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思い出の曲46: UKバンド、『Level 42』の哀しいバラードたち

またまた80年代POPネタとなるが、みなさんは”Level 42”というUKバンドをご存知だろうか?

僕がアメリカで過ごした80年代、”American Top 40”というランキング・カウントダウンラジオ番組を毎週末欠かさず聴いていた。当時はインターネットも無い中で、TVやラジオが大きな情報源であったが、特にラジオはかなりステレオの前にかじりついて、カセットに録音していたのが何とも懐かしい思い出である。まさに80’s POPミュージックを浴びるように聴いていたわけだが、MTVが活況を呈していた中で、当時”ブリティッシュインベージョン“と呼ばれていたムーブメントの象徴として、The Police、Duran Duran、Culture Club、Wham!、Thompson Twins、Howard Jones、U2等々、無数のバンドやアーティストがUK/欧州から台頭し、これをアメリカ勢として、Michael Jackson、Prince、Madonna、Cindi Lauper、Bruce Springsteenや、Van Halen、Motley Crue等のアメリカンハードロックバンドなどが迎え撃つという形で物凄く音楽業界全体が華やいでいた時代だ。

そんな中、異才を放っていたグループも数多く登場したが、その中に”Level 42”というUK発のバンドがいた。元々ジャズファンク・フュージョン系の音楽を志向して1979年にデビューしたものの、1985年にリリースした6枚目のスタジオアルバム『World Machine』に収録されたシングル、『Something About You』がUK、そして全米のポップチャートで大ヒット。これを機に、フュージョンからよりポップスにシフトするきっかけとなった。

『Something About You』のヒットでは当初一発屋かと思われたが、その後1987年にリリースされた7枚目のアルバム『Running in the Family』も大ヒットし、更なる名声を掴むことに成功。このアルバムから『Lessons in Love』、『Running in the Family』、『To Be With You Again』、『It’s Over』、『Children Say』と5枚ものシングルヒットをチャートに送り込んだ。まさにLevel 42を代表する彼らの最大ヒットアルバムとなったのだ。

このアルバムは僕も一番好きなアルバムで、先日38年ぶりにLPレコードを手に入れた。このアルバムを最初に聴いた時、収録されている2曲の哀し気なバラードにすっかり惚れ込んでしまい、今でも時々聴いているくらい大好きな曲だ。その2曲とはシングルにもなっている、『It’s Over』と『To Be With You Again』。よりヒットしたノリのいい『Lessons in Love』と『Running in the Family』よりも、2曲のバラードの方が個人的には断然気に入っているし、思い出として深く記憶に残っている。

両方とも何とも美しく、切ない旋律・・・。特に『It’s Over』は、女性と別れることになり、彼女のもとを旅立つ男性の心情を歌った切ない歌だが、歌詞がまた何ともシンプルながら切ない内容。“君は僕に全てをくれたのに、僕は君のことを傷つけてしまった・・”と彼女への気持ちが語られるのだが、切ないメロディと美しいハーモニーに乗せてこの歌詞が届けられることでとても心に響く。『To Be With You Again』も、ある意味『It’s Over』へのアンサーソングのようでもあり、これまた切ない歌詞と旋律がグイグイ心をえぐる。Level 42の良さはまさにこの切ない旋律と美しいハーモニーにあると思うのだが、まさに彼らの特徴を見事に体現したような2曲の名バラードである。

当時ポップス界でも大きな爪痕を残したLevel 42だが、元々のジャズファンク、フュージョンの基盤がしっかりあったからこそ、他のアーティストとは少し違うユニークなテイストの音楽を届けることが出来たのかもしれない。近年で言えば、“KINDO”(ご参照: 世にも美しい切れ味のバンドを発見! - blue deco design lab)を初めて聴いた時に感じた感覚にも近いかもしれない。そして当時、時代が彼らのサウンドを求めていたというのも大きいが、40年以上も経った今改めて聴いても色褪せることはなく、個人的には変わらず心に響く音楽なだけに、もしかすると、時代はまたLevel 42の哀愁漂うクリアなサウンドを欲しているのかもしれないと勝手に思ったりしながら聴いている。

フュージョン色がより強かったLevel 42の初期アルバムの中にもハマっているアルバムがあるので、近々取り上げたいと思う。

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