蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

昔、昔、天文少年でした。そして、今は、ベランダから、星を見ています。
いろいろの忘備録

立冬、 オリオン座の馬頭星雲

2021-11-07 09:18:45 | 日記

本日、十一月七日は、二十四節気(にじゅうしせっき)の一つである立冬だそうです。冬の入口です。

二十四節気を初めて知ったのは、60年前に、クリスマスプレゼントで貰った偕成社の「少年少女科学百科-宇宙のふしぎ」だったと思います。この本は、子供向けにしては、レベルが高く、ケプラーの3法則から、相対論の解説まで、主系列星から、赤色巨星、白色矮星、中性子星、超新星爆発などの恒星の進化、ドップラー効果、赤方偏移の話から、相対論的宇宙論まで解説していたと記憶しています。残念ながら引っ越しで、本は行方不明になってしまいましたが、当時世界最大ののパロマー山5m反射望遠鏡で撮った写真もあって、今見ても懐かしいのではないかと思います。

翌年のクリスマスプレゼントには、ミザール(日野金属工業)製の6cm屈折経緯台をもらって、Star Gazer デビューしました。

冬の星座といえば、オリオン座ですが、この頃は、深夜になれば、ベランダからでも南の空に見えるようになりました。そこで、オリオン座の馬頭星雲を撮影してみました。馬頭星雲も「宇宙のふしぎ」に 白黒写真でしたが、パロマー山の写真が載っていました。本当に馬に見えるので、一遍で覚えてしまいました。

みんな大好き馬頭星雲(Horsehead  Nebula IC434)の発見者は、分光観測で名をなしたハーバード大学のエドワード・ピッカリングの助手だったウイリアミナ・フレミングさんで、1888年のことでした。

Williamina Fleming  public domain  by Wikipedia  

この方はハーバードコンピュータのお一人で、恒星のスペクトル型の分類で、業績を上げた方です。当時、複雑な計算や、教室の雑用するために雇用された助手をコンピュータ(計算手)と呼んでいました。NASAの黒人女性計算手を取り上げた「ドリーム」という映画を見たことがあります。この映画では、60年代前半までは、軌道計算などは、人間のコンピュータが計算して、女性差別、人種差別にも関わらず、大活躍していたことが描かれています。

フレミングさんが、馬頭星雲を発見した、写真乾板は、こんな感じ。

(ハーバード大学 トリミング)

オリオンの三つ星の一番左のアルニタクの下、赤丸にうっすらと写っています。下端には、オリオン大星雲が写っています。

今回の撮影には、高橋製作所のミューロン180cを LosmandyGM8赤道儀に搭載して、ASI  air pro で、ガイドして撮影しています。フラットナー・レデューサを使い焦点距離は1800mm、F10という暗い鏡筒なので、Balconはこういう撮影には、向いていないと思うのですが、「あるもので済ませるのよ」という天体の声に従って、こんな機材で撮影します。

 

OGPイメージ

ドリフトで決める の巻 その2 デジタルカメラ利用編 - 蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

デタルカメラ時代の極軸合わせのドリフト法(DriftAlignmentwithCCDorCMOScamera)このページを読んでこの方法を初...

ドリフトで決める の巻 その2 デジタルカメラ利用編 - 蒼天在眼 (そうてんまなこにあり)ーベランダで星を見る

 

で記述した通り、このセットアップで、焦点距離2400mmまで、撮影可能なので、純正フラットナー・レデューサを使っても、1800mmと焦点距離は長いですが、なんとかなるでしょう。

0時30分頃から、準備に入りました。まず、フラットを取得しました。1時頃から、直焦点撮影開始、撮影中、追尾精度はrms値で1.34秒角で、3分露出、20枚撮影しました。Live Stack の歩留まり率は100%で、追尾は、まずまずでした。眠くて限界だったので、2:00に終了。ミューロン180cは、3本スパイダーのため、回析でできる光芒が、6方向に出ています。今回は、フラットが、きっちり決まったので、トリミングはしていません。画角は、子供の頃見たパロマー山の写真とほぼ同じです。懐かしい。

 

 


中秋の名月と満月 の巻

2021-09-22 12:27:31 | 日記

昨日(2021年9月21日)は中秋の名月で、かつ満月を見れた日でした。

 秋風にたなびく雲のたえ間より もれ出づる月のかげのさやけさ  藤原顕輔

        注)さやけさ: 清く澄んでいること。明るくはっきりしていること。すがすがしいこと。

まさにそんな感じの夜空でした。

中秋の名月とは、旧暦で、秋とされる7月、8月、9月のちょうど、真ん中の8月15日を中秋と言い、この頃は、空気も澄んで、月の高度もちょうどいい高さにかかって、お月見に適しているとして、古来から、「十五夜」を祝う日です。

