オイラは、ボイラ 寒がりボイラ

6月から9月まで迄の4か月間は、失業状態ですが、冬期間はボイラーマンとして出身高校を暖めています。

彩夏がロマンスカーに乗りたかった訳

2017年03月31日 21時57分02秒 | 北のポエム・北海道発のエッセー
 えのしま75号は、二人を乗せて17:50に新宿を出発した。
全席指定の特急列車で藤沢までは、約55分で到着する。藤沢は彩夏の住んでいる鎌倉に近く藤沢からは、バスで家まで帰る事が出来るらしい。
彩夏がロマンスカーに乗るのは二度目であった。高校生の時に友達と女同士で、この特急に乗り新宿まで遊びに来た事があった。
その時は、車両に若いカップルが結構乗っていて、車両全体が甘い空気で満ちていて、彩夏は羨ましさと孤独感に包まれていた事を
今でも忘れずにいたのだ。今回、美也とのデートでロマンスカーに乗れた事は、彩夏にとっては、5年ぶりのリベンジであった。
美也は窓側の席で、彩夏はその直ぐ隣に座り、少し体を斜めに倒して美也の方に接近した。2人は楽しそうに、景色を見ながら、
たわいのない会話をしていた。「彩夏は、気軽に新宿まで行けていいよなぁ~。俺なんか、ずっと田舎で暮らしてきて、今回初めて
都会を経験してるんだぜ。」と美也が言うと彩夏は、「私は北海道に行った事が無いから分らないけど、雪がたくさん降るんでしょう?」
と聞いてきた。「今度、一度北海道旅行をしてみたいわ。」美也は首を振って答えた。「ど田舎で寒いし、何も無いよ。」彩夏は、「札幌は、
大都会なんでしょう。テレビで見たことがあるわ。」「ジンギスカンとかカニ将軍、札幌味噌ラーメンとか、どれも食べて事が無いの。」
二人の会話は弾みお互いに肩と肩がくっついて、より親密になっていた。彩夏も美也に甘えるように話しかけていたので、周りから見るとかなり、
親密なカップルに写っていた。彩夏がロマンスカーに乗りたかったのは、美也と二人で恋人気分を存分に味わいたかったからであった。
18:45藤沢に着いた2人は、名残惜しそうに分れて、彩夏はバスで帰宅の途についた。門限は無いが、父が銀行員なので何かと
うるさいらしく、20時前には家に帰りたいと話していた。美也はJRで東京経由で20時40頃に浦安に着いた。


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