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昨年秋頃からの世界不況ですが、しばらく長引きそうな気配です。
日本のガリバー企業、トヨタ自動車が2008年度の決算で巨額の赤字を計上。
さらに、今年度の業績予想も赤字となっています。
不況にあえいでいるのは自動車業界だけではありません。
同じく輸出依存型の電機業界も軒並み低迷。トヨタ自動車と同じく、2年連続での
赤字決算予想を発表している企業が少なくありません。
そんな中、ある新聞で、電機業界やトヨタ自動車の不振は決して外的要因からだけ
ではなく、企業の戦略ミスが原因である、といった主旨のことが書かれ、批判的・
悲観的な内容が展開されていました。
確かに2兆円もの利益を叩き出し、GMを抜いて世界一の自動車メーカーとなり、
あらゆる点で盤石に見えたトヨタ自動車が、まさかこのような状態になるとは
誰も予想だにしなかったことです。
かくも脆い体質だったということは、トヨタの今までの舵取りが間違っていたの
かもしれません。企業戦略ミスだったのかもしれません。
そして、まったく同じことが電機メーカー各社にも言えるかもしれません。
前置きが長くなりました。
その新聞では、好況にあぐらをかいて将来への着実な布石を打ってこなかった
電機メーカーやトヨタ自動車は、当然の結果(赤字決算)を迎えていると批判して
います。
私は、分かりやすい「起こったこと」を論評するだけのこの新聞社の姿勢に、非常
に無責任さを感じました。
そこには、現状を克服するべき提案・提言の類はありません。
”評論家”になっているだけです。
赤字決算ということは、マネジメントが失敗している何よりの証です。
誰の目にも明らかなことです。
約1年前、好調を維持し続けていたトヨタ自動車や電機業界に警鐘を鳴らした
新聞を初めとしたメディアはあったでしょうか?
現在の戦略では、北米市場が失速した時に、急激な円高が進んだ時に財務状況が
一気に悪くなる。そのためにも○○のような施策を打つべきだ、等々の提言を
したメディアがあったでしょうか?
そもそも今の不況を予測した人がいたでしょうか?
そんな人(メディア)はいやしません。
その頃から警鐘を鳴らし、それに対して企業が無策だったのなら分かります。
でも、事実は違います。当時、トヨタ自動車の好調さを持ち上げる記事はあって
も、実は非常に危うい状態だったと分析したメディアは、ほとんどなかったはずです。
起こった事象について論評を加えること(=評論家なること)は、非常にたやすい
ことです。昨今のメディアはこればかりです。
その新聞の記事も、文章自体は読みやすいものになっています。
しかし、内容は”過去についての論評”のみ。
未来どころか”現状”の問題点・課題点解決のための提言すらしないメディアに
は、猛烈な違和感を感じています。
私も、ずい分と”評論家”のような内容になってしまいました。
「起こったこと」は目に付きやすいものです。
反対に、ごく近い将来でも「起こりそうなこと」を予測することは極めて困難な
ことです。
それでも、マーケットの特徴を読み、他社との差別化を図り、顧客の価値を最大化
しようと、日本の企業は世界を相手に熾烈な競争を日々繰り広げています。
今回、赤字に陥ったことは猛省しなければならないことです。
株主やステークホルダーからの批判も、甘んじて受けなければならないでしょう。
でも、批評を加えることならば誰にでもできます。
その新聞の記事の論評は、自分にとって大いに励みになりました。
”自分ごと”として物事をとらえ、自分が現状を克服すべく行動を起こさないと、
事態は何も変わっていかないということが、分かったからです。
言うからには、自分で物事を分析し、問題点・課題点を抽出し、解決策を練って
提言していく・・・
そういった思考を突き詰めていきたいと考えています。
キーワードは「自分ごと」です。
今日はWCCFとは、まったく関係ない話しとなってしまいました。
申し訳ありません。
今日はこの辺で。では、また明日。