2019年冬、全9作からなるスターウォーズサーガが、ついに完結した。いや、完結してしまった、と言った方がいいかもしれない。1977年から1983年までに公開されたエピソード4,5,6を“旧三部作”、1999年から2005年までに公開されたエピソード1,2,3を“新三部作”、そして2015年から今年2019年までに公開されたエピソード7,8,9を“続三部作”と一般的に分類されているが、今回の続三部作をもってシリーズ完結を迎え、まずは今公開中のエピソード9、『スカイウォーカーの夜明け』を3回シネコンに観に行き、たっぷりと続三部作の世界観に浸りながら、旧三部作、新三部作への思いを馳せてみた。
そして、今回年末年始の時間を利用して、『スカイウォーカーの夜明け』以外は全て所有しているブルーレイで、本編全8作品、またサイドストーリーとなっている2016年の『ローグワン』、2018年の『ハン・ソロ』、2008年の『クローン・ウォーズ』を加えた11作品を一気に自宅で観賞した。シネコン気分を満喫する為、当時購入した映画のパンフレッドを引っ張り出して見ながら観賞するというのが“独りスターウォーズ祭り”の醍醐味である。
どの作品もシネコンで最低でも4回以上は観ているし、過去にDVDやブルーレイで何度も繰り返し観賞しているのだが、今回はフレッシュな気持ちでエピソード1から観賞したので、ちょっとまた違う気付きもあった。スターウォーズ全作品を観賞し直してみて、改めて評価と、感じたことを少し纏めてみた。
全スターウォーズシリーズ / Myランキング & 評価ャCント
①『新たなる希望』(エピソード4) 10.00
②『ジェダイの帰還』(エピソード6) 9.98
③『ローグ・ワン』(アナザーストーリー1) 9.97
④『シスの復讐』(エピソード3) 9.95
⑤『帝国の逆襲』(エピソード5) 9.93
⑥『フォースの覚醒』(エピソード7) 9.90
⑦『スカイウォーカーの夜明け』(エピソード9) 9.89
⑧『クローン・ウォーズ』(アニメ作品) 9.85
⑨『クローンの攻撃』(エピソード2) 9.80
⑩『ファントム・メナス』(エピソード1) 9.75
⑪『最後のジェダイ』(エピソード8) 9.73
⑫『ハン・ソロ』(アナザーストーリー2) 9.70
2) 全シリーズの感想・総括
やはりオリジナルの旧三部作が一番印象深いし、個人的に最も好きである。新三部作はジョージ・ルーカスのマニアックな構想の具現化という意味では、ファンとして特筆すべきシリーズであったし、ダースベイダーの誕生を目の当たりにしたインパクトは衝撃的で、何とも忘れ難いものがある。
アナキンとルークに焦点を当てたスカイウォーカー家の物語としては、正直エピソード1から6で一応の完結を迎えている。よって、エピソード7から9の続三部作は、新たな主人公、新たな物語を語る形となっている点で、本来の本筋とは異なった“アナザーストーリー“として捉えることも出来るし、過去の作品へのオマージュをふんだんに盛り込んだ”ご褒美“でもある。しかし、オマージュ満載で、ある意味ルーク、レイア、ハン・ソロも登場する同窓会として往年のスターウォーズファンも楽しめる要素を上手く取り入れた点で、製作スタッフ陣の手腕には脱帽した。続三部作から、ジョージ・ルーカスが第一線からは外れ、アドバイザー的な位置付けとなったこともあり、本当にジョージ・ルーカスがイメージしていたものとは違うかもしれないが、もしジョージ・ルーカスバージョンのエピソード7,8,9が製作されるようなことがあれば、面白いかもしれない。しかし、続三部作は新キャラ、しかも女性のレイを主人公に据えている点で、とても魅力的なサーガに仕上がっていると言える。
シリーズが完結し、これまでの42年間がスターウォーズを通じて、人生の様々な教訓を学んできたように思うが、まさに自分の青春、そして成長の大きな一部となっていることを今回の節目で改めて痛感させられた。
