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GROW OLD WITH ME by John Lennon
1980年12月8日。
それは全世界のロックファンの多くが、ひとつの大きな灯りを失った日。
そう、それはジョン・レノンが暗殺された日なのだ。
人間は・・いや、生物は、いずれ死ぬ。
それはどんな偉大な人間であろうと、その宿命から逃れることはできないのだ。
生物である以上、死は仕方ないにしても、暗殺されるという形での亡くなり方は、あまりにも・・。
犯罪を犯したわけではなく、それどころか、音楽界に革命をおこし、その音楽で多くの人を楽しませ、世界中の多くのロックファンから愛された人物が、なぜ暗殺という形で人生を終わらせられなければならないのだ、、、私は何度もそう思った。
そんな亡くなり方はないよ・・・と、今でも思う。理不尽すぎた。
今年もこの時期に、ジョンの曲を取り上げ、私が愛したジョンを偲びたい。
私なりに。
今年はこの曲。
グロウ・オールド・ウィズ・ミー。
ファンならご存知のように、この曲にはジョンによる完成バージョンは存在しない。
デモテープだけ残し、完成バージョンを作る前に殺されてしまったからだ。
考えようによっては、せめてデモテープだけでも残っていて、まだよかった・・・という見方もできるが、なまじこれほどの良い曲なだけに、ジョンにこの曲を完成させてあげたかった。さぞかし、無念だったことだろう、、。
ジョンによる完成バージョンがあったとしたら、どんな感じになったのだろう。
どんなサウンドイメージがジョンの頭の中にあったのだろう。
それはもう・・我々ファンが、想像で補うしかない。
とりあえず言えることは、間違いなくこの曲は、ジョンの曲の中でも名曲のひとつに数えられる作品になったであろうということ。
実際、デモテープしか残っていないこの曲をカバーした人が多数いることでも、それはわかる。
ビートルズが「アンソロジー」を制作した時、そのアンソロジーは3部作で、それぞれにビートルズ名義での「新曲」が1曲づつ収録されるはずだった。
曲はどれもジョンのデモ音源に、ポール・ジョージ・リンゴが手を加え完成させる・・ということで。
実際に「アンソロジー1」では「フリー・アズ・ア・バード」が。「アンソロジー2」では「リアル・ラブ」がビートルズ名義で完成され、収録された。
で、残りの「アンソロジー3」では、当初この「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」が収録されるはずだったらしい。
だが、この曲はすでにジョンの遺作アルバムになった「ミルク・アンド・ハニー」にデモ音源のまま正式収録されて、ジョンのソロ曲としてそれなりに世の中に伝わっていたこともあって、ビートルズ名義での「アンソロジー3」には収録されなかった。
代わりに、ジョンのデモ音源「ナウ・アンド・ゼン」という曲も候補になったらしいが、ちょっと曲の感じが暗かったので、ジョージの反対で見送られたらしい。
ビートルズというのは民主的なバンドだったらしく、メンバーのうちひとりでも反対者がいれば、その意見を尊重したらしい。
ただ、「ナウ・アンド・ゼン」は、ネット社会になって、その音源が知られるようになっており、検索すれば見つけることもできるので、この曲がどういう感じの曲だったかは知ることができる。
その点は我々は幸せなのかもしれない。昔に比べたら。
「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」には、リンゴ・スターをはじめとする何人ものシンガーによるカバーもあるし、ジョージ・マーチンによるストリングスアレンジが施されたテイクもある。
皆が・・この曲が作者ジョンのバージョンとしてはデモ音源しか残っていないということが残念でならないのだろうね。
そして・・私同様に「ジョンにこの曲を完成させてあげたかった」とも思っているのだろう・・・と思う。
ジョンは、結婚式などで教会で流されるスタンダードな曲になることを願って、この曲を作っていたらしい。
この記事を書いてるのは2019年。
来年の2020年の12月8日には、ジョンが亡くなって40年もの年月が経過してしまうことになるのか・・。
早いなあ。
でも、ジョンの残した楽曲は、今でも輝きを失わず、愛され続け、現役であり続けている。
