北石美也は現在18歳、5月の誕生日で19歳になる。
ハローワークプラザ柏の女性担当者を信じて、ここで職を探そうと思い始めた。やはり、東京都心での生活がしたいところだが、高卒18歳で、寮に住み込みとなると都心から離れたところに会社が存在する。女性担当者は、千葉県内に良い職がたくさんあると言っている。「何か資格はお持ちですか?」女性担当者が聞いてきた。美也は張り切って答えた。「英検3級と普通自動車一種免許があります。」 首都圏に住む人には、運転免許を持っていない人が多い。交通網が、たくさん整備されていて、目的地に行く手段が2~3通りもある事が当たり前になっている。美也は簡単な英会話が少しだけ出来る。と言っても極少しだけである。「職種はどのようなものが希望ですか。」「収入はどれくらいあればいいですか。」色々聞いてきたが、美也は戸惑った。漠然としか考えていなかったので、何と言っていいか迷った。
「住み込みの工場で、20万ぐらいの給料があればいいです。」女性担当者は、「工場と言っても、飲料水、食品、電気、自動車部品、鉄鋼、石油精製など複数の工場が存在しますよ。」美也は、困った。テレビで見た鉄鋼工場が普通の工場として考えていたから、そんなにたくさんの製造工場があることに驚いた。
「僕は、金属で物を組み立てる仕事が好きです。」と女性担当者に話した。美也は、中学時代に技術が得意で、糸鋸を使って木材加工で本棚やうさぎ小屋を造り、賞を取ったことがある。女性担当者のはうなずき、パソコンで検索し、5社の求人票を用意してくれた。江戸川、市川、川崎などの工場である。その中で美也の目を引いたのが、浦安にある自動車部品を造る鉄工所であった。従業員は80名で資本金3000万円の中規模な工場だった。独身寮があり朝飯と昼飯がついて寮費は2万5千円、4畳半の個室で風呂トイレ共同、光熱費込みと書いてあった。肝心の給料は、正社員扱いで18万円~25万円となっていた。美也が目をつけた大きな理由は、鉄工所の所在地が、東京ディズニーランドの直ぐそばであることだった。ここなら歩いても30分もかからないと思った。美也は、ディズニーランドが好きで将来、彼女とデートするのはディズニーランドと決めていたのだ。女性担当者に、ここの会社の情報をもう少し詳しく聞いてみた。
自動車のエンジン部品を製造する会社で、基本給は18万5千円だが、残業が月に20時間~40時間あるらしく、夕食は、遅くなるので自前で摂ることになる様だ。なんと言っても、「この場所なら片道240円で、東京まで30分以内で行けますよ。」と女性担当者が言った言葉に引かれた。美也は決意した。「ここの会社の面接を受けたいのですが、どうすればいいでしょうか。」「分りました、ハローワークから連絡を取ります。その後の面接になりますね。」
美也はこんなに早く、仕事を見つける事が出来て、浮き足立った。株式会社浦嶋製作所は旧江戸川に面した、東京メトロ浦安駅から徒歩35分のところにあった。ハローワークの女性担当者が手配してくれて、翌日の14時に会社で面接をすることになった。今日は、これからJR常磐線で上野へ行き、東京見物をした後に東京駅から京葉線で葛西臨海公園駅近くのホテルに宿泊するにした。ホテルは、浦嶋製作所がとってくれた。美也は、柏から上野までの常磐線快速電車に乗る事になったが、16両編成の長い列車を初めて見てビックリした。先頭車両がものすごいスピードでホームに滑り込み、止まらないんじゃないかと思った。どんどん列車は過ぎ去り、16両目がやっと美也の前で停止した。北海道では電車は、せいぜい4~6両編成なのだ。上野、東京見物をした後、葛西臨海公園駅に降り立った美也は、潮の匂いを胸いっぱい吸い込み、東京湾の大きさをしみじみと感じていた。北海道の田舎漁師町の潮風とはまったく別な海風を浴びて、これから浦安での自立生活が始まろうとしていた。
