蟷螂は幼い頃、親父によく言われました。
『戦争中のことを考えろ』
まだ生まれていない時代のことなど考えられません。
するといきなりグーで殴られます。
いまなら虐待ですが、当時は当たり前。
食事が一番『戦争中』でした。
人参が食べられないと言ってボカっ。
パセリが食べられないと言ってポカポカ。
おかげで好き嫌いはほとんどありません。
そして親父はアルバムを見ながら、
『オレの大学は血の気の多い奴ばかりだったから、ほとんど特攻に志願して死んでいった』
と呟きます。
『コイツも、あ、コイツも』と。
太平洋戦争中は命をかけてみんな死んでいきました。
真ん中のオジキは太平洋上を輸送船で運ばれている時、敵潜水艦が放った魚雷が命中して船が撃沈され、洋上を三日三晩木片にしがみついて漂い、たどり着いた島で『ギブミーアワラ』と土人に話しかけたオジキは助かり、木片にしがみついていた戦友は、全員槍で突き殺されたそうです。
そして捕虜収容所へ送られて、背中にPWと書かれた服を着せられて復員しました。その後、少し精神に異常をきたしましたが、恩給はいただかず、生涯独身のまま93歳で亡くなりました。
今日、ホステスホストさんがコロナでの休業補償を要請したというニュースを見ました。
今はウイルスとの熾烈な戦いの真っ最中。
戦争中に仕事が無くなったから補償してほしいというホステスがいたでしょうか?
戦争中は命を投げ出しても、文句ひとつ言えば『非国民』のレッテルが貼られました。
特攻で命を捧げた兵士は軍神と崇められましたが、敗戦後は一転して軍神一家は村八分に・・・
人の生き死にはお金にかえられません。
今の政治家は自らの失政を金で精算しようとしています。
もしウイルスとの戦いを国家が標榜するのであれば、金銭は最前線で戦う医療従事者への手当や、ワクチン、抗ウイルス薬の研究開発費に回すべきだと思いますが、いかがなものでしょうか?