そう、ジョンの曲は今でも生きているのだ。
ジョンは、楽曲という形で今も生きているのだ。私はそう思いたい。
https://www.youtube.com/watch?v=a5HqJsNN_sM
この記事では、ジョンのピアノ弾き語りによるデモテープテイクを選ぶことも考えたが、それは割と知られているテイクだと思うので、ここではあえてジョンのデモテープの音源にストリングスアレンジを施したテイクを選んでみた。かなりソフトな印象になっている。
デモテープの音声による、消え入りそうなジョンの歌声が悲しい。
ジョンは、まさかこのテイクが、この曲を世に残すテイクになろうとは夢にも思わずに歌ったのだろうなあ。
このデモテープはおそらく自宅などでカセットテープに録音したものだったろう。そのため、マザー音源の音質はあまり良くなく、ジョンの歌声もあまりくっきりとは聞こえていない。
このテイクを聴いてると、ジョンが健在で、ビートルズアンソロジープロジェクトの時に、ポール、ジョージ、リンゴと共に4人で完成させられてたら、また1曲ビートルズの名曲が増えてたことは確実だと思わせられる。
デモテープを使わざるを得なかったこのテイクを聴いても、ため息が出るくらいいい曲だなあとしみじみ思う。
このテイクでは、途中で「love love love」とコーラスが入ってくる箇所があり、なにやらそれは、ジョンのあの名曲「愛こそはすべて」へのオマージュにも聞こえる気がして、個人的に泣けてくる。
グロウ・オールド・ウィズ・ミー。僕と共に歳をとっておくれ。
ジョン、私はファンとして、あなたを遠くから見守りながら一緒に年齢を重ねていくだろうと思ってた。
でも、それはできなかった。
なぜなら、私はもう、あなたの亡くなった時の年齢を追い越してしまってるから。
リアルなジョンは、40才で年齢を重ねるのをやめさせられてしまったから。
できれば、せめてこの曲が幸せなカップルの結婚式などで歌い継がれていきますように。
今日も、明日も、その先の未来でも。
地球のどこかで。国境も争いも関係なく、誰かが。
ジョン、それこそあなたが望んだことだったよね?
この悲哀に満ちたバラードを最初に聴いたのは、確か私が18歳か19歳でした。
それも「ジョン・レノン生誕50年・没後10年」を記念して発売された4枚組アルバム『レノン』4枚目最後の楽曲として。
オルガン独奏弾き語りによる、この楽曲を初めて聴いた日から本当に愛する1曲です。
当時、私は「イマジン」でさえも、バラードは、あまり受け付けない性格でした(今現在はロックンロールはもちろん、バラードも心から愛しています)。
しかし「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」だけは、全く抵抗無く私の耳に心に流れ込んできました。
さて、だんぞうさんもご存知と思いますが、この楽曲は、当初、あらゆるバージョンがテープレコーダーに録音されていました。
それこそ「完成版」に近いバージョンもあったに違いありません。
しかし、ジョン・レノンが余りにも酷い方法で殺害された後、この楽曲の、あらゆるバージョンを録音した、たくさんのテープレコーダーは、忽然と姿を消しました。
オノ・ヨーコさんでさえも「今でも、行方は全く判っていません」とおっしゃるほどです。
そして唯1つだけ、ポツンと残っていたのが、オルガン独奏弾き語りだったのです。
だから私は、「ジョン・レノンの執念」とも呼ぶべき、オルガン独奏弾き語りバージョンこそ、本当に心の底から愛して止まないのです。
それは、この楽曲を10代後半の時から全く変わらない心情です。
だんぞうさんや、他のミュージシャンが、この楽曲完成版を最重視されていても、私だけは、これだけは“孤独”を貫きます。
そのテイクは聴いたことがないかもです。
このグロウオールドウィズミーの歌詞は、まさに結婚式で歌われるのにピッタリの歌詞。
この曲がジョンによる完全バージョンがあれば、結婚式の定番ソングになっていたと思います。
歌いやすく覚えやすいメロディーでもありますし。
もったいなかったなあと思います。
様々なデモバージョンがあったということは、ジョン本人はこの曲に対するこだわりや思い入れは強かったでしょうね。
そんなことを考えると、犯人に対する反感が私の中に改めて蘇ってくる気がします。