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「フリクリ オルタナ」鑑賞後雑記【ネタバレ含む】

2018年09月08日 | 映画感想文
フリクリの大ファンだったので今回の続編の話は嬉しい反面、カラーの鶴巻監督が監督として不参加(スーパーバイザーとして一応参加)だったし、脚本も榎戸洋司さんではなかったので、全く別物になる可能性があるなという不安がありました。

その不安は見事に命中。一言でいえば、「フリクリ」オリジナルを元に仕事で作った続編といった感じでした。インタビュー記事をいろいろ読んでわかったんですが、当初はオリジナルメンバーで作る予定が一度頓挫して、そして本広監督総監督として別スタッフで動き出したという流れだそうです。

ピロウズの山中さわおさんも、OVA版の時は鶴巻さんがピロウズのファンだったので自らこういう曲がほしいというオファーをしたらしいのですが、今回は全くそういう具体的なオファーはなかったそうです。その点から、今作のスタッフのピロウズ愛はあったのか? そこが疑問ですね。

コンピアルバム「FooL on CooL generation」も主題歌を除いて、劇場版2作(各2時間超え)で12曲しかないという少なさです。案の定、ほぼほぼ別の人が作ったインストの劇伴で大半で、ピロウズの曲の使われどころも、OVA版と比べたらすごく控えめです。

今作は、OVA版と同じく一話完結スタイルの連作短編で、だいたい30分×5本の物語が進んでいくわけですが、OVAはちょっと最初は暗喩だらけで理解できないけど、なぜかゾクゾク、ワクワクするっていう、映像にもセリフ一つ一つにもエッジが効いてて、センスを感じるアニメでしたが、今作はそうなかったですね。ちょっと中だるみが多くて、スカスカで、淡々と平和でほのぼの系JKの日常が描かれます。彼女たちの17歳特有の友情や恋愛や夢など青春のいろんなエッセンスが散りばめられていて、そこにハル子がやってきてかき乱す感じの内容でした。ラストエピソードでようやくフリクリらしさを感じられたのですが、やっぱり、「フリクリってこんな感じだよね?」っていう、どこか冷めた作り方をしている風に見えます。せっかくJKの青春群像劇×ハル子の化学反応なんだから、面白いことしか起きないと思いますが、全然フリキってくれないですよね。そして、各話に主人公のカナブン、友達のヒジリー、モッさん、ペッツがフィーチャリングされた物語になっているのですが、上映時間も知っていたので2話目あたりで、「これずっとこの感じで見せられるの…?」と退屈さが勝ってしまいました。

賛否あると思いますが、個人的にはまぁ…どのエピソードも期待値を超えてきませんでした。取り上げている青春エピソードがどれもどこかで見たことのあるものばかりで、「ハル子を登場させて派手に暴れさせたらフリクリでしょ?」感がすごい。OVA版ではハル子にはあるちゃんとした目的があっての行動でしたが、今作は単なる記号としての存在。特に、ハル子が自ら「フラタニティの宇宙警察」と言っちゃうあたりで、違うなって冷めました。あと、カナブンが冒頭でスマホでピロウズを聴いているメタフィクション的設定もないわーって思いました。

やはりOVA版の鶴巻さんが参加していないのが大きいですかね。スーパーバイザーという形でクレジットされているものの、そこまで口を出してないと思います。ハル子のセリフにはちょいちょいアドバイスしている感じくらいです。エヴァの制作と被ってしまうので鶴巻さんががっつり参加できなかったのは正直痛いです。

OVA版から17年、この17年の間にピロウズは多くの楽曲を発表してきたので、今作もピロウズの楽曲だけで劇伴を作るくらいの意気込みがほしかったです。

ラスト、どうなったのか、それが続編の「フリクリ プログレ」につながるのか、まだ観てみないとわからないので、「フリクリ プログレ」を観てから総評はしたいと思いますが、今作だけではちょっともう一回観てみようとは思わないですね。残念でした。



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