1980年代にアメリカで青春を過ごした僕としては、80’sのポップミュージックを毎日浴びるように過ごしていたので、大きな影響を受けた。今でも80’sの音楽は頻繁に聴いているが、そんな輝かしい80’sの中で、ヒット映画のサウンドトラックアルバムが大ヒットした時代でもあった。そして、先日レコード屋さんで、80’sを代表する大ヒットアルバムを2枚発見したので懐かしくなり、思わず購入してしまった。それが、こちら『Flashdance(フラッシュダンス)』と『Footloose(フットルース)』のサントラだ。
この2作品は有名なので多くの皆さんが良くご存知だと思うが、当時映画として大ヒットし、劇中でかかる音楽も大ヒットしたことで、80’sを象徴する最強サントラとして何とも思い出深い。それまでのサントラというのは、主題歌なども入っていても、それ以外の曲はインストのBGM的な曲だったりするのが普通だった。しかし、この2枚のサントラは、劇中で使われたポップな曲が多く収録され、メインの主題歌のみならず、映画のヒットと共に挿入歌的な曲も次々にヒットチャートを駆け上がり、結果アルバムも大ヒット。まさにベストアルバムかのように、ヒット曲が満載のサントラアルバムとなった。
まずは『フラッシュダンス』だが、1983年に日本でも公開され、ダンサーを目指す主人公の青春物語が大ヒット。主演のジェニファー・ビールスは当時無名だったが、この映画で一躍有名になった。また、アイリーン・キャラが歌う主題歌、『What a Feeling』はCMなどにも多く使用され、当時一大ブームを巻き起こし、多くのバラエティ番組などでもパロディーが作られてブームとなったのが懐かしい。日本でも麻倉未稀がカバー曲を歌い、『スチュワーデス物語』のテーマ曲として大ヒット。またマイケル・センベロが歌う『マニアック』も大ヒットとなった。このサントラは全米で600万枚売り上げ、日本でも当時オリコンLPチャートで10週連続1位を記録した。個人的にはこのアルバムに収録されている『Lady, Lady, Lady』という曲が一番印象に残っており、この曲を聴くと、当時通っていたハイスクールの校舎などがすぐに思い出される。
次にやはり忘れられないのが1984年公開の『フットルース』だ。ミュージカル仕立てになっている映画は大ヒットし、サントラからは、ケニー・ロギンスが歌い大ヒットしたタイトル曲『Footloose』(後にケニー・ロギンスは『トップガン』の主題歌『Danger Zone』で再度大ヒットを飛ばす)、デニース・ウィリアムスの『Let’s Hear it for the Boy』、アン・ウィルソンとマイク・レノによるデュエット曲『Almost Paradise』、ボニー・タイラーの『Holding out for a Hero』(麻倉未稀が歌う日本語版はドラマ『スクール・ウォーズ』の主題歌にも抜擢された)など、多くのヒット曲を世にチャートに送り出した。当時正直映画としてはさほど面白いと思わなかったが(笑)、サントラに関してはヒット曲も多く、全米で1,000万枚売り上げ、日本でも18週1位という記録を打ち立て、かなり素晴らしいサントラとなったことは間違いない。僕はこのサントラの中で特に好きだったのが、『Let’s Hear it for the Boy』だった。今でも不意にこの曲のメロディを口ずさんでしまうほど、自分の記憶にしみついている1曲だ。
80’sは本当に音楽業界が異常な過熱ぶりを見せた時代であった。そんな時代にMTVなどの影響を色濃く受けて、映画も新しいメディアとしての進化を遂げたのである。そして映画のサントラも次々と大ヒットアルバムが産まれ、この2作以外にも『トップガン』や『ビバリーヒルズコップ』、ドラマの『マイアミ・バイス』など、映画、ドラマ、音楽などを融合させながらメディアミックス化していった華やかな時代でもあった。『フラッシュダンス』と『フットルース』はそんな80’sのサントラを代表する大ヒットアルバムとなったが、今回長い年月を経て、またLPレコードで当時のアルバムと再会できたのは何とも嬉しい出来事となった。