【届かない手紙】
遠い旅をして
我が家に一通の手紙が帰ってきた。
宛先にも問題も間違えも無く出した
手紙が、何故か時を超えて・・・
遠い旅を経て帰ってきたのである。
それは、九十歳 過ぎるお爺ちゃんが
フィリピンに居る孫へと宛てた手紙だった。
2013年8月を翌日に控えた日の出来事で
ある。
一瞬、孫からの手紙と思い浮かべるお爺ちゃんは
浮かれ(うかれ)て、笑顔を浮かべていた。
それから、
自分の手紙が戻ってきたと知って心落ちした。
しばらく 自分の目の前に手紙を
置いて ボォォォ〜〜〜 と思い耽る(おもいふける)と
おもむろに 封を千切って便箋をだしたのである。
それは 2012年12月に 孫が翌年3月に
帰ってくるのを楽しみにして
ギッチリと喜びを認めた(したためた)手紙であった。
お爺さんは、それを読みながら 想い出に耽るように
笑顔を作り、また寂しげな顔をしたのである。
それは、5月に留学先に帰ってしまった
孫への寂しさであり、
払拭(ふっしょく)できない不安なのだろうと私は
思った。
信じれば救われる すべての思いは・・・
なかなか父に届かい言葉を
その時、父の顔に囁く 息子である
ハレルヤ エーメン
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