ハローワークプラザ柏の女性担当者を信じて、ここで職を探そうと思い始めた。やはり、東京都心での生活がしたいところだが、高卒18歳で、寮に住み込みとなると都心から離れたところに会社が存在する。女性担当者は、千葉県内に良い職がたくさんあると言っている。「何か資格はお持ちですか?」女性担当者が聞いてきた。美也は張り切って答えた。「英検3級と普通自動車一種免許があります。」 首都圏に住む人には、運転免許を持っていない人が多い。交通網が、たくさん整備されていて、目的地に行く手段が2~3通りもある事が当たり前になっている。美也は簡単な英会話が少しだけ出来る。と言っても極少しだけである。「職種はどのようなものが希望ですか。」「収入はどれくらいあればいいですか。」色々聞いてきたが、美也は戸惑った。漠然としか考えていなかったので、何と言っていいか迷った。
「住み込みの工場で、20万ぐらいの給料があればいいです。」女性担当者は、「工場と言っても、飲料水、食品、電気、自動車部品、鉄鋼、石油精製など複数の工場が存在しますよ。」美也は、困った。テレビで見た鉄鋼工場が普通の工場として考えていたから、そんなにたくさんの製造工場があることに驚いた。
「僕は、金属で物を組み立てる仕事が好きです。」と女性担当者に話した。美也は、中学時代に技術が得意で、糸鋸を使って木材加工で本棚やうさぎ小屋を造り、賞を取ったことがある。女性担当者のはうなずき、パソコンで検索し、5社の求人票を用意してくれた。江戸川、市川、川崎などの工場である。その中で美也の目を引いたのが、浦安にある自動車部品を造る鉄工所であった。従業員は80名で資本金3000万円の中規模な工場だった。独身寮があり朝飯と昼飯がついて寮費は2万5千円、4畳半の個室で風呂トイレ共同、光熱費込みと書いてあった。肝心の給料は、正社員扱いで18万円~25万円となっていた。美也が目をつけた大きな理由は、鉄工所の所在地が、東京ディズニーランドの直ぐそばであることだった。ここなら歩いても30分もかからないと思った。美也は、ディズニーランドが好きで将来、彼女とデートするのはディズニーランドと決めていたのだ。女性担当者に、ここの会社の情報をもう少し詳しく聞いてみた。
自動車のエンジン部品を製造する会社で、基本給は18万5千円だが、残業が月に20時間~40時間あるらしく、夕食は、遅くなるので自前で摂ることになる様だ。なんと言っても、「この場所なら片道240円で、東京まで30分以内で行けますよ。」と女性担当者が言った言葉に引かれた。美也は決意した。「ここの会社の面接を受けたいのですが、どうすればいいでしょうか。」「分りました、ハローワークから連絡を取ります。その後の面接になりますね。」
美也はこんなに早く、仕事を見つける事が出来て、浮き足立った。株式会社浦嶋製作所は旧江戸川に面した、東京メトロ浦安駅から徒歩35分のところにあった。ハローワークの女性担当者が手配してくれて、翌日の14時に会社で面接をすることになった。今日は、これからJR常磐線で上野へ行き、東京見物をした後に東京駅から京葉線で葛西臨海公園駅近くのホテルに宿泊するにした。ホテルは、浦嶋製作所がとってくれた。美也は、柏から上野までの常磐線快速電車に乗る事になったが、16両編成の長い列車を初めて見てビックリした。先頭車両がものすごいスピードでホームに滑り込み、止まらないんじゃないかと思った。どんどん列車は過ぎ去り、16両目がやっと美也の前で停止した。北海道では電車は、せいぜい4~6両編成なのだ。上野、東京見物をした後、葛西臨海公園駅に降り立った美也は、潮の匂いを胸いっぱい吸い込み、東京湾の大きさをしみじみと感じていた。北海道の田舎漁師町の潮風とはまったく別な海風を浴びて、これから浦安での自立生活が始まろうとしていた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます