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チョウ・トンボ・野鳥に親しむ

閑話休題-秋の深まりースミナガシ、アオバセセリ

 朝夕の涼しさと共に秋が深まり、筆者も毎日の生活が酔芙蓉のようになって来た。夏鳥は去り、冬鳥の渡来が始まっている。邑知潟に渡来したコハクチョウは、目視で25羽程が確認できた。

  邑知潟に飛来したコハクチョウ

 チョウの世界でも来るべき冬に備えた準備が始まっている。翅が傷んだり、色の濃くなったミドリヒョウモンは、産卵場所を求めて忙しく飛んでいる。
色が濃くなったミドリヒョウモン メス

 この時期、スミナガシやアオバセセリの幼虫は、蛹化、越冬に向けて食欲が旺盛である。我が市内にはいないと思っていたスミナガシを見つけたことは6月2,8日に報告した。
     初夏のスミナガシ

 今回は、食樹であるミヤマハハソが生えていることが分かっている中宮観察館に出かけてみた。ミヤマハハソの葉を丁寧に探すと、スミナガシの最終齢幼虫が2匹見つかった。

    スミナガシの最終齢幼虫

 アオバセセリの幼虫は見つからず、諦めかけて、もう一度目の前の葉を見ると、鮮やかな模様の幼虫が見つかった。
     アオバセセリ


  アオバセセリの終齢幼虫

 写真を撮った後、少し目を離していたら、再びいなくなった。おかしいなと思い、改めて周辺の葉を見ると、中程で切られ折りたたまれた葉を見つけた。
    アオバセセリ幼虫の巣

 あ!アオバセセリの巣だと思い、こっそり覗いてみると、中に黒っぽく見える何かがいた。可哀そうだと思ったが、少し開いてみると、中にアオバセセリの幼虫が見えた。

  巣の中のアオバセセリの幼虫

 ちょっと目を離した隙に、最初撮った写真にも写っている、近くに作ってあった巣の中に隠れたことが分かった。暫くみていると、幼虫は再び出てきて葉を食べたが、巣の中では幼虫はあまり動かず、蛹化が近いことをうかがわせた。


 ミヤマハハソの葉を食べる幼虫

 スミナガシの幼虫の体は、肉質突起を持つ特異な形で、ツートンカラーの色彩もよく目立つ。



   スミナガシの最終齢幼虫

 鳥に食べられないようにしているのであろう。幼虫の蛹化は、さらに衝撃的である。最終齢幼虫は、食べるのをやめ大人しくなり、二つの足場で逆さ吊りに体を固定し前蛹となる。
     スミナガシ前蛹

 前蛹で1日くらい過ぎると、肩の皮が割れ、体をくねらせ、振動させながら突起を含む皮を下(頭)の方から脱いで行く
    スミナガシの蛹化

 体を固定していた足場を交互に離し、突起の部分を脱ぎ、最後には体をゆすって投げ捨て蛹となる。


  前蛹の皮を脱ぎ捨てた蛹

 容易に羽化できるよう、蛹の肩の部分は窪んで割けやすくなっている。また、時間と共に枯葉のような模様が浮かんでくる。典型的な垂蛹である。

    スミナガシの蛹

 アオバセセリの幼虫は、糸で体を支えて、ゆっくりと時間をかけて液を出しながら頭の方から腹端の方に向かって蛹化する。


   アオバセセリの蛹

 2,3日経つと、蛹は白い石灰質のようなもので覆われる。帯蛹である。

 スミナガシもアオバセセリも、秋に蛹となったものは、5月から6月にかけて羽化し成虫となる。
     スミナガシの羽化

 スミナガシの羽化は、蛹の殻を破って触角、頭、口吻が数秒のうちに現れ、大変感動的である。
 これから厳しい冬を越さねばならない。来年、無事に羽化することを願っている。
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