今回の鳥取旅行で、もう一つ自分の中では大きな目的があった。それは浦富焼という鳥取の伝統の焼き物の窯元を訪れること。2000年に、実は鳥取の地元に古くからある“浦富焼”という磁器で有名な山下頑夫先生の作品をアメリカ/ニューヨークのJapan Societyで浦富焼の展示会開催に関わったことがあり、その際に山下先生にもお会いする機会があったのだが、鳥取繋がりでこのご縁もあって、今回浦富焼のルーツを少し探ってみたいと思っていたのだ。
実は、山下頑夫先生は既に他界されてしまったようなのだが、山下頑夫先生と共に1971年頃から浦富焼の復興に勤めた弟の山下清志さんがご健在であることを知った。そして山下清志先生は1979年頃から独立して、自分で窯を持ち、延興寺窯という窯元を立ち上げられたことを知り、今回延興寺窯を訪問してみることにしたのだ。
鳥取には多くの有名な陶器の窯元が点在している。その中で延興寺窯は浦富海岸にも近い、岩美町の山間にあり、長閑で自然豊かな田園風景を車で20分ほど走った奥まった場所にある。特に案内版なども出ていないので、知らないとなかなかわからないひっそりとした場所にその窯はあるが、この観光地化された雰囲気が無いのがそまた凄くいい感じなのだ。
土曜日の午前中、事前に電話をしてタクシーで向かったが、ついに山下清志先生にお会いすることが出来た。窯の隣にある小さな建屋は陶器のお店になっており、ここで気に入ったこちらのマグカップを2つ購入した。この何とも味わい深い焼き物が凄く気に入ってしまった。もう一つ、僕の好きなブルー系の湯飲みも別途購入した。
山下さんの作品はとてもシンプルで、普段使いに適しているが、絶妙な風合い・色合いがとても美しい芸術作品でもあると感じる。この白いマグカップも持ちやすく、飲み物が映えるような質感と色合いは実に見事だが、間違いなく、日々の暮らしを少し豊かにしてくれる焼き物である。
山下先生は今でも日々窯と向き合って作陶されているようだが、娘さんの山下裕代さんが後継者として作品作りをされているようなので、親子で延興寺窯を今後も継承されてようだ。このように、伝統工芸をしっかり地元で受け継いでいくことの重要性を改めて感じたと共に、純粋に陶器作品として、その芸実性に大きな刺激を受けた。やっぱり僕もこういうアートがとことん好きなのだろう。
次回、鳥取旅行シリーズPart 4に続く・・・・。