イメージとしては、満月に、三方に載せたお団子と、ススキの蒲をお供えする日のように思えますが、実は、中秋の名月の日は、厳密に言えば、必ずしも、満月の日ではないようです。

旧暦のひと月は、新月の日(朔:地球から見た太陽の軌跡である黄道上で座標の角度差0)から、次の朔の前日までで、この周期、朔望月は、平均29.53日で変化します。かつ、新月から満月(望:黄道座標差180度)まで13.9日から15.6日と、毎月変化するので旧暦15日は、必ずしも満月にならないとのことです。月の運動が複雑なのは、月の軌道に影響を及ぼすのは地球の重力だけではなく、太陽の重力も影響するからと言われています。いわゆる三体問題ですね。あと、月と地球の間に働く潮汐力のため、月と地球の運動量が変化して、月の軌道が地球から遠ざかりますが、この影響は微々たるもので、短期的には、問題にならないようです。

国立天文台のページから改変して、最近の中秋の名月の日と満月の日を表に纏めるとこのようになります。一、二日ずれる年が多いです。

今回のように中秋の名月と満月が一致したのは8年ぶり、2024年以降は、30年間は、一致しないとのことです。

では、中秋の名月の満月を

撮影データ:ケンコーKEー60(口径60mm、焦点距離910mm)ソニーDSC QX-100 f1.8)、コリメート撮影、お気楽ズームアダプター、接眼レンズセレストロンズームレンズ f=21mm  ISO 160 露出 1/80秒


ロスマンディの赤道儀が到着する の巻

2021-08-26 10:07:42 | 日記

昨年 10月、ロスマンディGM8赤道儀を注文してから2ヶ月目の12月に、突然ジスコさんから、「出荷した」とのメールを受け取りました。出荷ってアメリカからかなとも思いましたが、3日後に、かなりの重量がある。ひと抱えの段ボールが2個玄関に到着しました。佐川のお兄さんありがとう。

一つ目の長い箱は、三脚が入っていました。二つ目箱の箱80cm四方の大きな箱にいくつかの段ボール箱が入っていて、大量の緩衝材に埋まった赤道儀と、付属品がそれぞれ収容されています。ジスコさん制作の日本語マニュアルがついていますが、英語のマニュアルはありませんでした。ロスマンディのサイトには、まとまったマニュアルがありませんので、断片的な要素要素の説明を読んで、察してねというスタンスなのでしょうか。ジスコさんの日本語マニュアルは、かなり親切で詳しいので、普通に使う分には困りません。

早速、組み立ててみました。ネジは、いわゆるインチネジ(American standard)です。六角レンチも付属しているので、差しあっては、困りませんが、metricな日本の工具はサイズが合わないので、要注意です。驚いたことに、駆動用モーターは、ユーザーが取り付けることになっていて、噛み合わせの調整とかどうするのか少し心配です。モーター固定用のネジがかなり奥の方にあり、付属の六角レンチがかなり無理な角度で締めなければならず、ジュラルミンのボディに少しキズがついてしまいました。まあ、機能には問題ないのでしょうが。いかにも、Amricanな感じです。もの自体は、ジュラルミン削り出しで、いかにも工作精度は高そうです。

 

配線して、12Vバッテリーに接続すると、動きましたが、少し変です。もう登っているはずのシリウスを自動導入すると、望遠鏡が、下を向いてしまいました。モーターの取り付けを間違えたかと思いましたが、問題ないようです。いろいろいじって最後の結論は、赤緯と赤径のモーターに繋ぐ配線が逆になっていたので、差し直して、落着しました。

三脚に留めてある買い物袋は、小物入れに使っていますが、いずれもっと使いやすいものに変更の予定。


皆既月食雲隠れの巻

2021-05-27 13:07:23 | 日記

タイムリーな話題を一つ。

昨日、2021年五月26日は、皆既月食が、スーパームーンと重なり、食の最大が20時18分ごろのゴールデンタイムと重なるなんとも、ゴージャスなイベントになる予定でした。近所も、いつになく外が騒がしい感じで、私も、ベランダに準備万端整えて、静かに月が登るのを待っておりました。

用意したのは、望遠鏡2台、双眼鏡1つ、椅子2脚、机1つ、もうベランダがいっぱいです。

空は、雲に覆われて、月の出を過ぎても、何も見えません。羽田から離陸する飛行機なら、見えたんですけれど。

雲の合間から一瞬見えたベールを被ったお月様。我がKE−60で撮影しました。

これは普通の半月みたいですけれど、よく見ると明暗境界部が、うっすらと、赤い色が付いているような気がします。21過ぎにはもう、満月に戻ってしまいました。


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