蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

久しぶりの更新 (PiDP-11 を使う その1)

2023-11-29 14:58:56 | コンピュータ

 

新しいブツを手に入れましたので、しばらくぶりに更新します。天文ネタからからは、しばらく離れるのでご了承ください。ブツとはこれです。

これは、21世紀に蘇ったPDP-11です。PDP-11といっても何のことだかわからないという方がほとんどだと思いますが、簡単に説明すると、1970〜1990年ごろまで、一世を風靡したミニコンピューターです。この私も、大学院生の頃に実験でお世話になりました。当時の大ベストセラーで、当時の理系の学生だったら、どこかで、お目にかかったことがあるではないかと思います。私もプログラムをゴリゴリ書きました。遠い昔の思い出。

21世紀になって、忘れ去られていたブツですが、これを再生してキットで販売している方がいます。詳細は以下リンクを

PiDP-11 | obsolescence

一目見た途端に、「ワ〜、懐かしい〜、欲しい〜」となって予約してしまいました。キットなので、部品をはんだ付け、ねじ止めしたり、電源、ファンなどを別途、調達して、自分で組み立てることになりますが、日本語ページでも、組み立てについては情報がありますし、詳細なマニュアルが用意されていて、その通りに作れば、迷わず完成します。私の場合、基板だけなら、実働3時間x3日で火を入れるところまで行きました。その後、台座のオイルフィニッシュや、裏蓋の加工の方が時間をくいます。こちらは延べ約1週間ほどかかりました。何といっても、youtube に制作動画が上がっているので、私ごときが何も書くことはございません。しかし一言、あまり指摘されていませんが、はんだ付けには、フラックスを用意した方が良いです。特に、トグルスイッチを基板に直付けするときには、液体フラックスを塗るとしっかりはんだが馴染んで良いです。こんなにはんだ付けをしたのは、学部生の頃以来でした。

このPiDP-11、完成するまでは、情報には困らないのですが、完成した後、どのように、いじり倒すのかということについては、ほとんど情報がないので、オヨバスナガラ、この私が少々情報を発信してみたいと思います。(つづく)


グリニッジ天文台再訪の巻 その1

2022-09-05 13:38:22 | 日記

新型コロナ感染の第7波の到来の対応に多忙をきたしたため、更新が止まってしまいました。

グリニッジ天文台を3年ぶりで再訪しました。前回は、まだ、新型コロナ感染が深刻化する前でしたが、今回は、日本では第七波の真っ只の8月でしたが、ロンドンでは流行は終息したようで、マスクをしている人もほとんどいないし、英国入国もフリーパスで、日本とはだいぶ違う雰囲気でした。

 

グリニッジの思い出 の巻 - 蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

まだコロナ禍が起こる前の2019年、ロンドンの外れのグリニッジ天文台(RoyalObservatory,Greenwich)を観光してきました。Wikipediaによれば、ロンドン中心部から5km離れてい...

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前回紹介出来なかった(見落としていた)ものを紹介します。

まず、ウイリアム・ハーシェルの望遠鏡の一部、天文台に入ってすぐのところにあります。これがハーシェルの望遠鏡のどの部分かはわかりませんが、屋外にゴロンと置かれています。

ウイリアム・ハーシェルは、天王星の発見者として有名ですが、当時は、音楽家としても、また望遠鏡制作でも知られていました。彼の製作した焦点距離40フィート(12m)反射望遠鏡は、当時世界最大でした。

wikipediaより

この絵は、子供の頃読んだ「宇宙のふしき」にも載っていたような気がします。望遠鏡基部の小屋が印象的でした。

私にとってハーシェルは、天王星の発見よりも、初めて天の川銀河の形を観測によって推定したという点が偉大だと思います。

ハーシェルは、すべての恒星の明るさが同じと仮定して、恒星の分布と、見かけの明るさから、推定した恒星の分布から、円板状銀河を描きました。

人類史上、初めての観測に基づく最初の天の川銀河の図です。当時は、天の川銀河=宇宙でしたから、宇宙はこんな感じと理解していたはずです。

(その2に続く)


R200ssに電動フォカッサ(EAF)を取り付ける の巻

2022-07-04 09:25:52 | 機材

上海のコロナ騒ぎで遅れていたZWO社のEAF(電動フォカッサ)が届きました。

今回は電動フォカッサ以外に同時発注したオプションの温度センサと、星見屋さん特製のR200ss用取り付け金具が同梱されています。

内容物は、こんな感じ。

丸で囲われたアルミの板と六角ネジが2本が星見屋さんの取り付け金具です。残りは、ZWO社の純正部品になります。ラックアンドピニオン軸に接続するアダプタは軸径に合わせて、4種類入っていますが、取り付け金具は、ひとつで済ませるようになっています。 あとは、ネジ、ワッシャー、六角レンチなどが含まれています。自前で用意するものは、十字ドライバと星見屋さんのネジ用の六角レンチが必要です。

