蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

FSQ85edをオートフォーカス化する の巻 その2

2021-11-25 12:12:32 | 天体観測

ZWOのEAFをASI I air  pro と接続するには、USB ケーブル一本を繋げば完了です。

ところがここで問題発覚。ASI air prp にはUSB2.0が、2口、USB3.0が2口ありますが既に全部埋まっています。カメラにUSBハブが内蔵されている冷却カメラは問題ないのですが、非冷却カメラと組み合わせて使うときは、別途USBハブを用意しなけれなりません。

Amazonから、「野菜たっぷり塩タンメン」1杯分の価格のUSBハブを購入しました。 ガイドカメラとGM8赤道儀通信用のケーブルを引っ越して、USB2.0の本体コネクタを一つ空けました。

EAFの消費電流はマニュアルが改訂されていないので不明ですが、ひとつ前の12V電源のモデルは0.5Aと大きいので、このモデルもかなり大きな電流が要求されると思われます。したがって、EAFのケーブルは、ASI air  pro本体に直接接続する方が良さそうです。ハブと本体は。粘着ベルクロでハブを固定しています。

 

次にEAFの動作を検証してみました。ASI air proに接続すると、EAFの設定画面に入れるようになります。

現在位置が current にステップ値で表示されています。gotoに値を入れると、その値の位置にドローチューブが移動ます。

 

ステップ値と、ドローチューブの繰り出し量を調べてみました。一番縮めたときに重なるところに合わせて鏡筒側と、ドローチューブ側に目印のビニールテープを貼って、ノギスを当てて10分の1mmまで測定します。

ノギスが入るところから、ドローチューブが伸びきるところまで、測定したのが下のグラフです。

デフォルトの設定では、伸びるにしたがって、ステップが減少していきます。 設定でreverse スイッチを入れれば、逆転できると思いますが、面倒なので、デフォルトのままにしています。グラフの直線性は、ドローチューブの工作精度とステッピングモータの回転角の精度に依存しますが、どちらにも問題ないようです。回帰直線から求めた1ステップ当たりの移動量は、 0.00425mm 。FQS 85 ed のラックアンドピニオンの減速比では、1ステップで4.25 μm移動することになります。 距離分解能は、8.5 μmと見ておけばいいでしょう。

ASI 294 mc  pro と併用する場合、センサのピクセルサイズが、4.63μmとして、許容錯乱円直径(δ)をその半分とすれば、焦点深度は 2ε = 2・δ ・F  で計算されます。 FSQ85eDの場合、F =5.3なので、焦点深度は、24.5μmになります。理論上は、無事に焦点深度内に、ドローチューブを移動できそうです。

もうひとつBalconが所有しているASI  224mcのピクセルサイズは、3.75μmなので、こちらの焦点深度は、19.9μmです。厳しくなりますがピントは、なんとかギリギリ合わせられると思います。

一方、許容錯乱円直径を、FSQ85edのスポットダイアグラムから求めると、視野の中心で、95%の光量は、直径12μmのディスクに収束するようなので、許容錯乱円直径はその1/2の6μmとして、焦点深度は、31.8μmと計算されます。これならEAFは余裕で、焦点を合わせられると思います。最近のセンサの分解能は、望遠鏡の性能を超えているの実感しました。

Balconが、20世紀天文少年の頃、銀塩フィルムの許容錯乱円(直)径は、30μmと言われていました。F5.3の焦点深度は、160μm、0.16mmもありました。最近のCMOSカメラの、フォーカス合わせが、いかに厳しいかよく分かる結果です。 特に、F値の小さい明るい鏡筒では、手動で焦点を合わせる場合、細心の注意が必要と思われます。

次回は、実際の天体にフォーカスしてみます。

 


FSQ85edをオートフォーカス化する の巻 その1

2021-11-21 12:00:35 | 天体観測

FSQ85edを購入してからの懸案だったオートフォーカス化が終わりました。なぜ、懸案だったかいうと、改造は、製品保証を無効にするかもしれないので、保証期間が過ぎてからしようかなと思っていたのと、いくつかの疑問があったからです。

Q1: 合焦つまみの外し方

Q2:オートフォーカスユニットを取り付けた後に、指で合焦つまみを回してピントを合わせることもできるのか

 

