僕は1987年に4年半のアメリカ生活を終えて、日本に帰国したのだが、大学に入る前に日本ではユーロビートのダンスミュージックが一大ブームになっていた。そんな中でとてもオシャレなサウンドが印象的だったスウィング・アウト・シスターにハマっていた時期がある。スティング・アウト・シスターはイギリス発のトリオだったのだが、その音楽性はまるでフレンチポップスかのような欧州の香りが漂う、洗練されたサウンドだったので、とても耳障りのいい音楽だった。
現在はデュオ編成になっているものの、変わらず息の長い活躍を続けており、日本へも頻繁に来日し、Blue NoteやBillboardなどでパフォーマンスを見せている (今年も春に来日した)。その長い活動期間の中で多くのヒット曲を世に送り出しているが、僕が特に思い出深いのが、1986年にリリースした2枚目のシングル、『Breakout』だ。この曲は『It’s Better to Travel』というアルバムに収録されており、イギリスで4位、アメリカでも6位を記録。日本でも当時大ヒットしたのを良く覚えている。その洗練されたサウンドは、流行に左右されることなく、いつの時代に聴いてもその普遍的な魅力を実感することが出来る。
当時、イギリス発のユーロビート系のダンスミュージックではバナナラマ、リック・アストリー、カイリー・ミノーグ、サマンサ・フォックスなど、ストック/エイトキン/ウォーターマンという伝説的なヒットプロデューサートリオの曲が時代を席巻していたが、そんな中で『Breakout』は、ダンサブルなサウンドとして時流に乗りながらも、その一風変わったオシャレな曲調からとても新鮮に響いたのを良く覚えている。そして今でも『Breakout』を聴くたびに、大学に入る前の友人たちとの楽しかった記憶が鮮明に蘇るので、自分にとってはとても思い出深い、特別な曲である。
スウィング・アウト・シスターは今でも良くCDやiTunesなどで良く聴いているが、『Breakout』以外にも名曲が実に多い。僕は『Fooled by a Smile』、『You on my Mind』、『Waiting Game』、『Now You’re Not Here』(日本のみでのシングル)などが特におススメで、オシャレな雰囲気にどっぷり浸りたい時には最高の音楽である。