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思い出の曲27: パロディ音楽の第一人者、Weird Al Yankovic!?

皆さんはWeird Al Yankovic(ウィアード・アル・ヤンコビック)をご存知だろうか?

日本でもアル・ヤンコビックとして1980年代に少し人気が出たが、主にパロディ音楽やコミックソングを手掛けていた人だ。当時日本では嘉門達夫、アメリカではアル・ヤンコビックが人気だった時代だ。僕もこの2人はかなりハマっていた時期があり、今でも時々曲などを思い出して笑ってしまう。今改めて見て思うが、チリチリ頭にメガネで、見るからにマニアックそうで、変わったルックスの奴だ(笑)。

アルが1984年にリリースしたマイケル・ジャクソンの『Beat It』のパロディ曲、『Eat It』がヒットしたことでたちまちパロディの帝王となった。音楽のみならず、ミュージックビデオまでもオリジナルを完コピする形でかなり手が込んでいたのが懐かしいが、まさにMTVが台頭してきた時代のならではの産物であった。

そして、1988年には、これまたマイケル・ジャクソンの『BAD』をパロった『FAT』が大ヒット。タイトルの通り、デブをテーマにしたパロディで、ミュージックビデオも大きな話題を呼んだマイケルの『BAD』を忠実に再現しながら、デブを登場させて、当時大いに笑わせて貰ったものだ。コンプライアンスが厳しい今の時代では、デブという言葉を使うこと自体憚れる世の中となったが、当時はこの手のギャグはとても多かった。アルバムのジャケットも完コピで、タイトルはマイケルの『BAD』(ワル・カッコいい)に対抗して、『Even Worse』(更に悪い)というタイトルで爆笑を誘っていた。

パロった歌詞自体もなかなか秀逸であった。下記が『FAT』1st verseの歌詞だが、比較的優しい英単語ばかりなのでわかりやすいかと思うが、この中で特に、”I got more chins than Chinatown”(Chinとは顎のことだが、Chinを陳さんにひっかけて、“僕の顎は中華街の陳さんより多いよ“というギャグ)の部分が今でも鮮明に記憶に残っており、今でもどこかの町の中華街に行くとこの歌詞が頭の中を駆け巡ってしまうから厄介だ(笑)。先日もモントリオールの中華街で、この曲がすぐに浮かんでしまった。

Your butt is wide, well mine is too

Just watch your mouth or I'll sit on you

The word is out, better treat me right

Cause I'm the king of cellulite

Ham on, ham on, ham on whole wheat, all right

 

My zippers bust, my buckles break

I'm too much man for you to take

The pavement cracks when I fall down

I've got more chins than Chinatown

 

Well, I've never used a phone booth

And I've never seen my toes

When I'm goin' to the movies

I take up seven rows

 

Because I'm fat, I'm fat, come on

(Fat, fat, really really fat)

You know I'm fat, I'm fat, you know it

(Fat, fat, really really fat)

You know I'm fat, I'm fat, come on you know

(Fat, fat, really really fat)

Don't you call me pudgy, portly or stout

Just now tell me once again who's fat

 

パロディというのは常に時代の流れやトレンド、社会風刺などを取り入れたものでなければウケないので、それなりに時代を掴み、読み解くセンスが必要だ。その意味で、アルは1980年から1990年代にかけてそのコメディの才能をいかんなく発揮したと言える。マイケル以外にもマドンナ、ニルヴァーナ、ジョージ・ハリソン、ティファニー、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、シンディ・ローパーなどのヒット曲をパロディ化してヒットした。

たまにはこう言ったバカバカしいパロディ音楽を聴いて、何も深く考えずに息抜きをするのも楽しいのだが、今改めてアルの曲を聴くと実は巧みに出来ていることがわかり面白い上、純粋に懐かしい。笑いの許容性も含め色々な意味で懐の広い良き時代であった1980年代を思い出させてくれる、思い出深いアーティストである。

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