ZWOのオートフォーカスユニット、EAFのタカハシのFQSシリーズへの設置方法は、取り付け金具を販売している共栄産業さんサイトに写真入りで出ているのですが、なぜか、合焦つまみの外し方の情報がありませんでした。

https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/zwo-eaf-atm.html

これが分からないと、先に進めません。というわけで、ZWO のオートフォーカスユニットEAFとFSQ用の取り付け金具は、中に浮いた形になっていました。

あはは、塩漬け中に、箱が焼けてしまいました。

ところが、冬が近づくにつれて、ベランダに長くいるのが辛くなってきました。

また、老眼の身で、慣れない液晶画面を覗き込んで、ピントの山を追い込むのも難しく感じるようになりました。

暖かい居間で、お気楽に撮影できればいいなということで、FSQ85eへの取り付けに本腰を入れることにしました。

Q1の答

FSQ85edの合焦つまみは、2つのイモネジで固定されています。このイモネジは、緩み留めで、緩まないようにさらに止められています(高橋製作所調べ)。 イモネジは同一サイズで、90度の角度の位置にあります。マイナス、プラスの精密ドライバから始まる長い試行錯誤の結果、イモネジには1.5mmの六角レンチが合うことがわかりました。

緩み留めを溶かす溶剤を滴下してしばらく置いてから、外すのがよいでしょうが、Balconは、何も前処置なしに、力まかせに回しました。良い子は真似をしないように。

 

後は、共栄さんの説明通りに、組み込みます。特に問題なく終了。

 

 

Q2の答

ステッピングモーターを減速ギアを介して合焦シャフトに直結する形になります。思ったとおり、指では回せなくなりました。手動で合焦するときには、オプションのコントローラが必要になります。もう一つ、EAFには5VのUSB電源も必要です。コントローラには、粗動・微動の切り替えスイッチと、ドローチューブを出し入れするためのスイッチが付いています。

Balconは、環境温度を測るセンサが欲しかったので、オプション付きセットを購入しましたが、ASI air  pro と併用するならば、必ずしも必要は無いと思います。ただし、環境温度の変化は、ピント位置が変化するので、温度センサは、あったほうが安心です。特に暖かい部屋で操作しようなんて考えている場合、ベランダの温度が想像できなくなってますから。温度センサだけで、別売されるといいと思います。

次回は、EAFを ASI air pro で操作するというテーマで記事を書く予定です。

本記事は、望遠鏡の改造を勧めるものではありません。改造には、リスクが伴うので、ご自身の判断責任でお願いします。 仕様は、予告なく変更されることがあります。


ベランダから、お気楽近赤外線フィルタ?で銀河を撮る の巻

2021-11-14 09:30:46 | 天体観測

前回、いつかは、近赤外線で、銀河を撮ってみたいと書きましたが、ネットサーフィンしていて、偶然に視聴した天文リフレクションさんの「ゲリラライブ・R2フィルターでベランダ電視」というyoutube動画を見て、すっかり火が着いてしまいました。

天文ファンの金銭感覚的には、「マルミのR2フィルタ48mm径はすごく安い」です。あるもので済ます耐乏生活中のBalconが、お昼にちょくちょく食べている“野菜たっぷり塩タンメン”の一杯とほぼ同じ金額で購入可能です。ーむ、近赤外線撮影テストに使ってみたい、「失敗したら、昼飯抜きね」ということで、発注、翌日到着。早い!

色ガラスフィルタです。色素(Cd-S-Se)がガラスに練り込んであるタイプのフィルタで、別名Sharp cut-off  filterとも言われおります。普通は、ローパスフィルタですが、バンドパスフィルタも製造可能です。Balconは、大学の教養課程で、色ガラスフィルタを使って溶液中の物質濃度を測定する比色定量法の実験をしましたが、フィルタ特性とかは、すっかり忘れてしまったので、泥縄で復習いたしました。

一般的特性は、こんな感じ。

                     メーカー ホーム ページ

透過率50%の波長をカットオフ波長と言います。この図では605nmぐらいでしょうか。

カットオフ波長の長い方から、 V-R1,  R2, R3,  O1,  O2,  O3, Y1 と分類されています。マルミのR2フィルタのカットオフ値は不明ですが、一般にR2フィルタのカットオフ値は620〜640nmぐらいだそうですから、可視光を400〜700nmとすれば、赤外線のほかに、眼が赤く感じる可視光をやや透過する赤外線フィルタということになります。Hα(656.3nm)も通してしまいますしね。これが、吉と出るか、凶と出るか。サイトロンのIRPass干渉フィルタは、カットオフ 720nmぐらいですから、きちんとした赤外線フィルタですね。