3) ルークの成長物語、そしてスカイウォーカー親子の絆を描いた“旧三部作”
ジョージ・ルーカスが構想した壮大な物語は、1977年に公開された一つのSF映画、『スターウォーズ』で始まった。公開されるや全米で大ヒットし、興行収入記録を塗り替えって瞬く間に世界を席巻していった。
僕が産まれて初めて映画館で観た映画が『スターウォーズ』だった。忘れもしない1977年、ロサンゼルス市内の映画館。父に連れて行って貰い、観たその映画に完全に打ちのめされた。あまりにも斬新で、まるでジェットコースターに乗っているような大迫力の映像に圧唐ウれ、度肝を抜かれたのを今でも良く覚えている。当時の映像技術は最先端であったし、映画館で観た迫力はまさに初めて体感する興奮であり、8歳の小学生にはあまりにも衝撃的であった。これ以降、僕はすっかりスターウォーズ信者になってしまったのである。旧三部作は、ルーク・スカイウォーカーのジェダイとしての成長物語、そしてルークとアナキン(ダースベイダー)のスカイウォーカー親子の絆を描き、オリジナリティーに溢れる唯一無二の世界観を実現した。
①『新たなる希望』(エピソード4)
僕が最も好きなシリーズ作品で、スターウォーズの原点。今観ても大変に実に良く出来ているストーリーとなっており、単体で完結した物語としても充分楽しむことが出来る。黒沢明に強い影響を受けたジョージ・ルーカスが、『隠し砦と三悪人』をベースにスターウォーズを製作したのはあまりにも有名な話だが、銀河を舞台にしたSFでありながら、武士道や日本的なエッセンスを多分に盛り込んだ映画として世界の映画ファンに“全く新しい”世界観として受け取られたのだろう。時代という日本語から派生した“ジェダイ”、侍の着物のようなルークの衣装、甲冑そのもののダースベイダー、日本刀をベースにしたライトセイバー。そしてフォースやジェダイの精神そのものがまさに武士道に通ずる哲学として設定されているのだ。そして、この作品でダースベイダーが映画史上に残る名悪役となった。
②『帝国の逆襲』(エピソード5)
『新たなる希望』から3年後の1980年に公開となったエピソード5、『帝国の逆襲』。渋谷スカラ座で父と一緒に長い列に並んでからやっと席を確保して観賞した思い出がある。この作品は3部作の中間に位置するが、マニアの間ではシリーズの中でも極めて人気が高い作品。改めて見返してみると、技術面では『新たなる希望』からの3年間で特撮技術も格段に進化して映像が更に美しく仕上がっており、また、映画史に残るダースベイダーの名セリフ、“I am your Father!”や、雪の惑星ホスでの戦闘、ジェダイマスター/ヨーダの初登場、レイアとハン・ソロの恋の行方、コアファンが多いボバ・フェットの躍進、ルークとダースベイダー初のライトセイバー対決など、ルークが次第にジェダイとして覚醒して行く過程で、見所が実に多いエモーショナルな作品となっている。また音楽でも、この『帝国の逆襲』で、あの有名になった”ダースベイダーマーチ“が初めてお披露目され、サントラとしてもシリーズの中で最大のインパクトを残した。
③『ジェダイの帰還』(エピソード6)
全シリーズの中でも『新たなる希望』に次いで僕の大好きな作品がこの『ジェダイの帰還』。当初英語タイトルが”Revenge of the Jedi”というタイトルであった為、邦題も『ジェダイの復讐』というタイトルで定着し鰍ッたが、ジェダイは復讐などしないということで、”Return of the Jedi” (『ジェダイの帰還』)というタイトルに落ち着いたのも当時話題になった。本作は旧三部作のラストを飾る作品として、シリーズの中でも特にドラマチックな作品となった。ルークとレイアが兄妹であったことがわかる形で、ハン・ソロとの三角関係にも終止符が打たれ、可愛いイウォークたちが大活躍する惑星エンドアでのスピードチェイス、そしてルークとダースベイダー最後の親子対決、シスの皇帝/ダース・シディアスから父ダースベイダーを取り戻す感動的な親子の絆を描いたクライマックスは、全シリーズの中でも涙無しには観賞出来ない傑作となった。マスクによって無表情の筈のダースベイダーが、マスクの下の苦悩や息子ルークへの父としての思いなどを、悲しいほど画面から感じ取ることが出来たのは実に感無量であった。
