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 時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

追憶の安物ギター

2019年12月18日 | 音楽活動

 

 

これまでにこのブログで書いたことがあることだが、私が初めて手に入れたギターは、モーリスの15000円のギターだった。

その後私がバイトなどをして買ったギターに比べたら、安物ギターだったと言える。

モーリスといえば、一時は「モーリス持てば、スーパースターも夢じゃない」というキャッチコピーがあった。

確か、アリスの谷村さんがモーリスギターのCMで言っていたフレーズだったと思う。

更に谷村さんは「僕のギター、もちろんモーリスギターです」というセリフも言っていた。

私がモーリスを手に入れたのは、アリスがまだ出てきていない頃で、当然私はアリスは知らなかった。

なので、CMに影響されてモーリスのギターを入手したわけではなかった。

 

親が、私の誕生日プレゼントか何かで、レコード屋(楽器屋ではなかった!)で壁につるされていた(?)モーリスを買ってくれたんだと思うが、そのへん記憶は曖昧だ。

なにぶんそれまでギターを触ったことはなかったので、試奏などとんでもなかった。

とりあえず、レコード屋の壁にあったのを買ったんだと思う。たぶん。

 

当時、私の友人N君が12000円くらいの、モラレスという国産メーカーの安物ギターを私より先に入手していたのだが、それよりは多少良いものを・・・と思って(笑)、友人のモラレスより3000円高かった15000円のモーリスを私は選んだんだと思う。

すると、私よりも後に別の友人W君が私らに影響されて(?)ギターを入手したのだが、そのギターは18000円のギターだった。

私よりもさらに3000円高いギターだった。

私よりも先に12000円のギターを手に入れたN君よりも私は多少なりとも良いギターを買いたがったように、私より後にギターを買ったW君は、今度は私よりも良いギターを買いたかったに違いない(笑)。

 

当時の相場としては、18000円のギターは、けっこう良いものに思えた覚えがある。

W君の買ったギターがどこのメーカーのギターだったかは私はもう覚えていないが、もしW君の買った18000円のギターがヤマハのギターだったとしたら、今となっては少し羨ましい。

 

というのは、当時のヤマハの18000円のギターは、後に名器と呼ばれるようになったFG180というモデルだったと思うからだ。

 

まあ、それはさておき、私が初めて入手したモーリスの15000円のギターは、私が初心者だったせいもあり、音が良いとか悪いとかは私にはわからなかった。

かなり小ぶりなギターだった。少なくてもドレッドノートやジャンボタイプではなく、マーチンで言えば0サイズか、せいぜい00サイズのフォークギターだった。

今にして思えばネックはけっこう太かったのは覚えている。

たぶん、オール合板だったのだろうと思う。

そのギターのサウンドが良い音なのかイマイチの音なのかは、どういう音が「良い音」なのか私の中ではっきりしてなかったので、当時の私としては、ギターというのはそういう音なのだろうと思っていた。

ただ、今にして思えば、音量は小さかった。

まあ、サイズが小ぶりだったからそれは仕方なかったのだろう。

また、低音はほとんど出なかった。高音も「伸びる」という感じではなかった。

当時、そのギターで相当数の自作曲を作り、カセットテープに録音していたのだが、その音源にはその15000円のギターの音が多数残されている。

それを聞いてみても、やはり低音は出てなかったから深みはなかったし、サスティンもなく「ぶつ切り」状態だった。

コードストロークでも、歯切れはなかった。

ボディサイズ的に、強いてあげれば中域・高域シフトのギターだったのかもしれないが、中域が充実してる感じでもなかった。

もちろん、私の弾き方の拙さもあったはず。

まあ、15000円のギターでは多くを望めないので、初心者が「とりあえずお試し」みたいな感覚で持つにはそれで十分だったのかもしれない。

 

 

 