一方、カメラの方ですが、赤外線感度の高いモノクロカメラを使うのがスジでしょうが、あるもので済まさねばならないBalconは、いつも使っているASI  294 mc  proで挑戦いたします。このカメラの分光特性はこんな感じ。

                          メーカー 公表グラフ

 

波長700nm以上の特性は、分からないですが、適当に外挿すると、残っている赤フィルタセンサの感度もピークの半分ぐらいになっている予感がします。

大雑把にいって、可視光の部分の減少分と感度の低下分を考慮すると、露出時間は可視光撮影の4倍で撮影する必要がありそうです。

使用する機材μ180cは、反射光学系なので、赤外線領域でも、理論上収差はないはずですが、フラットナ・レデューサは、屈折レンズなので、補正は可視光基準ですから、赤外線領域で、収差が出る可能性も考慮しなければなりません。結果、ピントが甘くなったり、コマ収差で、星像が歪んだりする悪影響が出現する可能性もあります。

では、ベランダへ出陣じゃ。対象は、前回と同じNGC 253 ちょうこくしつ座銀河です。

フォーマルハウトでピントと赤道儀の較正をして、ゲイン390 2分露出(可視光撮影時は30秒)で、30枚スタックしました。

Balconの感想

ちゃんと、白黒で写っています、やや青みがかっていますが、残っている可視光成分の赤の影響は、あまり感じられません。露出は、前回の4倍の2分間で、ちょうどよかったと思います。

フラットナ・レデューサの効きもまずまずで、周辺部のコマ収差も許容範囲だと思います。μ180cのような入門機でこの性能、高橋製作所、すごいです。

スタック枚数が違うので、単純に比較はできませんが、可視光で、撮影した前回より、背景のsky  glow、(大気散乱光)は大幅にカットされて全体のコントラストは改善しています。しかし、銀河の暗黒帯は可視光より、コントラストが低く見えます。

近赤外線撮影は、暗黒帯の散乱を受けない成分を受光するために、かえって、暗黒帯のコントラストが低下すると一般に言われているので、これをどう克服するかが、今後の課題です。

前回の可視光の写真はこんな感じ。

地平高度が低くなるとスタックエラーが頻発しました。大気の屈折率の擾乱によるシーイングの悪化は、改善しませんでした。よく考えれば、その通りですね。

どうやら、お昼は、抜かなくても済みそうですが、一枚、2分間の露出時間はちょっと辛いので、赤外線感度の高いカメラと、明るい反射光学系があれば、もっと幸せになれそうな予感がします。

おや、どこかで、「ダメダメダメじゃ」と天の声がします。


宇宙の窓を透してベランダから銀河を覗く  の巻

2021-11-13 13:12:23 | 天体観測

Balconのベランダから、銀河を撮影できるか探ってみました。銀河といえば、天の川銀河の次は何と言ってもアンドロメダ銀河でしょうが、残念ながら、建物に遮られて見ることができません。ちょうこくしつ座銀河であれば、地平高度は、低いですが、十一月の初旬であれば、見頃でしょう。

「ちょうこくしつ座」って妙に違和感のある名前は、18世紀にニコラ=ルイ・ド・ラカーユというチーズの銘柄のような名前の人が命名した星座名で、このお方、子午線の長さを測定するために、南半球のケープタウンに滞在中に南天の14星座の設定を行いました。子供の頃、けんびきょう座とかに違和感を覚えたのは、古代の命名ではなくて、ヨーロッパ人が、18世紀に命名したからだと妙に納得いたしました。

ラカーユ        wikipedia public domaim

ちなみに、この時代は、地球の形と大きさを決定するために、世界のあちらこちらで、子午線1度の長さを測ることが行われていました。我が国の伊能忠敬の測量の最初の目的も緯度1度の線長を測量することだったようです。

このちょうこくしつ座と、かみのけ座の方向は、銀河座標系(天の川銀河回転面を赤道とする)のそれぞれ南極と北極の方向で、明るい恒星や、光を遮る星間物質が少なく、遠い天体の観測に適していると考えられて、宇宙の窓と言われています。ボワッと写っているのは全て銀河。

かみのけ座銀河団 (アリゾナ大学)

