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『死亡遊戯』に関してはこれまでに何度もブログで取り上げてきたが、1978年に公開されたブルース・リー“最後の主演作”であり、僕も公開時に割とタイムリーに観ることが出来たブルース・リー映画として思い出深い作品でもある。カルトアイコンとなったあの黄色いトラックスーツはあまりにも有名で、また俳優の死後に完成させた映画としても先駆け的な作品であり、その意味でも映画史に残る挑戦であったと言えるだろう。ブルース・リーが生前残したクライマックスの格闘フィルムを活かして1本の映画に仕上げる必要があったわけが、これを『燃えよドラゴン』の映画監督、ロバート・クローズに依頼して完成させた、香港を舞台とした“ハリウッド作品”なのである。
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この映画は、ブルース・リーが生前にフィルムを残していた約20分にわたる終盤のアクションシーンがなんと言っても映画のハイライトなのだが、その他の部分は全く撮影されていなかった為、1本の映画として完成させるには、かなりの苦労があった。まずはブルース・リーの代役となるそっくりさんや、他の映画のシーンを巧みに流用出来るように、劇中ブルース・リーがアクション俳優の役で、『ドラゴンへの道』や、『ドラゴン怒りの鉄拳』を撮影している設定にすることで過去の作品からの映像を使用している。そして、そっくりさんであるとわからないようにする為、劇中で変装したりするが、これも変装する必然性を持たせる為、劇中でブルース・リーが死んだように見せかけて、変装しながら復讐の機会を狙う物語となっており、この辺りの脚本がしっかり練られているのは、さすがハリウッド映画である。ちなみに、劇中の葬儀のシーンは実際のブルース・リーが亡くなった時の葬儀の模様で、デスマスクもチラッと映像に映っていることもあり、この辺りも巧みにブルース・リーの映像を流用しているのだ。
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今回一番心配だったのがブルース・リーのトレードマークでもある、あの“アチョー!”という怪鳥音だ。昔テレビやVHSビデオで観た『死亡遊戯』は米国で公開されたバージョンであったが、別の人がアチョーまで吹き替えしてしまっており、似ても似つかぬ気の抜けた変なアチョーになっていてとてもがっかりしたのを鮮明に覚えていた。しかし、今回の上映は怪鳥音もしっかりとブルース・リー肉声が採用されており、香港公開オリジナル版での上映となっており、とてもホッとした。
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今改めて観直してみると、やはりお粗末で雑なシーンも結構多い。何十回とこの映画を観てきて目もすっかりこえてしまい、明らかにそっくりさんだとわかってしまうシーンも多い。一番ひどいのは鏡にブルース・リーの顔写真が貼られたお粗末な手作り合成が施されているシーンはもはや苦笑いするしかない。そっくりさんも、顔が似ている人が一人、アクションシーンの代役をメインに演じたのはタン・ロン(そっくりさんから出世して、『死亡の塔』ではついに主役の座を射止めるまでになる)、一部アクロバティックなシーンは、あのジャッキー・チェンの弟分であったユンピョウが演じているのだ。
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こういう実写映画でのCGなどもまだ発達していない時代に(日本では、『死亡遊戯』の公開と同じ年にあの『スターウォーズ』も公開されたばかり)、バレバレなそっくりさんを何人も使い、全体的にはお粗末なシーンも多くなってしまったのは事実だが、それでも映画としてのクオリティーは、『燃えよドラゴン』並みに見事な仕上がりを見せており、さすがハリウッドでのプロダクションだけのことはある。苦肉の策として見事にひねり出した脚本は素晴らしく、ブルース・リー以外はハリウッドの実力派俳優を投入、更には音楽も007シリーズを手鰍ッたあのジョン・バリーを起用(紅一点コリーン・キャンプが歌う『愛のテーマ』も名曲!)。あのサモ・ハン・キンメ[が武術指導を担当、新規撮影部分には、『ドラゴンへの道』、『燃えよドラゴン』でもブルース・リーの敵役として出演したボブ・ウォールを『死亡遊戯』でも起用したのは、ファンとしても嬉しかったし、ブルース・リーが当時残したクライマックスでの格闘シーンにも登場するNBAレイカーズ(当時)のカリーム・アブドール・ジャバールとダン・イノサント(共にブルース・リーの弟子で、特にダンはブルース・リーの一番弟子で、今でも截拳道の第一人者)も、ハリウッドでの新規撮影にも参加したことで、ラストシーンへの繋ぎを見事に果たしている。
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また、劇中ブルース・リーの恋人役に白人女優のコリーン・キャンプを起用したことなどは、実際のブルース・リーの奥さんであったリンダへのオマージュも込めていると思われ、とても好感が持てた。このように、映画全体としては見所も多く、かなり上手く出来た映画であることを改めて痛感してしまう。
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家でブルーレイを細かく、マニアックに観るのも悪くないが、やはり大画面で観る『死亡遊戯』は格別であり、最後の華麗なるブルース・リーの格闘シーンは特に大画面が良く似合う。やはりブルーレイを持っていても、シネコンで観るブルース・リーが如何に素晴らしさを、今回の4K祭りですっかり満喫してしまったが、とても良い生誕80周年記念イヤーとなった。
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