4) アナキンの墜落、そして師弟の絆を描いた、新三部作
旧三部作でスターウォーズは完全に終わったと思っていたが、なんとジョージ・ルーカスが新三部作としてルークの時代よりも前の時代、しかもあのダースベイダーが誕生するまでの物語を製作するというニュースが流れた時の興奮を、今でも良く覚えている。この新三部作始動に向け、ジョージ・ルーカスは旧三部作もデジタルリマスタリングにより映像に大きなデジタル修正を加えて、スターウォーズ特別編として旧三部作のリバイバル上映を行ったことも話題を呼んだ。そして、エピソード6公開から15年が経った1999年、『ファントム・メナス』の公開によって、ついに新三部作が始動。1999年当時は米国のシリコンバレーに住んでいたが、会社を休んで前売りを買いに行き、公開当日も朝からシネコンの前に並んだのがとても懐かしい。スターウォーズファンは、15年ぶりに“帰ってきた“スターウォーズに大熱狂したのだ。しかも、ジョージ・ルーカスが自ら監督として手鰍ッたのもファンとしては感動的な出来事であった。
①『ファントム・メナス』(エピソード1)
15年ぶりとなる1999年に公開された『ファントム・メナス』は世界で大ヒットし、エピソード4に次ぐ興行成績を公開当時上げたものの、ファンの間では賛否両論が巻き起こった。まずはジャー・ジャー・ビンクスという新キャラクターの評判が悪かったことや、特撮技術やCGのクオリティーがこの15年で革命的に進化した時期であり、旧三部作との大きなギャップが出来てしまったこともあり、旧三部作の人間味溢れる映像に愛着があったファンには少し機械的で先進的過ぎたのかもしれない。しかし、新三部作のマニアックな設定こそが、創造主ジョージ・ルーカスが描いていた構想に近い世界観でもあり、コアファンにとっては新シリーズの実現に歓喜した。物語的には、『新たなる希望』にも近い構成だが、最大の魅力は、やがてダークサイドに堕ちてダースベイダーとなるアナキン・スカイウォーカー少年が登場することだ。その後の悲しい運命を暗示しながらも、『ファントム・メナス』では選ばれし者として、ジェダイになるべく育成していく生徒(パダワン)として位置付ける形で物語は終わる。若きオビ=ワン・ケノービ役にユアン・マクレガー、ナブーの王女パドメ役にナタリー・メ[トマンが演じ、またサミュエル・L・ジャクソンがメイス・ウィンドゥを演じ、大きな話題を呼んだ。そしてヨーダを始めとして、クワイガンなどのジェダイナイトが大勢登場するのは何とも新鮮であったし、アナキン少年の非凡な才能を示したャbドレースのシーンは迫力満点であった。
②『クローンの攻撃』(エピソード2)
この作品も改めて観返すと、実に味わい深い中間エピソードであることがわかる。青年となったアナキンと、惑星ナブーの王女パドメの間の禁じられたラブロマンスが色濃く描かれており、全シリーズの中で最も甘い作品となっている。一方でこの愛がジェダイの揩ノ反して、次第にアナキンを苦しめ、ダークサイドに堕ちていく要因となる様子が丁寧に描かれている。またシリーズの人気キャラクター、ボバ・フェットの父となるジャンゴ・フェットがクローン戦士の遺伝子のもとを提供しているなど、マニアにとっても興味深い展開となって行く。また、大勢のジェダイ戦士が戦うシーンや、キレキレのヨーダとドゥークー伯爵のバトルシーンも大きな見所となっている。余談だが、このクローン戦争時代を描いたアニメ版サイドストーリー、『クローン・ウォーズ』がかなり秀逸で僕は好きだ。まだダークサイドに堕ちる前のアナキンの活躍を実に深く取り上げて描いているのがファンには何とも嬉しい。
