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嫌がらせ⑥

2022-10-08 22:52:50 | 日記


しかし、それにしても金が無かった。このままでは電話も止まるし、最優先の男の件もあるので、絶対に捕まる訳には行かないので、私はその足で朝早くから労働者センターの前でやっている日雇い仕事の順番待ちに加わった。

この街は日雇いの仕事に事欠かない。

ちょっとした入り用がある時は、朝早くから毎日日雇い仕事を募集しているので、仕事が終われば即現金で金を手渡ししてくれるし、誰でも面接無しで働けるので、身体一つあればどうにかなった。

私は何度か日雇いには行った事があったので、要領を心得ていた。

更に言えば、この辺には信じられない安宿が沢山存在していて、本当に千円二千円で宿に泊まれる。

今まで一度も泊まった事が無かったが、今から考えればつい5ヵ月前まで刑務所にいたので、そんなに抵抗は無かった。

見るからにオンボロだったが、探求心が勝った。

色々働いて見たが、日雇い仕事を毎日続けるのは実はしんどかった。朝が早すぎる。3時4時から動かなければ、仕事にありつけなかった事もあったので、ここから少し離れた所にある、飯場と呼ばれている寮に入る事にした。
それに、ここにいる事がもしバレたら都合が悪かった。
何故なら格好が悪い。
それに、圧倒的不利な立地だった。
Jはこの街で売人をしていた。多分、よくわからないが、半グレチームに入っていたのかも知れない。バックがついていなければ、この街で商売なんか出来る筈無い。私もよく一度目の懲役を努める前は、この街に来て、薬(ヤク)を買っていた。誰でも買える。

とてつもなく治安が悪い所だったと記憶していたが、この頃はだいぶ浄化されていて、確か売人がもうほとんどいない状態になっていたと思う。
警察の取り締まりがエグイから、行かん方がええと、私も聞いていた。
しかし、薬をやっていなければ、関係が無かった。

そうして、私は隣町の飯場と呼ばれる寮で暮らし始めた。

ダサい事だが、私は本当にお金に困ってこんな所でしか働けない訳では無くて、あくまでもヒットする事が目的だったので、とにかく身軽でいつでも仕事を休んだり辞めたりする事が出来るこの飯場生活が実に都合が良かった。
普通に仕事でもすれば、没頭しすぎてヒットする気なんか失せてしまうかも知れないし、私としても、そうなりたいのは山々だったが、とにかく話が大きくなっている様な胸騒ぎを感じていた。絶対にけじめをつけなければ大変な事になる、そう予感していた。


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