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最近読んだ小説レビュー Vol.11

2005年12月07日 | 小説レビュー
最近、本を読んでなくて、溜まってたので、今読み漁ってます!

そんなわけで、今月は、さっそくいってみます!
月に一度のこのコーナー!(と、言っても今回は一冊だけですけど、)
いってみよう!

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『平成マシンガンズ』/三並夏 

≪感想≫

文藝賞最年少(15歳)受賞作品で、興味本位で読んでみました。
以前にも言いましたが、一般小説はそんなに売れないらしいです。
だから、売り上げが悩ましい昨今、出版社は、読書離れしている中高生をターゲットに、あえて最年少というインパクトを与え、同世代の作家を作る事で、同世代の中高生たちを触発させる。しかも社会的にも話題になる。しかも女性作家。男性作家となると、嫉妬心が芽生えてしまって、「誰が売り上げに貢献するか」みたいな感じになってしまうけど、女性ならアイドル要素が生まれる。

どうしても、最近の文藝賞を見ていると、未成年作家を故意に選んでる気がしてならない。たしかに選んだ限りは、それなりに読めるものでないと駄目だから、それなりに読めるものでないといけない。そこは、徹底していると思う。少なくとも、読んで「駄作だ」という感想は出ない。どこかに光るものを感じるのは正直な所ですね。

で、ようやく本題に入ります。
まず、タイトルは◎。好きです。
物語的には、薄いという印象を覚えました。ストーリーは至って、物足りないという感想が一番です。え? もう終り? みたいな。
まぁ、主人公が答えを見出した時点で話は終わるしかないから仕方ないっちゃ仕方ないけども、どうせなら、もう一本収録されててもよかったなぁと。
あの作品で、1000円は高すぎますね。

まぁ、ストーリー以外の部分で言うと、
純文なんで、主人公の心情描写、地の文が重要となってくるんですけど、
そっちに関しては、さすがに受賞するだけあるな、と。

最初、句読点がほとんど使われない文体が続いてて、これは意図的かな、と思いながら読んでたんですけど、最後の方で、作者はそれは考えてないのかもしれない、と思いました。

つまり、自分の描きたい部分、つまり心情部分がそうなってて、あとのシーンや、会話が続くシーンなどは、スタンダードな文章なんです。

作者は、書きたい部分だけ、熱が入ってババーっと描いていったんだと思います。
なもんで、読みづらいって言う人もいると思いますけど、僕はあまり気になりませんでした。

感心したのは、言葉のチョイスですね。
オリジナリティがある。というと簡単なんですけど、
これは15歳という若さだから出てきたのか、と自問しながら読んでましたね。
新鮮な言葉の配列、心地よい文体。これは、認めざるを得ない才能だと思います。

まぁ、こういうのは新人賞一発目ではどうしても判断しがたい。
人間誰もは、一つは小説を書けるといわれてますからね。自分の人生を題材に書けば、一本はできるんだと。しかも一作目は自分が書きたかったものだから、その後どれだけ引き出しがあるかが、キーポイントとなる。作家としてのレベルを問われるのは、2作目、3作目がどう出るかですからね。

綿矢りさは、ちょっと減速気味です。
金原ひとみも、同じテイストのものが続いてるんで、いつまで続くかですね。

でも、若い作家は、若さならではの発想が面白いので、好きです。
だから、次回作は期待してます。

でも、過度な期待は、落胆値を上げるので、程ほどに(苦笑)。


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