③ 『シスの復讐』 (エピソード3)
新三部作の最終章にして、全シリーズの中で最も悲しいエピソードであり、この作品も最後は涙無しに語れない。ついにアナキンがダークサイドに堕ちてしまい、そしてオビ=ワン・ケノービとの何とも悲しく切ない師弟対決の末、アナキンが手足を切断され、瀕死の状態をダース・シディアスに救われ、ついにダースベイダーとなってしまう。ジェダイはヨーダとオビ=ワンの二人を残して、壊滅状態となってしまい、ダークサイドによる銀河支配が決定的となってしまう。パドメはルークとレイアという2人の子供を出産するが、出産と共に命を落としてしまい、ルークはオビ=ワンによってアナキンの生まれた砂の惑星タトゥイーンのオーウェン・ラーズのもとへ、そしてレイアは惑星オルデラン王室のベイル・オーガナの養女として預けられた。全体的には暗いトーンに支配されているものの、エピソード4へと繋がる希望的な余韻を残して映画は終わる。
5) レイを主役に据えたスカイウォーカー家物語の続三部作
2015年から公開が始まった続三部作は、ある意味スターウォーズファン全てに贈る、偉大なる“オマージュ”とも言える内容。以前、EP1-6の中の名場面を連想するようなシーンがふんだんに盛り込まれており、懐かしさと同時に新たなファンへのサービス精神を忘れていない。これをオマージュと取るか、焼き直しと取るかで評価が大きく分かれるところではある。賛否両論はあろうかと思うが、スターウォーズはもはや“宗教”であり、世界中の信者を全て100%満足させるのは至難の業と言える。そんな厳しい状況の中、可能な範囲で最大公約数的に信者を満足させたという意味においては、今回のEP7,8,9は見事な成果を上げたのではないかと思うし、全米歴代興行収入No.1に輝いたEP7 (フォースの覚醒)の人気の凄さがその成果を物語っている。新旧のスターウォーズらしい要素で上手く化学反応を起こさせ、新たなスターウォーズ“神話”の道筋をしっかりと形成したという意味で、大変優れている映画であった。エピソード4-6に登場した懐かしの主人公たちも再び登場しつつも、しっかりと物語が新たな世代に受け継がれているということを実感させる為、魅力的な新主人公、~しかもヒロイン!~を登場させて、しっかりと新たなヴィジョンを描く。スターウォーズの脚本をこれまで手がけてきたローレンス・カスダンによる力も大きい。
① 『フォースの覚醒』(エピソード7)
スターウォーズシリーズの“王位継承”としては見事な作品であり、期待以上の傑作に仕上がっていたと思う。これまで全米映画興行収入ランキングトップに長らく君臨していたあの『アバター』を抜いて、ついにスターウォーズ フォースの覚醒が"全米一"の映画となったのだ。世界に10億人いると言われるスターウォーズファンの多く、そして新たなファンを魅了していることは数字からも明白である。ちなみに、レイを演じるデイジー・リドリーは今回オーディションでレイ役を勝ち取ったほぼ無名の存在。しかし、今回のレイ役はまさにはまり役で、彼女の聡明さと凛とした美しさはフォースに目覚めて行く強い女性/ヒロインとして素晴らしい魅力を放っている。パドメ王女を演じたナタリー・メ[トマンやキーラ・ナイトレイにも似た雰囲気を持っている女優だ。フォースの覚醒大ヒットは、彼女と、これまた最高に可愛い新キャラロボット、BB-8によるところも極めて大きい。
② 『最後のジェダイ』(エピソード8)
