
そんな上田は、昔から訪れたい町であった。なぜなら、ここに僕がまだ訪れていない関東の城、“上田城”があるからだ。上田城には天守閣が無いのだが、それでも立派な櫓が3棟、そして見事な堀などが残されたスケール感のある城址公園となっており、また歴史上あの徳川軍を2度も撃退した難攻不落の名城としても戦国史にその名を刻む城だ。
今回、そんな念願を叶えるべく、ついに上田夏の陣に出陣したのである。まずは北陸新幹線で上田駅に降り立つ。駅前は比較的こじんまりとした雰囲気ながら、地方都市のターミナル駅としては平均的な規模感か。ロータリーの正面には早速真田幸村公騎馬像がお出迎え、気分を盛り上げてくれる。

駅から徒歩15分程度の場所にある上田城は2日目に行くことにし、初日は真田エリアと呼ばれる、上田から車・バスで20分ほどの山間を周ることに。
スタート地点は、ゆきむら夢工房という観光案内所から。入り口には真田幸村のゆるキャラ、“ゆきたん”がお出迎え。


ここで電動自転車を無料でレンタルし、まずはお決まりのコースとなっている真田歴史館へ。ここには真田一族の歴史に関する展示品なども多くディスプレイされていてとても勉強になった。

そして続いては真田氏館跡へ。ここは公園のように整備されているが、昔真田一族が屋敷を構えていた場所として、今は神社が祀られている。当時門があったであろう場所に石垣の跡なども残されている。


そして次に1日目最大の目的地、“真田氏本城跡”へ。ここは上田城が出来るまで真田氏がお城を構えていた場所で、上田の町を見下ろせる丘の上にある山城だ。堀切や虎口など残された遺構もあって、城跡好きには見応えのある城であった。



山城だけに、結構急な斜面を自転車で昇って行ったが、電動自転車じゃなければ厳しい傾斜であった。しかし本城跡からの眺めは抜群で、頑張って登ってきた甲斐が充分あった。


続いては、真田氏の菩提寺、長谷寺(ちょうこくじ)へ。ここには真田幸村の祖父となる幸隆、父の昌幸のお墓がある。

そして最後に、真田の里で有名な山家神社に立ち寄った。派手さは全くないが、境内に真田神社を備え、とても厳かな雰囲気が漂う神社であった。

さて恒例のご当地マンホール探し第一弾! 真田の町で、真田十勇士のマンホールなどを発見!カラー版と普通版があった。


ゆきむら夢工房で自転車を返却し、バスで再び上田市内へ。そして信州となれば、やはり蕎麦と考え、上田市内で有名なお蕎麦屋さんの“刀屋”に向かった。ここは、“真田太平記”を執筆した池波正太郎が好んで訪れていたという地元の有名店。お昼にはかなりの行列が出来ていた。

定番のざるそば(中)を注文したが、中サイズでもかなりの量!普通の蕎麦屋だと大盛りくらいの量はあろうか。そして麺が何とも太くて腰のあり、癖になる歯ごたえと美味しさであった。

お昼の後は上田駅からローカル線の“上田電鉄”に乗り、この夜宿泊する別所温泉に向かうことに。上田電鉄は幾つか異なるタイプの車両があるようだが、乗ったのはシルバーとネイビーの比較的現代的な車両。ワンマン電車にて途中駅はほぼ無人駅。車内で整理券を受け取って、バスのように降りる際に支払う仕組みはローカル線にはつきものだ。30分に1本くらいのペースで運航している。国内旅行では、こういったローカル線の旅も味わい深くて楽しい。2年前に松江から出雲大社に移動した際に利用したローカル線や、伊賀上野城を昔訪れた際に乗った伊賀線などが懐かしく思い出される。

途中、下之郷という駅で下車し、武田信玄の書状が残るといる生島足島神社を訪れた。なかなか立派な神社で、竜宮城のような朱色の建物や鯉がたくさん泳ぐ池が印象的であった。


境内には“歌舞伎舞台”と呼ばれる古い建物があり、中には武田信玄の直筆の書状が展示されていた。


再び上田電鉄に乗り、終点“別所温泉駅”まで移動。

そして別所温泉郷の中でも大正ロマンを感じさせる“旅館花屋”にチェックイン。レトロ風というよりは、本当に古い、歴史のある木造建物が何とも趣があり、素晴らしい温泉旅館。別所温泉は全く派手さが無いが、真田幸村も当時頻繁に好んで利用していたらしく、風情のある愛すべき温泉町であった。





2日目はいよいよ本旅行のメインイベントとなる上田城へ(続く)。