説明書がなかったので迷いましたが、どうやら、星見屋さんのアルミ板は、合焦用のラックアンドピニオンのギヤボックスの金属カバーと、純正取り付け金具の間に挟むスペーサのようです。

c、d、eのネジを外せば、取り付けられると思われまが、a〜dまでのネジには、ワッシャがそれぞれカバーの両面に2枚入っているので、結局全てのネジを外すことになりました。

組んでみると、ステップモーターが脱調して回りません。どうやら a〜dのネジのトルクで、合焦ノブの硬さを調整するようです。外すとき、やけに緩く締めてあるなとは思いましたが、やっとガッテンしました。高橋のFSQ85edp のときとは、勝手が違いました。

 

FSQ85edをオートフォーカス化する の巻 その1 - 蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

FSQ85edを購入してからの懸案だったオートフォーカス化が終わりました。なぜ、懸案だったかいうと、改造は、製品保証を無効にするかもしれないので、保証期間が過ぎてからし...

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Vixenやってくれます。

もう一回、組み直して、合焦ノブの硬さを調整して、やっと、スムーズに動くようになりました。

ステッピングモータのステップ数と、ドローチューブの繰り出し量を見てみました。繰り出し量は、ノギスで、0.1mmまで、測定しています。

測定誤差が0.05mmはあると思われるので、まあこんなものでしょうか。回帰直線から、1ステップあたり、約4.2μmです。

許容錯乱円直径の大きさをよく使っているCMOSカメラ(ASI 294mc pro)の3.75μmとして、コマコレクターPH使用時のR200ssのF3.8で計算した焦点深度は、28.5μmなので、ステップ数に換算すると6.7ステップになります。詳しくは、こちら。

 

FSQ85edをオートフォーカス化する の巻 その2 - 蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

ZWOのEAFをASIIairproと接続するには、USBケーブル一本を繋げば完了です。ところがここで問題発覚。ASIairprpにはUSB2.0が、2口、USB3.0が2口ありますが既に全部埋まってい...

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微動で、3ステップ単位で動かすと、焦点深度内に一回は、入ると考えられますから、Balconが手動で合わせるよりは、精密にピントが出るように考えられます。

結論 : 付けて良かったEAF。


R200ssの星像テスト の巻

2022-06-26 11:43:05 | 機材

6/24の晩は、薄曇りで、風が強い晩でしたが、帰る途中で空を見上げるとスピカが見えたので、新しく購入したビクセンR200ss反射望遠鏡の星像を、見てみました。

家に戻ると早速、ベランダの赤道儀に、R200ssを搭載して、主鏡の温度順応をします

鏡筒全体にアルミ蒸着フィルムが巻いてありますが、温度順応中は、後端の部分を、開放して、主鏡の部分を露出しています。

カメラの固定は、コマコレクターPHにビクセンの直焦アダプター60を結合して、ASI 294 mc pro に、ZWOのカメラアダプターを付けて結合しています。このままでは、僅かに合焦しないので、ZWOのカメラアダプターとCMOSカメラの間に、カメラ付属の42mmの延長筒を挿入して合焦を得ています。フィルターは、Marumiのステップダウンリング(52->48mm)をコマコレクターの前にねじ込んで、48mm径のフィルターを使っています。今回は、サイトロンのComet BP フィルターを装着しました。

 

R200ssに付属のアリガタレールは、ロスマンディの赤道儀には、長さが足らないので、サードパーティの長いものと交換しました。赤道儀のバランスは、5kgのカウンターウェートで容易に取れました。

またビニール製の持ち手が鏡筒バンドの上部にねじ止めされていましたが、これもサードパーティのビクセンサイズのアリガタレールと交換して、ガイド鏡とASI AIR  plus を固定しています。

このように書くとあっさり出来たようですが、3週間ぐらい試行錯誤をしたり、足りないものを発注したりした結果、何とか、システム一式のー取り付けが出来ました。

新しく用意したもの

カウンターウェート 5kg

ステップダウンリング 52mm->  48mm

アリガタレール 2本

1時間の温度順応の後、アルミ蒸着フィルムを閉じて星像のチェックをしました。生憎の強風でガイドが安定しませんが、今日を逃すと、また、しばらく星を見れないと思うので仕方ありません。今回は、おとめ座の1等星スピカを使います。大体の方向に向けて、プレートソルビングで、一発導入できました。

まず焦点内外像を見ます。

中央遮蔽の影が、オフセットしていますが、斜鏡がオフセット鏡なのでこんなものでしょう。回析による干渉リングは、スパイダーの交点を中心に同心円をつくっているようなので、問題ないようです。

フォーカスマスクを使ってきっちりピントを出そうとすると、かなり微妙な調整を必要とします。ZWOの電動フォッカッサ(納品待ち)を取り付ける予定で、減速装置は付けていないので、苦労しました。

