今日、餃子を作っていながら思い出したことがあったけど、ネジ事件で頭から吹き飛んだ。
あれは・・・60年前の夏のことでした。
なので夏休みだったのでしょう。
当然ながら夏休みは店の手伝いですが、『今日はハヤシのルーを作る』と親父に言われてギョっとしました。
なぜならとてつもなく長い時間、コークス!燃え盛る調理場の竈の前で、バカでかい鍋に入れた小麦粉を、ハヤシの色になるまで巨大なシャモジで炒るからです。
夏、コークス、重労働。
もちろん冷房など調理場まで回ってきません。
滝のように流れる汗。
拭いても拭いても玉のような汗をかき、熱中症を通り越して干物状態になり、『こういう重労働の職場はオレには向かない』と、跡を継ぐことを放棄して、大学を卒業したらサッサと就職したのです。
5〜6時間?ほど経って、ようやく黄ばんでいた小麦粉が褐色になった時は、汗をかき過ぎてミイラ状態。
死ぬんじゃないかと本気で思ったりしました。
店で命の危険を感じたのは、その時だけではありません。
でも、あの時一生分の汗をかいたせいか、今や真夏でも一滴の汗も流れません。
因果でしょう。
その点フーテンをしていたハチ(愚弟)は、一度も店の手伝いをしたことがなく、大阪までヒッチハイクをしたりして、青春を謳歌していましたから、人生の後半で店に戻って調理場へ入ったのも、因果応報といったところでしょう。
ハチに一度でいいからハヤシのルーを仕込ませたかった。
で、最近は『ハヤシはルーから作ろう!』などと奥様方に囁きかけるレシピサイトがあるけれど、やめておいた方がいいでしょう。
ダマになったりしたらもったいないし、第一厚い盛りにやるべき料理ではないからです。
ガス代だってバカになりませんし、
家族が多く、何回分かまとめて作るとなると大仕事、出来合いのルーの方が美味だし簡単です。