かみのけ座はBalconのベランダからは、見えないので、本日のお題はちょうこくしつ座の銀河です。 ちょうこくしつ座にも、いくつも 銀河が見えますが、その中でも最大のちょうこくしつ座銀河(NGC 253) を狙います。

あるもので済ますことになっているBalconは、今日もミューロン180cに、純正フラットナー・レデューサーを組み合わせ焦点距離1800mmで狙います。地平高度が低いので、地上光の散乱と、シーイング不良に悩まされそうな予感がします。

フィルターは、サイトロンのComet Band Pass フィルターを使用します。メーカーホームページには、「天体の発する主要な4輝線であるHα, Hβ, OIII, SII付近の波長域を透過させ、更に彗星の核や尾のCN, C2, C3付近の輝線も透過し、それ以外の波長域をカットすることで、光害地でも彗星や星雲を浮かび上がらせます。また、短波から長波まで、比較的バランス良く天体の光を透過するため、恒星や星雲のカラーバランスが崩れにくくなっています。」とうたっていますが、連続スペクトルの銀河ではどうでしょうか。

SIGHTRON ホームページより

 

ちょうこくしつ座に向けて星図をたどる場合は、みなみうお座の一等星フォーマルハウトから東へ星をたどるのですが、ベランダからでは、全く見えません。フォーマルハウト周辺で、フォーカスを合わせて、プレートソルビングで、赤道儀の較正をして、自動導入で、視野の中央に導入しました。全くストレスなしに入りました。20世紀天文少年時代にあったらなぁと思うこの頃です。

試写の結果、ASI  294 mc pro の設定は、 Gain 390(最大値) 冷却温度は、0℃、露出は、30秒としました。先に、フラットを取得して、直焦点撮影開始。総露出時間 1時間を目指します。

地平高度が下がるに従って、スタックエラーが頻発して、13分で終了。追尾は、RMS 1.数秒角で推移しているので、主に、シーイングの不良で、恒星位置が動くのではないかと思います。

スタック枚数が少ないのでザラザラですが、バルジ周辺のリボンのような暗黒帯が確認できます。色の感じは、赤味がかっていますが、このフィルターでは、Hαが、勝ってしまい全体の色味が決まってしまうせいかと思います。

今後の課題は、地平高度の高い南中から撮影開始して、枚数を稼ぐこと。(平日は、仕事があるので、難しいのと、温度順応に時間がかかるので、休日に天候の良い日がありますように)。 シーイングの影響が少ないと思われる近赤外線撮影にもトライしてみたいです。

最後に、上の写真を白黒化してみました。ザラついた感じがコダックのトライXで、増感処理したみたいで、20世紀天文少年の頃に戻ったよう気がして、懐かしい写真となりましたとさ。


「あるもんで済ますのよ」 の巻

2021-11-01 13:14:35 | 天体観測

50年ぶりに、天体望遠鏡を覗いたBalconですが、赤道儀の極軸も合い、オートガイドもできるようになり、いよいよデジタル写真撮影にトライします。

我が愛機であるケンコーのKEー60屈折望遠鏡は、F15とあまりにも暗く、眼視には、そこそこ使えるのですが、写真撮影には、露出時間が長くなるので現実的ではありません。

天の声が、「あるもんで、(あるもので)済ますのよ」と聴こえてくるのですが、望遠鏡とカメラを新調することにしました。

余命幾許もないBalconに試行錯誤している時間はないので、ネットの評価がある程度ある製品で、予算が許すものということで選定することにしました。 鏡筒は、高橋製作所のTSA 120(F7.5)か、FSQ 85ed(F5.3)かと迷いましたが、二兎を追うものは一兎も得ず、撮影メインと割り切ってFSQ85 edに決定。

KーASTECの鏡筒バンド、Losmandy規格のアリガタ、カメラは、ZWO社のASI 294 mc  pro に加えて、タカハシのカメラマウント DX-WR(EOSタイプ)、 ZWOの カメラアダプター(EOS用)、と純正3cmx6倍ファインダーも同時購入しました。

全然、あるもので済ませていません。お許しください。

プレートソルビングの精度が素晴らしいので、最近ファインダーをほとんど使わなくなってしまいました。 今になって、ファインダーがなぜオプション扱いなのか判明しました。「何ごとも、先達(せんだつ)は、あら欲しきことなり」なんですが、教えてくれる人がそばにいないので仕方ありません。

