蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

天文台日記 の 巻

2022-01-25 13:23:20 | 日記

ここのところ、本業がとても忙しくなって、なかなか更新ができません。

時間が取れないこともさりながら、ウィルス感染予防の要、免疫力の大敵である睡眠不足、寒冷は、ベランダでの天体観測に大逆風となっています。 ということで、部屋の中でヌクヌクと読書三昧の日々を送っています。天文関係では、kindleで、石田五郎さんの「天文台日記」を読了しました。

東京大学東京天文台(現 国立天文台)岡山天体物理観測所に長く勤務された石田さんが1960年代の観測の日々を、日記形式で綴っっています。Balconが天文に興味を抱いた頃、プロの天文学者の日常が垣間見られて、興味深かったです。

当時は、 CCD もなく、感光剤を塗った4x11cmのガラス乾板に、スペクトルを記録する毎日だったようです。自動導入はできたようですが、ガイドは手動で行っていたようです、露出時間もめちゃくちゃ長くいようで、防寒着を着てコントローラで追尾していたようです。ここのメイン望遠鏡は188cm反射望遠鏡で、現在でも、系外惑星の観測に使用されています。

この頃、Balconのいた天文部では、短波放送のJJYの日本標準時放送を聞きながら、ストップウオッチで、月による恒星の掩蔽を観測したり、モノクロのコダックトライXで、文化祭用の星雲の撮影とかをしていたと思います。夜更かしが不得意ないBalconは、もっぱら、昼休みに前日に撮影したフィルムを暗室で現像する係だったと記憶しています。

先人の苦労を偲びつつページをそっと閉じました。


ベランダで、本当のメトカーフ追尾 の巻

2022-01-12 15:18:11 | 天体観測

メトカーフ追尾に挑戦してみました。Leonard彗星の近日点を挟んだ1月2日、1月4日の2日メトカーフ追尾で、この彗星を撮影しました。忘れないうちに、記事にします。

Leonard彗星の近日点通過は、2022年1月3日だったのですが、近日点通過付近はでは、速度が65km/secと一番早くなります。この速度だと、10分ちょっとで、地球を一周するぐらい早さです。もちろん天球上を、異様な方向と速度で横切りますから、赤道儀の通常の追尾では、対応できません。20世紀の銀塩写真時代にでは、ガイド鏡を覗いて、十字線にコマを捉えて、手動追尾するか、後付けの「コメットトラッカー」という装置に赤緯、赤経、の移動量をセットして、自動追尾したようですが、この装置、価格が赤道儀並みに高価でしたので、Balcon は現物を見たことがありません。

21世紀のLosmandyの赤道儀コントローラ、Gemini II は、単体で、彗星を追尾できる機能があるので、これを利用します。まず彗星のデータを収集します。

撮影は、日没後、薄明の時期に行うので、17:00と18:00の彗星の、赤経(RA)、 赤緯(DEC)を、プラネタリウムアプリで求めます。今回、SkySafari  pro を使いました。

1月2日17:00:00に時刻をセットして、検索機能でBlightest Cometsを検索すると、C/2021 A1(Leonard)が一番上に出てくるので、これを選択します。

すると彗星のデータが表示されます。このデータから、RA、DECを拾います。

このようにして、

17:00 RA=21h35m53.78s、 DEC=-35°23'39.3"

18:00 RA=21h35m58.77s、 DEC=-35°24'0.21"

を得ました。17:00から18:00までの1時間の差分は、

ΔRA = 00h00m04.99s、ΔDEC= -00° 00'22.80"

と計算できました。

これをLosmandy の赤道儀に入力します。

ハンドコントローラのMenu(メニュー)から、TRACK(追尾)を選択します。図A

出てきた選択枝の中からUser Define のボタンをタップして(図B)

Delta RA、Delta DEC、 Time Span、に値を入力します。小数点以下は入らないので、四捨五入して入力して、Setを押すと(図C)、マジックナンバーが計算されて、Comet/UserDefinedモードにチェックが入り設定されます。(図D)

 

あいにく、水平線近くの大気散乱光が明るく、30秒しか露出を掛けられなかったため、背景の恒星があまり流れていませんがこんな感じで撮れました。

近日点通過の1月3日は、水平線に雲が出ていて観測出来ず。近日点通過後の1月4日に、再度、メトカーフ法で撮った写真は、露出を60秒まで取れたので、恒星がもう少し流れています。

近日点通過前後で、核が崩壊することもなく、Leonard彗星は、太陽系を飛び去っていきそうです。北半球での観測は今後厳しくなるとのことで、ベランダからはこれが最後になります。

メトカーフ法らしい、背景の恒星が流れるような長い露出が撮れなかったですが、別の彗星で、太陽から離れていて、長い露出がかけれる状況で、もう一度、メトカーフ法にトライしたと思います。


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