
前作の『Red Carpet Massacre』も渋くもカッコいいデュラン・デュランアルバムで好きであったが、今回はより若返りをはかったようなサウンドに仕上がっている。収録されているのは下記全9曲。
1) All You Need Is Now
2) Blame the Machine
3) Being Followed
4) Leave a Light On
5) Safe (In the Heat of the Moment)
6) Girl Panic!
7) The Man Who Stole a Leopard
8) Runway Runaway
9) Before The Rain

まずはシングルとなっている1曲目の『All You Need Is Now』は名アルバム『Seven and The Ragged Tiger』に収められたヒットシングル、『New Moon On Monday』を思い出させるようなサウンドで思わず嬉しくなってしまった。いかにもデュラン・デュランらしい作品。続いて2曲目の『Blame the Machine』はテンモフ速いシングルクオリティー曲だが、これは僕の最も好きな『Rio』や『Electric Barbarella』に似た傑作である。5曲目の『Safe』もシングルクオリティーで『Notorious』の頃のデュラン・デュランに近い曲で、とてもキャッチーなメロディーとバックコーラスが印象的だ。そして本アルバムの中で個人的に一番気に入っているのは6曲目の『Girl Panic!』。タイトルに”Girl”がついていることですぐにあの初期名曲『Girls On Film』を連想してしまったが、曲もその期待感を裏切らない素晴らしい作品。Andyがギターを担当していないのだが、往年のデュラン・デュラン作品に聴かれたAndyのような歯切れの良いギターがガンガン響く。そして7曲目は『The Man Who Stole a Leopard』は、Nickのシンセが印象的に染み込むバラードで、あの名曲『Save A Prayer』を思い起こさせる。そして8曲目の『Runway Runaway』は爽快感たっぷりの作品で、これも好きな1曲である。

アルバム全体を通して言えることは、まず全9曲に無駄な捨て駒的な曲が無いこと。どれもシングルを狙えるような出来栄えで、各曲が黄金期の名曲を思い起こさせるようなシングルクオリティー曲ながらも、どこか新しさを兼ね備えているところはさすがである。
Simonのボーカルが昔と変わらず元気でハリがあるが、30年以上も前の80’sの頃と比べても全く遜色がないというのは本当に驚きである。むしろ若返っていると思えるくらいだ。そしてNickのシンセやJohnのベースも健在で思わず感動してしまう。写真を見て貰ってもわかると思うが、ルックスも意外におじさんぽくなっておらず、斬新な感覚さえあるから不思議だ。逆に80’sの頃から相当先取りしていたのかもしれない。

本アルバムはまだCD化されていないことも有り(CDは2月発売予定?)、あまり宣伝もされていない為かなり地味な印象を受けるが、その内容は本来大ヒットしてもいいくらいの傑作である。ぜひiTunesでのダウンロードをお薦めしたい。