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Dua Lipa会心のサードアルバム、『Radical Optimism』!

僕の大好きなミレニアム世代のグローバルアイコン、Dua Lipa3枚目のアルバムとなる『Radical Optimism』が5月8日にリリースされた。前作『Future Nostalgia』から実に4年ぶりのニューアルバムである。そんなに経っているような感覚は無かったが、確かにこの4年というのはコロナもあり、その後のヒーリングも含め、世界中がそれなりの時間を要した4年だったのかもしれない。

まずアルバム全体を通して聴いた感想として出た言葉は、“会心の一発”だった。個人的には今でもファーストアルバムのDua Lipaが一番衝撃的で印象に残っているのだが、確かに前作はそんな素晴らしいデビューアルバムのプレッシャーもきっとあった中でかなり秀逸な未来志向型でノスタルジックなEDMアルバムで驚いたのを思い出した。そして今回も4年ぶりということでかなりの期待が高まっていたが、路線はある程度『Future Nostalgia』を踏襲しながらも、新たなクラブミュージックサウンドを確立している。もはや貫禄さえ漂うDua Lipaである。

タイトル、『Radical Optimism』とは、Radical (過激)な状況でOptimism (明確さを持つことの純粋な喜びと幸福)を表現する意味が込められている。またロンドンのエネルギーが注入され、90年代のブリットポップの生の感覚、ストレートで、自信、自由さを体現した作品として紹介されているが、確かに解放的で、安心して聴けるポップ世界に仕上がっており、どの曲もシングルクオリティと言える出来映えだ。そこにDua Lipaの私的な思いが込められているのだ。

収録曲は下記全11曲と実に潔い。

  • End of An Era
  • Houdini
  • Training Session
  • These Walls
  • Watcha Doing
  • French Exit
  • Illusion
  • Falling Forever
  • Anything For Love
  • Maria
  • Happy For You

この中で、1曲目の『End Of An Era』は、サウンド的に過去2枚のアルバムの“残り香”的な曲になっており、今回のアルバムへの橋渡し的な役割を感じてしまった。そして2曲目に昨年大ヒットした『Houdini』を持ってきており、アルバムからのセカンドシングルとなる『Training Session』が3曲目に続くという怒涛のダンスサウンド展開だ。サードシングルとなっている『Illusion』は7曲目だが、こちらもキャッチーなダンスソングとなっており、ノリとビートが何とも心地良い1曲。先行シングル2曲はアルバムリリース前から聴いていたし、特に『Houdini』はノリの良さと、巧みな歌詞が結構お気に入りで、自分のヘビロテ曲になっていた(特に長い舌を出して鏡を舐める何ともエロいシングルジャケットが好きだ(笑))。しかし今回アルバム全体を聴いて、その他の曲の素晴らしさにも驚いた。

まず、そんな一級のダンスソングが前半並ぶ中で意表を突かれたのが、4曲目の『These Walls』。とても明るいが、ダンスソングというよりは何とも爽やかで軽やかなサウンドがある意味Dua Lipaらしくなく、とても新鮮な驚きであった。

そしてその他アルバム後半にも特筆すべき曲が目白押しだ。今の時代、正直クオリティの低い洋楽も実に多いような気がするし、逆に一般的に流行っている曲もキャッチーだが、中身の無い、薄っぺらく、あまり後に残らない曲も残念ながら多くなっているような気がする。しかし、Dua Lipaの曲は新しい中にも80年代/90年代のようなメロディアスなサウンド回帰とも言える要素があり、どの曲も緻密にじっくりと作りこまれている印象だ。曲自体の良さもさることながら、そこにやっぱり太く魅力的な彼女の歌声と圧倒的な歌唱力により、高いサウンドクオリティに昇華されていると感じる。その意味では他がマネ出来ないDua Lipaサウンドが確立されていると言えるだろう。

例えば8曲目の『Falling Forever』は、サビ部分で伸びのある彼女の歌唱が何とも印象的で、どこかエキゾチックな中東の香りを感じさせる曲で、このアルバムの中で一番のお気に入り曲となった。9曲目の『Anything For Love』はピアノ中心のアコースティックテーストのバラード曲かと思わせるような形で曲が始まるが、途中でダンスビートが展開され、短い曲ながら、安定のアップテンポバラードとなっている。そしてラテン調のサウンドが印象的なのが10曲目の『Maria』。ここでは純粋にDua Lipaの巧みな歌唱力を体感出来る。そして最後11曲目の『Happy For You』は、どこか自然の中にいるような小鳥のさえずりで始まり、未来志向型の希望に満ちた曲で、サビでの声の裏返りが何とも心地良い天使のようなサウンドでアルバムは幕を閉じる。

このように、今回の『Radical Optimism』はバラエティに富んだアルバムで、聴く者を飽きさせない。そして良くも悪くもどこかダンス一辺倒だった前作をまた新たな形で進化させたという意味でかなり秀逸なサードアルバムとしてファンのもとに届けてくれた。さすが僕の好きなDua Lipaだ。暫くはこのアルバムをじっくり楽しむことにしたいが、またぜひ知的で、可愛くて、カッコ良くて、セクシーな彼女の来日公演に期待したい!

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