九寨溝での夜、チベット民族舞踏ショーを見学しました。
日本でも開催した人気のショーとのことでオプション価格:3900円です。
以下、『蔵謎』の紹介文より抜粋。
チベット族の舞踏家でプロデューサのヤン・リーピン企画の『蔵謎』という演目です。
『蔵謎』とはチベットの謎という意味で、古くからある有名な話が元ネタです。
■ヤン・リーピン
中国で最も有名かつ尊敬を集める国宝級ダンサーで、北京五輪の開会式でも踊りました。
チベット族の老女と子ヤギが、九寨溝からチベット仏教の聖地・ラサまで巡礼の旅をしました。
老女は信仰心が篤く、ラサへの過酷な巡礼に向かいますが途中で数々のチベット族の人々と遭遇します。
三年間の巡礼の末、ラサまで後三日という険しい山の中で吹雪に襲われます。
老女は子ヤギを守る為に服を脱いで被せるのですが、結局死んでしまいます。
彼女の死後、閻魔大王が彼女を天国に行かせるか地獄に行かせるか神々と議論をします。
結局彼女の信仰心の篤さが証明され天国に行けるのですが、
大きな鳥が舞い降りて来て鳥葬の模様が演じられます。
ヤギは本物でおとなしくしていますが、時々紐が老女に巻きついて苦労していました。
最後に男の子が子ヤギを連れて巡礼する姿が登場します。
彼女の生まれ変わり、輪廻転生が表現されています。
総勢80人が歌い踊る中身が充実した大がかりなミュージカルでした。
■開演
舞台にはチベット仏教のお経が流れ、お香の煙りが漂っています。
大きなマニ車が八基あり、出演者が次々と登場して右回りに回しています。
私は知らずに左回ししていましたが。
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第一場「巡礼/神秘」
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■“五体投地”巡礼の旅
老婆とヤギが五体投地(全身を前に投げ出して這うように進みます)をしながら登場しました。
■神の目からレーザー光線
■六弦琴の演奏と舞踏
演奏しながら舞踏し、ブーツで床を叩き鳴らす調和の取れた登場は迫力です。
チベット族の代表的な楽器と集団のタップダンスと歌にチベット民族の力強さを感じます。
■長袖舞
広々とした草原で、若い男女が長い筒袖を揺らして舞います。
男女は長い筒袖を揺らして自己の魅力を表現して、お互いの愛情を伝え合います。
■老婆とヤギ
五体投地している老婆とヤギをバックにチベット民謡を歌います。
■チベットの麦畑
老婆は九寨溝を出発してはや2年3カ月。
チベットの広い大地で若い男女が麦畑で麦刈りをしていました。
そこに老婆が五体投地してやってくるが、橋が壊れて渡れない。
そこで農民たちは人間橋を作って老婆を向こう岸に渡す手助けをします。
チベットの人々は困っている人に手を貸すことをいとわない。
■蓮華菩薩
老婆は山岳地帯に入り、道が険しくなります。
老婆の前に大きな蓮が現れ、中から蓮華菩薩(ヤン・リーピン)が現れる。
川のように流れる読経に包まれながら、美しく舞い踊る菩薩に祝福されて、老婆は再び歩み始める。
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第二場 「労働/ロマン」
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■ヤク舞
黒いオスのヤクの集団に一匹の白いメスヤクが現れて、コミカルにダンスします。
ヤクダンスはチベットの民間芸能で、吉祥を祝う意味でチベット各地の祭に踊られています。
子供を生めないメスヤクは売ってしまうぞと脅しています。
■チベット音楽
天幕の前で民族楽器の演奏と民謡が歌われます。
■ポダラ宮殿修復の歌 「打阿カツ」
ポタラ宮など寺院の修復工事に係わることはチベット人にとって誇りです。
無報酬でも各地から人が集まり、道具を打鳴らし、歌を歌い作業の疲れを癒します。
土を固める棒を打ち鳴らす「打阿カツ」はこうした中から生まれた珍しい歌舞です。
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第三場 「賽装/理想と喜び」
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■賽装 衣装祭/夏拉舞
豪華な衣装で美を競い合う壮観な舞踊。
チベット族には「家財は牛の背に、財産は体に」という諺がある。
一年に一度の賽装祭では豪華な衣装と装飾品で着飾り、草原でのファッションショーに参加します。
遊牧民は財産をすべて身に着ける習慣があり、祭りに参加するのは富の披露でもあります。
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第四場 「転生/神への賛美」
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■吹雪
吹雪に会い、老婆は着ているものをヤギにかぶせ自分は寒さで死んでしまいました。
■神が現れる
神の目からレーザー光線が放出され、いろいろな神が老婆を救いに来ました。
■転生
巡礼の途中で死ぬのは一種の幸福だとチベット人はいいます。
なぜなら魂は帰依し、それが輝かしい転生の始まり「輪廻転生」の思想があります。
仏教の思想によると、あらゆる生き物は始まりのない昔から、天・阿修羅・人・畜生・餓鬼・地獄の
6つの領域を無限の回数ぐるぐると輪廻し続けている(六道輪廻)。
善い行いをすれば、天・阿修羅・人などの比較的善い境涯(善趣)に、
悪い行いをすれば、畜生・餓鬼・地獄などの苦しい来世(悪趣)が待っている。
■来世の審議・鳥葬
意識の抜けた肉体を天に運んでくれるのは神の使いである鳥たちです。
天界では老婆の来世が審議されています。
彼らはこの老婆の生前の善行を評価し、願い通り鳥葬に付すこととしました。
■神の舞い
チベットでは神はいろいろな動物で表現されています。
■昇天
老婆は天国に昇天して行きました。
■ラストダンス
連鎖のうねりが輪廻転生を表現しています。
■フィナーレ
老婆と新たに巡礼に出る子供が挨拶に出ますが、そこに輪廻転生の思想があります。
総勢80名の躍動感と生命力に溢れた民族舞踊は、かなり迫力があり、
歌や音楽も音割れせずに大音量で響き渡っていました。
前席の男性達が中腰でビデオを振り回したり、頭をチョコチョコ動かして撮影したりで
背中を蹴飛ばしたくなりましたが、連日満員の人気とのことで席は運ですね。
チベットに生きる少数民族の多彩な風習、音楽、踊りや宗教儀式を取り上げ、
実際に使われている楽器や道具で奏でる生命賛歌の民族舞踊ショー「蔵謎」はお薦めです。
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