内容は、何でもプリンスが『パープルレイン』などヒットを飛ばしていた80年代に回帰したかのようなファンキーな傑作に仕上がっていると評判になっていることも有り、実際にどうなのかと思いながら、80年代音楽ファンとしてはいてもたってもいられなくなり、思わず購入してしまったというわけだ。そしてその内容を聴いてみて納得！かなり元気で、ファンキーで、活きの良い作品に仕上がっており、(自分も含め)往年のプリンスファンにとっては嬉しい１枚となった。あのプリンス独特な打ち込みパーカッション音も健在。
曲目は全9曲だが、最後に77トラック目に隠しトラックが入っている為、実際には下記全10曲のラインアップ。
1 Compassion
2 Endlessly Beginning
3 Future Soul Song
4 Sticky Like Glue
5 Act Of God
6 Lavaux
7 Walk In Sand
8 Sea Of Everything
9 Everybody Loves Me
10 Untitled Bonus Track (Laydown)
まずは1曲目の『Compassion』でノリノリにアルバムの幕が開ける。『Compassion』は、アルバム『1999』に収録されている往年の名曲『Delirious』の兄弟曲のようなファンキーで明るい曲でこのアルバムのオープニングを飾るに相応しい痛快な傑作である。2曲目の『Endlessly Beginning』もいかにもプリンスらしいミディアムファンク。一瞬『Compassion』に似た出だしだが、ノリを抑えた上でメロディーにやや哀愁を漂わせた感じだ。3曲目の『Future Soul Song』はアルバム『Purple Rain』に収録されていた『The Beautiful Ones』や『The Most Beautiful Girl in the World』的な美しいバラード曲。そしてバラードに浸っていたかと思えば、一転して4曲目の『Sticky Like Glue』で果てしなくアダルトでファンキーな曲を展開。そのタイトルの通り、プリンスが裏声でかなりねっとりとまとわりつく感じのスティッキーファンクだ。続く『Act of God』はバットマンのサントラに入っていそうな曲で、陽気に踊るジョーカーを彷彿させるから不思議だ。そして6曲目の『Lavaux』はこのアルバムで3番目に好きな曲。スケール感、ファンク度といい、なかなか心地良い傑作だ。カッティングギターのファンキーなリズムに乗せて、シンセが軽く入るサウンドが懐かしい雰囲気を醸し出している。『Walk in Sand』は残念ながら、やや退屈なバラード。個々には悪く無いのだが、比較的過去の曲にも似た感じであまり新しさや特徴が無い。『Sea Of Everything』もやや退屈なメロディーのバラードだが、ロマンチックな雰囲気のメロディーにプリンス得意の”裏声”がビンビン聴ける曲だ。そして最後9曲目の『Everybody Loves Me』はまた『Delirious』時代を思い浮かばせるノリノリな曲で、今夜、僕はみんなのことが大好きで、みんなも僕のことが大好きだから、みんなパーティーで盛り上がろうよ！みたいなそんな内容で、有る意味特に内容は無いのだが、単純明快でャWティブな歌詞が爽やかな１曲で、１曲目に次いで好きな曲。『Purple Rain』に収録されていた『Baby I’m a Star』を少しマイルドにしたような曲でもある。そして実はこの9曲目の後に隠しトラックとして77トラック目に、『Laydown』という曲が入っているが、これはやや曲調が異なる作品で面白いが、ファーギーのような声の女性ボーカルがサビに重なり、Black Eye Peasの曲かのような雰囲気さえあるファンキーな曲だ。
このアルバムを聴いて、往年のプリンスを思い出してしまうような元気なアルバムにまた巡り合えたのは嬉しい限りで、なかなかファンクの効いた秀作だと思う。マイケル無き後、やはり80年代の輝きを継承出来るのは、マドンナかプリンスだろう。プリンスファンもプリンスファンでは無い人もぜひ一度ご視聴あれ。
