最近マッケンローに関するネタが続いている為、このブログで新たに“マッケンロー”というカテゴリーを設けることにした。そして、これを機に、久しぶりにマッケンロー、そして彼のプレイスタイルについて少し振り返ってみたい。
僕のマッケンロー好きは中学三年生の1984年頃から始まったと思うが、ちょうどアメリカのニューヨークに転校した頃からハマり、ハイスクール時代は熱中していたものだ。マッケンローのテニス人生のピークは1984年であったが、正直僕が最も熱狂的にマッケンローを応援していたのは1985年だったかもしれない。その年のマッケンローは多くの大会で優勝こそするものの、メジャー4大大会での勝利は無く、期待していた全米オープンでもライバルのレンドルに決勝でストレート負けを喫し、年間ランキングもついに1位を陥落した厳しい1年となった。
それまでのコナーズ、ボルグ時代に終りを告げ、1980年代前半はまさに“マッケンロー時代”を築いていた。しかし1985年頃からは、ちょうどレンドルが全盛期を迎え、またボリス・ベッカーのようなサーブ主体のパワーテニス時代への移行期に差し鰍ゥっていた頃で、マッケンローの天才サーブ&ボレーテニススタイルが少しずつ通用しなくなり始めているのを感じていたが、だからこそ尚更マッケンローの応援に力が入ったものだ。当時は毎週のようにアメリカのケーブルテレビで深夜放送されていたATPツアーの大会を、手に汗握りながら徹夜で見ていたものだ。
そして以前のブログでも取り上げたが、彼の愛用したNikeのシューズ、Air Trainer HiやMac Attack、Nikeのマッケンローシリーズテニスウェア、ダンロップのラケットMAX 200Gなどを愛用していたし、マッケンローの大型ポスターを幾つも自分の部屋に飾っていたものだ。自分でも好きでテニスをしていたが、あの頃は彼が本当に僕の憧れのスターであったのが何とも懐かしく思い出される。
マッケンローのテニススタイルは実に個性的且つ天才的だ。独特のフォームから繰り出すサーブはなかなか真似が出来るものではないが、僕もハイスクール時代に良く真似しようと練習していたものだ。サーブスピード自体が必ずしも一番速いわけではなかったが、そのコース(センター狙いか、サイドへの逃げていくサーブか)を読み辛くするサーブスタイルは実に効果的であったし、多くの選手に手を焼かせた。野球でいえば、頭脳投球と球の緩急で多くの白星を重ねた元ジャイアンツのエース、桑田真澄にも似たタイプなのかもしれない。
まるでつまようじのように柔らかいグリップでテニスラケットを振り回しながら、最小限のスウィングで、ペースを変えたパンチングショットをいきなり繰り出す。そして瞬く間にネットに出ると、天才的なボレータッチも神業であり、ドロップボレーや、信じられない角度でのクロスボレーなどでいつも観客を魅了した。ライジングで早目に打ち返すテクニック、徹底したサーブ&ボレーで如何に早くポイントを終わらせるかを様々な技を使って仕鰍ッるのが彼のスタイルであった。もちろん、いつも狙い通りにはいかないわけで、そんな時は得意のショートテンパーでかんしゃくを起こすこともしばしばあったが、これも全て彼が勝負師であり、完璧主義者であるがゆえの行動なのだ。そして彼のようなプレイスタイルの選手はいなかったので、その試合ぶりを見ると逆に今でも新鮮である。
マッケンローのサーブ&ボレーが強かったのは、当然ながらそのサーブの威力によるものだ。前述の通り、決してサーブそのものが異常にスピードが速いわけでは無かったが、サービスエースを取るのに充分な威力があった。コースが読めない為、どちらサイドにボールが来るのかが読めず、結局全く動けずにエースを与えてしまうことも多かったのだ。そして仮に何とかラケットに当てて、浮いた状態の返球をマッケンローは見過ごさない。スルスルっとネットに詰め寄り、ボレーを決めてポイントを取ってしまうのだ。こうして、巧みなサーブから、得意のサーブ&ボレーで相手を打ち負かしてきたのだ。
審判に文句を言うのは、確かにやり過ぎてしまうと見ていて決して気持ちの良いものではない。しかし、彼はラインコールの抗議で決して適当な嘘などはつかなかった。マッケンローが“アウトだ!”と主張する時は、大抵の場合実際に僅かでアウトであることが多かった。それだけ自らのラインコールに自信を持っていた証拠であるし、ラインアウトを見る確かな“目”を持っていたことに他ならないのだ。
錦織圭には更に世界で活躍して欲しいが、毎試合フルセットになることが多く、セミ・ファイナル、ファイナルまで行けたとしても、それまでの試合で体力を消耗し、疲労回復も遅れて怪我の原因にもなっているのではないかと思う。どうしても怪我での欠場が絶えないのが残念だ。マッケンローも以前言っていたが、錦織圭はもっと如何に序盤ラウンドを短い時間で勝利して、トーナメント後半戦に体力を残しておけるかが大きな課題だと思う。よって理想的には相手と長いラリーを続けるのではなく、サーブ&ボレーで早くポイントを終わらせるように仕鰍ッて行かなければならない。ボクシングで言えば、早いラウンドで相手をKOするのが理想である。しかし、錦織圭の場合に大きな課題となるのがサーブ。決して体格が大きく無い彼が、他の選手よりも強烈なパワーか高速サーブを打ち込むのは難しい。よって、サーブの仕方を変える必要がある。そこで、今こそマッケンローのプレイスタイルが参考になるのではないかと思うわけだ。マッケンローと同じサーブというのは難しいと思うが、エアケイのバネを活かしたサーブで、マッケンローのようにコースを読み辛くするサーブを身に付ければサーブ&ボレースタイルも可能では無いかと思ってしまう。その意味では、マッケンローにコーチとなって貰うのが良いのではないだろうか?
今こそ蘇れ、マッケンロー!
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