今回の台風は北陸に近づいた時には、幸いにも、これが台風?と思われる程度の強さで何の被害も無く、代わりに朝の涼しさを運んでくれた。コガモも到着し冬鳥の季節が始まった。
到着したコガモ
12日に市ノ瀬に行った帰りにミントレイノに寄った。2、3匹のオスと20匹近いメスのオオルリボシヤンマが山から滲み出す水辺に集まり集団で産卵していた。
オオルリボシヤンマ、オス
オオルリボシヤンマの集団産卵
こんな少しの水の所に卵を産んで大丈夫かという私の心配にお構いなく、次々と場所を変えて産卵していた。湧き水はすぐに枯れるであろうことを考えると、こんな条件でも毎年安定して発生するようなので、卵の孵化は産卵後すぐ、孵化したヤゴは山合の湧き水が出て来る近くなどに移動して成長するか、卵が水辺に流されて孵化を待つかに違いないと思った。この辺りでは12月になると雪も降るので、冬の間は雪の下に居るのかもしれない。なお、図鑑などで調べてみると、普通は池などの水辺で産卵、卵期間は6~8か月、ヤゴは1~3年、2~4年1世代と言われているようである。
池で産卵するオオルリボシヤンマ
メスは単独産卵をするが、オスはちょっかいを出すオニヤンマや他のオス達を追い払うのに大忙しであった。
メスの産卵を警護するオス
瀬女のフジバカマ園では未だアサギマダラは来てなく、ミドリヒョウモンが多数集まっていた。
フジバカマのミドリヒョウモン
14日にはアサギマダラがフジバカマに集まり始めた。
フジバカマに集まり始めたアサギマダラ
先日再び行くと、ものすごい数のアサギマダラが集まって来ていた。
フジバカマに群がるアサギマダラ
中にはミドリヒョウモンや少数のメスグロヒョウモンが混ざっていた。
メスグロヒョウモン(別時期に撮影)
アサギマダラがフジバカマに集まる理由も明確ではないが、ピロリジンアルカロイドが性ホルモンの分泌に必要だと考えられている。
16日に報告したアオバトの塩水、アキギリの受粉の工夫、植物も昆虫も鳥達も、命を繋ぐきちんとした努力をしている。人間は知識だけは豊富になったが、生き物としての基本に対する努力を忘れてしまったのかもしれない。
8月も10日を過ぎると白山は急に涼しくなる。3年前になるが、雪が降る前に一度様子を見ようと観光新道から登ってみた。きつい登りを喘ぎながらも登ると、岩の上にあまり敏捷でない鳥を見つけた。
イワヒバリ
あ!イワヒバリだと存分に撮らせてもらった。
岩を越えてもう少し登っていくとホシガラスが見えた。ハイマツとホシガラスは絵になる。
ホシガラス(これは鳥友さんからお借りしたものです)
せわしく動くが何とか撮れた。
再び狭い道を登り黒ボコ岩に出た。ガスが出て肌寒いくらいであった。ふと岩を見ると、キベリタテハがへばりついていた。
黒ボコ岩にしがみつくキベリタテハ
寒さのためか、逃げるでもなく動きが鈍いので手でそっと掴まえてみた。手のぬくもりが気持ちいのか、掌の汗が気に入ったのか、なかなか離れようとしなかった。
掌に止まって逃げないキベリタテハ
何時までもそうしてもいられないので、早く低い麓に下りないと死んでしまうかもしれないぞと言い聞かせながら、そっと岩陰に放してやった。
里では、ノシメトンボやアカタテハの活動も盛んになり秋が深まっている。
ノシメトンボ
アカタテハ
冒頭でも述べたように冬鳥達の季節が始まろうとしている。近くの森、田園地帯での活動が忙しくなりそうである。