続三部作の中間エピソードではあるが、本作はルークの物語と言っても過言ではない。『フォースの覚醒』のラストで、レイがルークと対面してライトセイバーを渡そうとするシーンで終わるが、その続きからも描かれており、ルークとレイの訓練の様子などは、ルークとヨーダのダゴバでの訓練を連想させるシーンとなっており、ルークとカイロ・レンのラストの対決はシリーズ史上でも圧巻の迫力であった。魅力が随所に散りばめられている。また、全体のプロットや物語進行が『帝国の逆襲』にとても近い作品となっている点も見逃せない。またシリーズの中で最も哲学・文学的な作品となっているのも大きな特徴で、この点がやや小難しいとファンに捉えられてしまった感は強いかもしれない。しかし、久々にヨーダとルークの2ショットが登場するのがファンには嬉しいサプライズであった。哲学・文学的な作品であったと同時に、最も“アート的”な印象が強かった作品でもある。色として、“赤”を効果的に様々なシーンで使っており、ビジュアル的に他の作品には無い斬新さをもたらした。メ[グという可愛い新キャラも初登場。マイナス面としては、この作品におけるフォースの描写がかなり行き過ぎた感はあり(レイアが宇宙を移動したり、ルークがバーチャルでカイロ・レンと戦ったり、カイロ・レンとレイがSNSばりにバーチャルライブチャットをしてしまう様子)、ややファンを白けさせてしまった点は否めない。
③ 『スカイウォーカーの夜明け』(エピソード9)
続三部作となるEP7と8で謎となっていたレイの素性・生い立ちがついに明らかになり、またシリーズ全9部作の完結編ということもあって、華々しく、とても素晴らしいハッピーエンドを迎えて見事に完結するのだが、悪の皇帝、ダース・シディアスことパルパティーンが復活し、レイとベンが最後の戦いに挑む。その強いフォースから、ジェダイの血縁だと思われていたレイが、実はパルパティーンの孫娘であったという衝撃の事実も判明するが、この構図は、ジェダイの血縁を持ちながら、ダークサイドに堕ちてしまったアナキン・スカイウォーカーとは全く逆とも言えるのが興味深い。レイが父を唐キ構図もルークとアナキンに通ずるが、決定的に違うのは、レイが自らの血縁を断ち、スカイウォーカーとして生きていくことを誓うことで、己の運命を変えるところにある。最後の作品だけあって、『フォースの覚醒』でカイロ・レンに殺されてしまうハン・ソロも幻影となって復活したシーンは感動的であった。またこの作品公開前に残念ながら亡くなってしまったレイアを演じたキャリー・フィッシャーも、『最後のジェダイ』の際に撮影したシーンなども使いながら、本作にも引き続き登場。またルークも幻影として登場する為、ルーク、レイア、ハン・ソロの観収め・揃い踏みも実現した。
そして最後の最後でまた見事なエンディングが用意されていた。全ての戦いを終えたレイは、ルークとレイアのライトセイバーを持って、ルークの故郷、懐かしい砂漠の星タトゥイーンを訪れ、ルークが昔住んでいた家跡に2つのライトセイバーを埋める。この時、レイは新たな色のライトセイバーを持っているのだが、これこそまさにパルパティーンの血を引くレイが、自らの運命を変えてジェダイになった証でもあり、真の平和を象徴する瞬間でもあり、何とも感無量であった。更に、通りがかりの老女が、“この辺りにはもう長い間誰も訪れていなかったが、あなたは誰?”と聞かれ、“レイです”と答えたことに老女は、“名字は何?”と聞く。そこで、ルークとレイアの幻影がレイの目に移り、“レイ・スカイウォーカーです”とレイが答えて映画は終わるのだが、このシーンは、今回のエピソード9のタイトル『スカイウォーカーの夜明け』にもうなずける見事!レイがついに正真正銘の“スカイウォーカー”となり、ジェダイを継承することがはっきりした感動的なラストであった。
6) アナザーストーリーシリーズ
スターウォーズ続三部作公開の間の年に、アナザーストーリーが公開されることがディズニーから発表され、SWファンはまたもや歓喜した。そしてアナザーストーリーとして製作された第一作、『ローグ・ワン』があまりにも傑作だったのには正直驚いた。
①『ローグ・ワン』
