し流れています。
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近日点通過前後で、核が崩壊することもなく、Leonard彗星は、太陽系を飛び去っていきそうです。北半球での観測は今後厳しくなるとのことで、ベランダからはこれが最後になります。
メトカーフ法らしい、背景の恒星が流れるような長い露出が撮れなかったですが、別の彗星で、太陽から離れていて、長い露出がかけれる状況で、もう一度、メトカーフ法にトライしたと思います。