その曲を聴いたのは、今から何十年も前。
レコードを持ってたわけでもなきゃ、楽譜を持ってたわけでもなきゃ、歌詞が何かに掲載されてるのを見たわけでもない。
単に、当時ラジオで流されてたのを数回聴いただけである。
そう、数回聴いただけ。
なのに、今も心に残っている。
初めて聴いて以来、ずっと・・長年、その曲の正式タイトルも分からなきゃ、誰が歌ってたのかも分からないままだった。
しまいには、その曲の記憶は、自分の幻だったのではないか・・本当はそういう曲は存在してなかったのではないか・・とまで思うようになっていった。
なにせ、その曲の出だしの部分を歌って誰かに聴かせても、誰もその曲を知らなかった。
だが・・幻扱いにするには、その曲の出だしのメロディも、台詞も、私の記憶の中で、あまりに鮮明すぎた。
存在した・・・としか思えないのだ。
だとしたら、一体?
こうなったら、ネットで検索して探してみるしかない。
でも・・
ネットで検索しようにも、歌手名もタイトルも分からないんじゃ、検索しようがなかった。
だが、最近、だめもとで、出だしの歌詞を入力し、検索してみたら・・・。
おお!
これではないか?
私が聴いた、あの歌は、これに違いない!
そう、これだ、ついに・・あった。
曲の正式タイトルも、歌ってたシンガーも、これだ!
私の記憶は、決して幻ではなかったのだ。ちゃんと、この歌はあったのだ。
と思える記事を見つけた。
で
その曲こそ、タイトルが「二十才の手紙」であり、歌ってたのは「ジャックと豆の木」というグループらしい・・ということを、突き止めた。
この曲、決して大ヒットした・・というわけではなかったようだ。
当時、ラジオのCMでは何度か流れてはいたのだが、あまり話題にはならなかったし、クラスの同級生も知らなかった(たった一人だけ、知ってる奴がいたが)。
昨今流行の「70年代フォークのオムニバスアルバム」にも、収録されてる気配はない。
そういうオムニバスアルバムは、たいがいどれも似たような選曲ばかりだ。
ということは、21世紀の今となっては、この曲を知ってる人は、・・覚えてる人は、一体どれぐらいいるのだろう。
きっと、極めて少ないに違いない。
この曲が長年忘れられず、探しまわっていた私はきっと「物好きな奴」なのだろう。
この曲は、今や忘れ去られた曲なのだ。
ならば、歌手とタイトルを突き止めた今、この曲を好きだった私が、ブログでネタにしておくしかない。
この曲、なぜ当時の私に印象深く残ったのだろう。
シンプルで覚えやすいメロディもさることながら、その歌詞が素朴で素直でよかったのだと思う。
歌の内容は、九州から都会に出た若者が、都会で寂しく過ごし、郷里の九州を思い出す・・そんな内容だった。九州への愛情が、歌にこめられていた。
東京暮らしの私にとって、九州は非常に遠い場所だった。
遠い郷里への想い、郷愁というものに、自分には無いものを歌の主人公に感じ、ある意味、そういう郷里を持つことへの羨望が私の中にあったのだろう。
また、遠ければ遠いほど、私の中に「遠い地」への想像がふくらんだ。
今となっては、もうこの「二十才の手紙」という曲を聴く手立てはないのかもしれない。
少なくても、今この記事を書いてる時点では。
だとしたら、誰にもこの曲がどういう歌だったかを知らせる術がない。
ならば・・
著作権の問題はあるかとは思うが、私の覚えてる範囲で、この曲の歌詞を書いておきたい(もちろん、それによって問題が生じた場合は、歌詞は削除します)。
とはいえ、なにせ何十年も前に数回ラジオで聴いたきりなので、私の記憶は間違いが多いかもしれない・・ということを前置きした上で。
忘れてる箇所も多いので、そういうのは略して書くことにする。
こんな歌詞だった。
♪ いつかふるさとを捨てて 一人旅にでた僕
誰もがみんな夢を見る 18の春でした
19の頃は背伸びして 大人ぶってみたけど
寂しい気持ち隠せずに 一人町をさまよう
( ~~忘却のため、中略~~ )
知らぬ間に 都会の 季節はすぎる
別れ そして めぐりあう人たち
・・とまあ、こういう歌詞が素朴で覚えやすいメロディに乗っている。
メロディの流れに関しては、キーが仮にCだとすると、おそらくコード進行は・・
C Dm G7 C
C Dm G7 C
サビは
E Am E Am
Dm Am F G
こんな感じだったと思う。すべて、私の記憶と音感だけで書いてるので、間違いもあるだろうが、そのへんはゴメンナサイ。
で・・
この曲には、途中で台詞があった。
そこには、九州への愛があふれていたように思う。
こんな台詞があったはずだ。
「九州が 恋しか!」
「芋焼酎、飲みたか!」
「タバコはやはり 新生が良か!」
この曲を思い出して検証してみると、当時(今も?)九州から一旗あげようと都会に出てきた若者は、多かれ少なかれ、こういう心境だったのではないか・・という気がする。
例えば、武田鉄矢さん率いる海援隊なども・・。
はじめから東京に住み、東京にいる私には、こういう感覚は持てるはずもなく、だからこそ、郷里があるということへの憧れは強かったように思う。
だから・・こういう歌に惹かれたのだろうな・・・。
「ジャックと豆の木」とは一体どういうグループだったのか。
まあ、フォークグループであったことは、この曲の曲調からいって間違いないとは思うが。
そして、その後、「ジャックと豆の木」というグループはどうなったのか。
今では・・・分からない。
この歌と共に・・・時の流れに消えていったということなのか・・。
せいぜい、メンバーの一人が、九州の某所でお店をやっている・・という噂をネット上で知ることができたくらいだ。
それ以来は・・・不明・・・。
さっきも触れたが、昨今、古いフォークなどのオムニバスアルバムは多数出ているが、他のアルバムでも入手できるような曲ばかりが収録されているケースは多い。
こういう曲・・世の流れに消えていった、今では忘れさられた曲ばかりを収録したオムニバスアルバムには、なかなかお目にかかれない。
そのせいで、復刻される曲は、何種類ものアルバムで収録されて、かぶることが多い。
一方、復刻されない曲は、いつまでたっても復刻されないままだ。
で、結局、似たような選曲のオムニバスアルバムが、曲の重複を繰り返しながら、増えていく。
で、購買者を食い合う・・。
復刻される曲と、されない曲の差が激しいと思う。
こういう「復刻されていない曲」を積極的に復刻してゆくオムニバスアルバムのシリーズが、もっとあってほしい。
そして・・・「ジャックと豆の木」というグループの「二十才の手紙」という曲も、復刻されてほしい。
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