僕の中では、スターウォーズシリーズの中で3番目に好きな作品。スターウォーズの名に恥じない見事なサイドストーリーであり、純粋なエンターテイメントとしても、スターウォーズ作品としても極めて完成度が高い作品に仕上がっている。本編シリーズに勝る骨太な内容は、観る者を完全にスターウォーズの世界観に引き摺り込むし、主人公たち全員がラストで死んでしまう設定は衝撃的であった。
『ローグワン』はこれまで語られることがなかったスターウォーズの"外伝"的な物語。位置付けとしては、エピソード3と4の間、しかもエピソード4の直前までを本作で見事に描いており、その意味では、エピソード3.9とも言える作品だ。エピソード4のオープニングタイトルロールで、反乱軍がデススターの設計図を入手したことがサラッと触れられていたが、そのデススター設計図を、名も無きはぐれもの(ローグ)となった戦士たちが奪うという、生還不可能な命懸けのミッションに焦点を当てた物語なのだ。フォースを備えたスカイウォーカー家の物語である華々しい本流のスターウォーズとは異なり、ローグワンにはジェダイは出てこないし、華やかさは無い。また彼らは反乱軍の為に命をかけると言うよりは、ただただ、正しいことを求めてプライドをかけて戦うと言うその純粋さに思わず心を奪われる。
主人公は孤独な女性戦士のジン・アーソ。ジンがまだ幼い時に、エンジニアである父のゲイレン・アーソが帝国軍に連れ戻されてしまい、母は帝国軍に殺害されてしまう。そして、大人になったジンは、父ゲイレンがまだ生きていること、そして帝国軍の殺人兵器、デススターの設計に携わっていることを知る。ローグワンは、スターウォーズシリーズに脈々と流れるテーマである家族愛、父と娘の物語でもあり、親娘設定はいつも感情移入して泣かされてしまう。そしてジンがローグワンのリーダーとして周りを統率して行く姿がとても上手く表現されている。
ジン・アーソ役には『博士と彼女のセオリー』でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、主演作が続く今注目の若手女優、フェリシティ・ジョーンズ。イギリス英語が印象的な可愛い女優だと思って前からかなり気になっていた。今回ローグワンを観て彼女の印象が少し変わったが、とても芯の強い、凛とした女性戦士を見事に演じていたので益々好きになってしまった。その他ローグワンの仲間たちも一癖も二癖もある個性的な面々。中でも香港アクションスターのドニー・イェンが、盲目の戦士チアルート・イムウェ役でキレのある棒術アクションを見せる。チアルートはジェダイでは無いが、ジェダイの能力に極めて近い技量を持つ設定。アジア人もついにスターウォーズに出演する時代になった。ローグワンチームは、"七人の侍"的な面白さがあって、過酷なミッションの下に結束した名もなき彼らの運命が何とも切ないのだ。
『ローグワン』は、これ自体が完結した一つの物語なので、スターウォーズを今までに見たことが無い人でも充分に楽しめる。しかし、スターウォーズ好きには、色々な"お楽しみ"が用意されているところが何ともニクイ。反乱軍のラダス提督、反乱軍のリーダー、モン・モスマなどマニアにはお馴染みのキャラも再登場。また、帝国軍のターキン司令官がエピソード4以来また登場するのも、ファンにはたまらない見どころ。そして、何と言ってもあの"ダースベイダー"も再登場しているところはもはや感動的!スターウォーズのアナザーストーリーであることをしっかりと再認識させてくれる展開だ。そして、映画の最後にはCGのレイア姫もサプライズ登場するのには驚いた。
②『ハン・ソロ』
あのスター・ウォーズで最も人気のあるキャラクターと言っても過言では無いハン・ソロの若い頃にスャbトライトを当てた作品。『新たなる希望』に初めて登場したハン・ソロよりも更に十年以上も前の時代を描いているので、エピソード3と4の間だろう(3.2くらいだろうか)。興行成績が米国で芳しくなったのは大変残念だが、個人的には本作は大変良く出来た外伝だったと思うし、独立した映画としても秀作であったように思う。