数年後に、バイトしてお金をため、2台目のアコギとして10万円のアコギを買った時、その差に歴然とした覚えがある。衝撃だった。

ギターというのは、こういうものか・・と改めて思った。

2台目のアコギはライダーという国産メーカーだったのだが、これがもう圧倒的に素晴らしかった。このライダーというメーカーは、後のヘッドウェイに繋がるメーカー。

ライダーはドレッドノート型だったので、低音の出方がズドーンという感じで、更に高音のハイポジションでの音はキラキラしていた。

見た目から言っても、マーチンを意識したギターだった。バインディングはヘリンボーンだったし。

このライダーを入手してからは、それまで使ってた15000円のモーリスは、おもちゃのように思えた。

はっきりと、値段の差というものを感じた。

 

ライダーのあまりの鳴りの良さは、レコードなどで聴けるディランのマーチンの音に肩を並べる程に聞こえた。

15000円の安物では、なんとなく弾いていた感じだったが、ライダーを手にすると、ちゃんとフレーズを弾こう、ちゃんと鳴らそうという気になり、ギターの弾き方というものをはっきり意識するようになったのを覚えている。

 

 

ライダーを手にしてからは、以前使ってたモーリスの15000円はほとんど弾かなくなっていたが、ある時意外なことに気付いた瞬間があった。

それは、いつものように自作曲をカセットに録音してる時。

土の香りのするような、地味なフォークソングタイプの曲を録音しようとした時、ライダーでは「鳴りすぎ」のように思えたのだ。

爆音よりも、主張のない、こじんまりした音のほうが、その曲に合うと思った。

そこで、しばらく弾いてなかったモーリスで弾いて録音した所、その曲のイメージに近かった。

はっきり言ってライダーに比べたら、チープな音だった。

音は小さい、迫力もない、サスティンがあるわけでもなきゃ、高音が光ってるわけでもない音。

でも、そのチープな音が、その自作曲には合っていた。

 

 

・・・そんなこともあるのだ。

 

この時、チープな音でも、その音が似会う曲もあるのだということに気付いた。

チープな音にはチープな音なりの出番があるのだ。

チープな音も、それもまたサウンドなのだ。

 

それ以来、再びモーリスをたまに弾くようになった。出番は数少なかったけれど。

 

そんな15000円のモーリスギターだったけど、その後エレキなども入手すると、狭い部屋の中での置き場に困るようになった。

当時、部屋には鍵盤などもあったし、友からもらった安いガットギターもあったし。

 

楽器の置き場に困るようになった時、親が地方で宿を始めた。

聞けば宿内のサロンみたいな場所に、何か置きたいという。

そこで、私はそのモーリスを、親の始めた宿のサロンに寄付することにした。

そうすれば、宿に泊まりに来た客が弾いてくれるかもしれない。

ギターが弾ける客なら、サロンにギターがあれば多少なりとも喜んでくれるはず。

また、ギターにとっても、そちらのほうが出番は多いはず。

万一、盗まれたとしても、高価なギターではないし。

 

かくして、私が初めて入手した安物ギターは、私の手を離れた。

 

親が経営してた宿に、まれに遊びに行ったことがあったが、館内のサロンではその安物ギターが置かれているのを確認。

その時点では、まだそのギターは元気そうだった。

新しい職場(?)で、このギターはお客に弾かれているのかな・・などと私は思った。

 

その後、何年もたち、やがて親は体調のことなどもあり、その宿を手放した。かなり忙しかったみたいだったし、無理もしていたようだったから、体が悲鳴をあげたようだ。

かくして、その宿は他人の手に渡った。

きっとサロンにあった安物ギターも、宿ごと新たなオーナーのもとに行ったのだろう。

 

その後、そのギターがどうなったのかは、誰も知らない。

どこかで元気にしてくれてるといいが。

 

ギターを弾く皆さん、初めて入手したギターは、今も手元にとっておいてあるだろうか?

 

 ちなみに、この日記の写真は、モーリスではありません。

 

 

 

 

 


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