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角松敏生、最新・会心のインストアルバム!

角松敏生が12月11日に、最新アルバム『Tiny Scandal』をリリースした。しかも、僕の大好物であるインストアルバムというのが何とも嬉しい。ギターのインストアルバムとしては、今年の夏に僕のブログでも取り上げた1999年リリースの『Legacy of You』以来34年ぶりというから驚きだ。

今回の『Tiny Scandal』はContemporary Urban Music シリーズ第1弾 『MAGIC HOUR〜Lovers at Dusk〜』から7か月余りでリリースされた第2弾となる。アルバムのPV映像を見たが、タイト目なスーツを着たOL 3名がダンスしている前でギターを弾いたり、バーで飲む角松敏生が登場し、バブル感がプンプン(笑)。狙いとして、まさに70年代、80年代に回帰したようなフュージョンサウンドとなっているのは嬉しい。そして角松敏生お約束となる、独特なエロさも忘れていない。

正直、僕は角松敏生のボーカルアルバムはあまり聴かないので、あくまでもインストアルバムが好きなのだが、同じように角松敏生流のインスト曲で、ギタープレイに酔いしれたいと思っているファンも結構多いようで、そんな人たちには今回まさに待望のアルバムだと言えるだろう。

収録されているのは下記8曲。僕の好きな過去の名盤『Sea is a Lady』と『Legacy of You』のように、曲に女性の名前が付いてないのは残念だが(笑)、曲としては彼らしいサウンドであり、また王道のフュージョンサウンドは期待を裏切らない内容だ。

01. NOA
02. Summer Scenery
03. MIDTOWN
04. Evening Shadows
05. SOEMONCHO STREET
06. Flowing Shiny Hair
07. Tequila Mockingbird
08. Tiny Scandal

1曲目の『NOA』から、角松敏生らしいキレのあるギターサウンドがさく裂。アルバム全体を通して、メロディーがどこか懐かしい80年代のフュージョンサウンドとなっており、とても心地良い。細かいギターテクニックも随所に見られ、素晴らしい。とてもキャッチーで、1曲目としての掴みはOK。『Summer Scenery』はまるでT-Squareのようなサマーフュージョンサウンドとなっている。『MIDTOWN』はカッティングベースの響きやサックスがカッコ良く、タイトルの通り夏の海から都会に場所を移したアーバンサウンドを展開。『Evening Shadows』は佐藤博のカバー曲で、落ち着いたアダルトコンテンポラリーサウンド。夕暮れから夜にシフトしていく海辺のデッキチェアで寛ぎながら聴きたくなるような曲だ。しっとりとしたピアノの音色が美しいバラードとなっている。

『SOEMONCHO STREET』は再び街中に繰り出して、都会/歓楽街の動きや躍動感がイメージできる小粋なアップテンポ曲。流れるようなギターサウンドは見事。『Flowing Shiny Hair』はタイトル通り、輝く長い髪の女性をイメージしたのだろうか、角松敏生の女好き(笑)がまた垣間見れるようで楽しい。また、冒頭の山下達郎サウンドのようなカッティングギターが何ともオシャレで、中盤はちょっと高中正義のギターにも近いサウンドだと感じた。『Tequila Mockingbird』はアルバムの中で唯一ヴォーカルのコーラスがフィーチャーされている曲で、こちらはRamsey Lewisのカバー曲だが、歌詞が付いているという意味ではDee Dee Bridgewaterバージョンのカバーと言えるのかもしれない。これまでに『Sea is a Lady』や『Legacy of You』でもコーラス的なものは入っているが、今回はかなり大胆にボーカルが入った曲だ。そして最後のアルバムタイトルにもなっている曲『Tiny Scandal』は、アルバムをしっとりとしたバラードで締めくくるお馴染みのパターンである。僕はこの全8曲の中では、『NOA』、『Flowing Shiny Hair』、『Tiny Scandal』が特に気に入ったが、アルバム全体としても良く纏まっていると思うし、技術的なことはあまり語れるわけでは無いが、ギターのテクニックとしても素晴らしい作品になっていると感じた。

あくまでも個人的な見解だが、今回のアルバム『Tiny Scandal』は心地良い、清々しいギターインストアルバムに仕上がっているし、8曲という選曲も潔いと感じた。しかしあえて欲を言うなら、僕が長年フュージョンアルバムの最高傑作だと思っている『Sea is a Lady』には、残念ながらインパクトという意味では及ばないかもしれない。夏に特化し、全曲のタイトルに女性の名前を付けたコンセプトも含め、やはり『Sea is a Lady』はメリハリもあって、艶のある見事なサマーアルバムであったと思うし、あの時代に、若い角松敏生によって制作されたからこそのクオリティと濃度とエロさを見事に兼ね備えたアルバムだった。これを今再現する、或いは超えていくのはさすがに簡単では無いかもしれない。それでも、今作で久々に角松敏生のギターインスト作品が聴けた喜びは大きいし、ファンの要望に応える形で見事なギターインストアルバムを制作してくれた角松敏生には心から感謝したい。暫くはこのアルバムを夜な夜な聴きながらギタープレイを満喫したい。

コメント一覧

シャア・アズナブル
角松の歌も、ギターサウンドも、その曲を聴くと何かしらの風景が頭の中に浮かび上がる。
そういったインパクトを持っているアーティストは他に浮かばない。
なので私は、NO END SUMMERに中二で出会った時から、角松オンリーなのです。
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