本作では、ハン・ソロが生涯の相棒、チューバッカと如何にして出会ったか、そしてあの『ミレニアムファルコン』号をどうやって手に入れたか等、スター・ウォーズファンなら誰でも知りたいエピソードが詰まった作品なのだ。ハン・ソロはやがてレイア姫と結ばれ、ベン(カイロ・レン)の父になるのだが、実は若い頃は別に好きな女性(元カノ)がいたことがこの作品でわかる。ハン・ソロと同じ惑星コレリアのスラム街で共に育った幼馴染として登場するキーラがこの元カノにあたるが、キーラが本作最大のキーパーソンとなっている。
キーラを魅力的に演じるのはエミリー・クラーク。ターミネーター/新起動でサラ・コナーを演じるなどして注目を浴びている新鋭女優であり、今後の活躍も注目だが、本作でも知的な美しさを放っており、『ローグワン』でのフェリシティー・ジョーンズ同様、美しく、強い女性の役どころに見事ハマっている。そして“ミレニアムファルコン号”についてだが、これは『SWエピソード5帝国の逆襲』で登場したランド・カルリジアンが所有していたことは有名な話。今回は若き日のランドも登場し、ハンが賭けでランドに勝って最終的にハンがミレニアムファルコンを手に入れる過程が初めて描かれる。
若きハンを演じるのはオールデン・エアエンライク。今回初めての主演映画ということだが、とてもうまくナチュラルな演技が光る。ランド役にはドナルド・グローバー。またハンを導いていく父親的な存在となる、ならず者ベケットを演じるのはウディー・ハレルソン。そしてチューバッカに加えて、ランドが心を寄せ信頼するL3-37という女性型のロボットが登場する。映画の最後近くで、犯罪組織クリムゾン・ドーンの真の黒幕として、あのエピソード1に登場したダース・モールが再登場するのには正直驚いた。キーラはハンのことを愛しており、そして彼を悪の道に引きずり込みたく無いからこそハンとの別れを決意するが、彼女自身はダース・モールから逃れることが出来ない悲しい運命であることが最後明らかとなる。
③『クローン・ウォーズ』
2008年に公開された3DCGアニメ映画。アニメ作品ながら、CGにも近いクオリティーで制作されており、一方でCG化する実写のEP1-3と見比べても違和感のないCG世界観が確立出来ているのは実に素晴らしい。設定としては、本編EP2と3の間のクローン戦争時代3年あまりの期間を舞台に、アナキン・スカイウォーカーの活躍を描いている。EP1-3の世界観をそのままにアニメで再現しており、その後のテレビシリーズ『クローン・ウォーズ』の序章として位置付けられている物語だ。お馴染みのオビ=ワン、ヨーダ、パドメ、メイス・ウィンドゥ、ドゥークー伯爵、ジャバ・ザ・ハット、そしてジャバの子供なども登場!そして、僕の好きな『クローン・ウォーズ』オリジナルとなる魅力的なキャラクター、アソーカ・タノがアナキンの弟子(パダワン)となって大活躍するのだが、血気盛んなアナキンが、勝気なジェダイギャルを弟子にすることになってしまうというのもなかなか面白い設定だ。ジョージ・ルーカス自ら製作総指揮を執ったことでも、スターウォーズシリーズとして重要な作品となっている所以だ。
7) 終わりに。。。。
全12作品を観終わってかなりの体力を消耗したが(笑)、スターウォーズは、やはり最高に見応えのあるスペースサーガである。大げさに言えばスターウォーズシリーズと共に歩んできたこの42年間は自分の人生そのものであり、思えば子供の頃からスターウォーズを見ることで善悪に対する価値観や人生観そのものを学んできたと言っても過言では無い。いい意味でスターウォーズは宗教・哲学にも匹敵する影響力を持った世界なのである。そして、こんな壮大な構想を描いた創造主のジョージ・ルーカスには改めて敬服する以外に無い。
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