フォーカスを合わせたところで、Spicaを撮影。

センサーサイズは、フォーサーズですが、周辺の星像も丸く写っています。星の数が少いのは、強風で煽られて、ガイドがさんざんなため、3秒の露出時間しか取れなかったせいです。周辺減光も許容範囲だと思われます。

フィルターによるケラレやゴーストもないようです。

中心部分を拡大すると   スピカの周りに非対称のハローが纏わりついて見えますが、ドローチューブが、悪さをしているせいかもしれません。スパイダーの回析による光条は、特に問題があるようには見えません。

 

まとめ

ビクセンの反射望遠鏡、R200ssの星像をコマコレクターPHを装着して、Spicaでチェックした。

フォーカス調整は微妙な操作が必要で、減速装置または、電動フォカッサが必要と思われた。

フォーサーズセンサーをつけたCMOSカメラでは、焦点内外像、周辺星像、周辺周辺減光、回析光条には特に問題がなかった。

R200ssは工場出荷状態で、写真撮影に問題がないように調整されていた。

※共栄さんの情報によれば、ASI AIR plus の技適承認が、取れる目処が立ったようです。

 


中華レーザコリメータをコリメートする の巻

2022-06-20 09:53:47 | 機材

梅雨で、ベランダ観測ができません。その間、機材をチェックして、梅雨明けに備えたいと思います。

初めての反射望遠鏡望遠鏡R200ssを購入したので、いつかはしなければならないニュートン反射望遠鏡の光軸調整の準備をぼちぼちすることにします。手始めに、レーザコリメータを導入しました。SVbonyという中華のメーカーです。コリメータ外径は、31.5mmで、2インチのアダプターが付いています。

さすが、中華製だけあって価格は、戦闘的ですが、評判は、2つに分かれます。良品に当たった方は安くて、役に立つという評価なのですが、そうでない品物に当たった方は、光軸がズレていて、使い物にならないゴミという散々な評価のようです。Balconには良品が当たったのでしょうか?早速、テストして見ます。

我が家で、一番距離が取れる。廊下の端に、ターゲットを置いて、AZGTi軽緯台に、FMA180のレンズを外した鏡筒を固定して、末端にR200ssの接眼アダプターを取り付けて、レーザコリメータを挿入しました。コリーメータを360度回転すると、どうやら、ハズレを引いたみたいです

コリメータの軸に、レーザ発振器の軸が一致してない場合は、下の図のように、コリメータを軸に沿って回転させると、レーザの軌跡は円周状に移動します。

コリメータの中心はこの円の中心にあるので、ターゲットの中心から、一番離れた位置で、レーザを固定している三つのイモネジをズレが半分になるように、調整してから、ターゲットの中心にレーザを当て、再度、コリメータを回転させ、光軸を追い込んでいきます。 極軸望遠鏡の光軸を赤経軸に合わせる要領と似ています。

調整用イモネジは、柔らかい樹脂で、封印されていますが、2mmの六角レンチを穴に入れて、掻き出すことがができました。

やってみると、R200ss接眼部とコリメータの間に隙間(遊び)があって、中々位置が決まりません。セロファンテープをコリメータの先端に1重巻くと、あそびがなくなりましたが、今度は、 コリメータが、テイルヘビーで、手を離すと、重力で、僅かに下方にズレて、レーザ光が、上に踊ります。

そこで、重力の影響で、コリメータが動くのを防ぐために、今度は、写真のように、床に向けてレーザを垂直に照射することにしました。

 

床に鉛直になるように、錘を垂らして鏡筒が、真下を向くようにして、ターゲットを床に置きます。これでは、RS200ssの焦点距離の2倍くらいしか距離が取れませんが、コリメータを回転して、手を離してもレーザビームがぴたりと止まるようになりました。軽緯台は固定して、レーザの照準は、ターゲットの移動で、合わせるようにしました。その後2mmの六角レンチで三箇所のイモネジを調整します。

最終的な結果はこのようになりました。まず、レーザビームが、ターゲットの中央に来るようにターゲットを設置します。

コリメータを180度回転します。レーザビーム移動幅は、レーザビームそのものの幅以内の誤差になりました。これ以上、追い込みを続けるとかえって、悪くなるような気がして、今回はここで終了します。

今回のまとめ

廉価な中華性レーザコリメータの光軸は、あまり当てにならない。

光軸合わせは、樹脂で埋められているが、3箇所のイモネジを2mm径の六角レンチで、調整して合わせることができた。

コリメータと接眼部との遊びは、セロテープを巻くことによって、実用範囲に狭めることができた。

光軸合わせは、水平方向で合わせるよりも、三脚から眺め下ろすように、垂直方向で合わせた方が、精度を出し易い。

 


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