

これまでロックとジャズの融合や、民族音楽とのコラボなど、常に斬新なアイディアで音楽の新たな極みに求め続けているスティングだが、今度はクラシックとロックの融合である。ロイアルフィルハーモニー管弦楽団を引き下げて昨年アメリカとヨーロッパをツアーで周ったが、今年は年明けから韓国と日本への来日だ。しかも日本では東京ニューシティー管弦楽団とのコラボである。

スティングのライブを見たいと思ったのは、チケットが発売になってかなり時間が経ってからだったが、やはり大阪の方が東京に比べてチケットが取りやすい。東京では来週から武道館で3回の公演だが、人気のあまり追加公演となったらしい。大阪では1月13日の1回のみながら、こちらも多くのファンで盛り上がっていた。

ライブはとてもアダルトな雰囲気であった。クラシックとの融合であるせいか、総立ちでガンガン盛り上がるというよりは、基本的に着席しながらじっくりと聴く感じ。途中20分の休憩を挟んだ2部構成だが、全体で3時間にも及んだので、観客は大満足である。そして何と言ってもスティングのしゃがれ声が何とも魅力的。スティングは今年何と59歳。僕が高校生であった80年代にャ潟X、そしてソロシンガーとして大活躍しており、まさにその頃全盛期であったが、あれから25年以上も経った今でもスティングはルックスも声も変わらない感じだ。元々ハスキーな声質なので、歳を感じさせないのだろう。今回も管弦楽団の音楽にも負けない見事なボーカルを聴かせてくれたのは本当に感動的であった。

今回歌った曲は、ャ潟X時代の名曲である『Every Breath You Take (見つめていたい)』、『King of Pain』、ャ潟X時代初期の名曲『Roxanne』と『Next To You』、『Every Little Thing She Does is Magic』、そしてスティングソロ時代の名曲である『Englishman In New York』、『Fragile』、『Shape of My Heart』、『If I Ever Lose My Faith in You』など、懐かしい曲ばかり。特に『Every Breath You Take』や『Fragile』は感動のあまり、鳥肌が立ってしまった程である。そして地味な曲ながら、ファーストソロアルバムであった『Dream Of The Blue Turtles』に収められた『Russians』も披露されたが、これもせつないロシア的なメロディーの乗せた戦争の悲劇を歌いあげた曲。クラシックとの融合で、更に心に響く美しくも切ない曲に仕上げられていたのが印象的であった。

今回のライブを見る数日前から、iPhoneに入れているスティングのアルバムを聴いて予習していたが、僕はやはりャ潟X時代で言えばセカンドアルバムの『Regatta De Blanc (白いレガッタ)』と、ソロ時代ならこちらもセカンドアルバムの『Nothing Like The Sun』が大好きである。前者は若いエネルギーでロックに弾けるスティングが新鮮な名盤で、後者はアダルトなジャズ系の香り満載のアルバムで、スティングのアルバムの中でも最高傑作だと思っている。

大阪で久しぶりにあのスティングに会えて本当に良かった。しかもクラシックに挑戦したエネルギッシュなスティングを日本で体感出来たことは良い刺激になった。