鏡筒には、放射冷却を抑えるために、断熱シートを巻いています。効果ははっきりしませんが、過冷却によるレンズの結露はまだ起こっていないので、当分このまま巻いておきます。

カメラのピントが出るか少し不安でしたが、全く問題ありませんでした。接眼部が鋳物でしっかり作られているのと、レンズが4枚も入っているせいか、アクロマート2枚玉のKEー60に比べて、かなり重いです。

接眼部に標準装備のカメラの回転装置が素晴らしいです。付属の延長筒が外せなくて手こずりましたが、なんとか取れて一件落着。

ファーストライトは、ベランダから、とも座の散開星団M46と惑星状星雲NGC2438です。プレートソルビングで一発導入で、こんな感じ。プレートソルビング自動導入の精度にあらためて感動しました。

NGC 2438は、十字線で囲んでます。

見やすくトリミングしたものがこちら、NGC 2438の翡翠色が綺麗です。

こちらは、最近の写真です。しばらくぶりに、ベランダを覆い隠す雲が長時間なかったので、1時間30分の露出でのみずがめ座、「らせん星雲」(NGC7293)です。本当はもう少し長く撮りたかったのですが、地平高度が低くなって、断念。ファーストライトの頃より、フォーカスがきっちり合うようになってきました。本当に星が針で刺したように写ります。地上光の散乱が、右下に写り込んでいたので、トリミングしています。露出時間が長くなると、赤道儀の回転に伴い、散乱光の入る方向が回転し、また地平高度の低下で散乱光自体が強くなって、初めに撮ったフラットでは補正しきれなくなるため思われます。後半で説明するBalconのリアルタイムフラット法の今後の課題となりました。

こちら本気の画像処理前、コントラストを上げると、カブリも増強してしまいます。

 

リアルタイムフラット法

Balconのベランダは、東京23区内の光害地にあるので、周辺減光と、地上光の散乱がひどいです。SCWの写真では、こんな感じ。十字のところがBalconのベランダの位置です。

こんな場所での撮影ですから、天体写真には、なんらかの画像処理は必須です。M46を試写で撮った未処理の一枚撮りだと、とこんな感じです。周辺減光がひどいです。

ところが、天体画像データ処理をするWindows PCをBalconは持っていません。「あるもんで済ますのよ」という天の声にさからって、さらにPCはとても購入できないので、コンポジットは、ASI  air   pro のライブスタックで、画像処理は、iPadの ArtStudio、Affinity Photoというアプリでしています。

ライブスタックは事前に、フラット、ダーク、バイアス画像を用意しなけれならないので、試写してから、感度、露出を決定する20世紀天文少年のBalconのスタイルには合わないのですが、天の声には、逆らえません。

そこで、想定される露出時間に合わせて、Gainを変えて何種類かのダーク画像とバイアス画像をあらかじめ用意して、フラットだけは、撮影時に取得するやり方を開発(?)しました。

試写で本番の露出データと構図を決めてから、そのデータでその構図のまま、フラットを取得、その後、そのまま撮影に入ります。この方法を、Balconは、勝手にリアルタイムフラット法と呼んでいます。ダーク、バイアスは、事前に用意した現在の露出データと整合するものを使います。

こうすると、地上光の散乱によるカブリも運が良ければ、補正できます。フラットの撮影は、銀塩写真の頃はこんなことしなかったなぁと思いながら、Tシャツのような材質の白い袋をフードに被せて、撮っています。貴重な晴れ間の時間を、無駄にするのは忍びないのですが、その間に、オートガイドのキャルや、ノート記入などで、時間を潰したり、ベランダから戻って、食事をしたりしています。

撮った画像は、iPadに保存されます。(多分、jpg画像)、これを、ArtStudioで開いてカーブ調整、コントラストなどを調整して、ArtStudioではできない、ノイズリダクションを、Affinity Photoで行って、jpgでいいと思いますが、デフォルトのtiffで保存しています。天体写真専用のソフトではないので、一部のカブリ補正とかは、全くできません。

銀塩写真の頃は、一部カブリとかは、焼き付けの時に、ボール紙を細かく動かしながら、覆い隠して、調整したりしてたんですが、デジタル時代には、どうすればいいのか思案中。

Balconにとっては、大きな買い物をした後なので、当分はあるもので済ますことになりますが、あるもので済ますのも大変デス。


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