まず会場に入るや否や、いきなり等身大の怪獣が次々と出迎えてくれる。ウルトラマンに登場する人気も高い怪獣「レッドキング」、最終回にウルトラマンを苦しめた強力な「ゼットン」、それに悲しいエピソードを持つ怪獣「ジャミラ」、可愛い人気者の「ピグモン」などがその勇姿を見せてくれているのが実に嬉しい(中学時代担任の先生が「ジャミラ」というあだ名だったことがすぐに思い出される(笑))。展示はその後、ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンの3作品を中心に、当時のミニチュアセット、衣装、小道具、フィギュア、雑誌などが展示されていた。ウルトラシリーズの中でもとりわけ「ウルトラセブン」が大好きな僕はセブンのコーナーでは一つ一つの展示に食い入るように見てしまったが、本当に貴重な資料がたくさん展示されており、ファンにはたまらないコレクションとなっていた。
今回、この展示会で2つのことを改めて強烈に感じた。一つはウルトラシリーズを製作した当時のメンバーの先進性・革新性と「特撮の神様」と呼ばれる円谷英二の偉大さである。円谷英二はアメリカ映画のキングコングに衝撃を受け、次第に特撮の世界にのめりこんでいくわけだが、彼が製作した「ゴジラ」はまさに今でも日本が世界に誇る特撮映画の傑作である。そして世の中は映画からTVの時代に以降し、1966年から「ウルトラQ」の放映が始まり、当時の大人と子供たちをTVの前に釘付けにしたと言われる。そして1966年の7月から、特撮巨大ヒーローの元祖でもある「ウルトラマン」の放映が開始される。もちろん、ハリウッドの高度な特撮技術やCGが当たり前な現代からすると、当時の特撮はお粗末であるが、その時代はミニチュア製作のレベルで日本は世界最高峰のレベルにあり、まさに日本の得意とする「匠」の技の賜物であった。また、面白かったのは、当時「怪獣絵師」と呼ばれる、まさに怪獣を描くことを専門にしていた画家が大勢おり、有名な怪獣の数々が描かれたスケッチ作品などは大変に興味深いものであった。またコンセプト画を当時描いていた成田亨氏の原画も多数展示されていたが、確か成田亨の怪獣イラスト集を昔購入した筈なので、恐らく実家で保存されていると思われる。元々はアメリカ映画に影響を受けたのかもしれないが、ウルトラマンはまさにオリジナリティーとクリエイティビティー溢れる作品であり、このような巨大ヒーローものは日本ならではの作品であった。何も無い中からこのようなクリエイティブな作品を産んだ円谷英二と当時「今までには無い、新しい作品を作ろう」という情熱を持ったスタッフ陣には本当に頭が下がる思いだ。
もう一つ改めて印象に残ったことは、やはり「ウルトラセブン」の作品としての完成度とクオリティーの高さだ。ウルトラセブンは1967年10月1日の日曜日、TBSの夜7時からの放送でスタートした。ウルトラマンに比べ、ウルトラセブンは全ストーリーを通して「宇宙人による地球侵略」がテーマとなっており、怪獣系が多かったウルトラマンに比べ、知能が高い「星人」系が多くなった。その分、セブンも厳しい戦いを強いられることが多くなったが、その中でセブンは一人孤独に地球を守るべく日夜戦っていたのである。その意味で、セブンは孤高の戦士であり、哀愁漂うヒーローでもあった。ウルトラマンに登場する「科学特捜隊」に対して、セブンでは「ウルトラ警備隊」となって、その装備などもスケールアップしており、秘密基地の仕鰍ッ、最先端の秘密兵器の数々には当時興奮したものだ。ウルトラ警備隊は恐らくウルトラシリーズでも、最もハイテクを駆使していたし、”ロゴマーク”は今見てもカッコいい。ウルトラ警備隊が頻繁に使用していた水陸両用車であった「ャCンター」は今見ても斬新なスタイリングだ。そして秘密基地から飛び立つウルトラホーク1号、2号も実かっこよかったのだ(当時はサンダーバードに対して相当な対抗意識があったらしい)。今見ても色褪せないこの魅力は一体どこから来るものなのだろうか? 宇宙星人の設定や、当時の社会を反映したストーリーはどれを取ってもクリエイティブなものばかりである。最近の作品は昔のネタの焼き直しや、ハリウッドのパクリなどが多く、あまりオリジナリティーを感じないものばかりだが、当時のセブンには世界に通用する強いアイデンティティーが細部にまで渡ってぎっしりと詰まっていたことを、今回の展示で改めて感じた。そして、ウルトラ警備隊の紅一点であった「アンヌ隊員」(ひし美ゆり子)はみんなのマドンナであり、その後のウルトラシリーズにも大きな影響を与えたのだが、セブンではアンヌ隊員とセブンの地球での仮の姿である「モロボシ・ダン隊員」との間のラブストーリーとして展開するが、これは子供番組としては当時異例であり、セブンが大人っぽい作品で今も多くの大人たちに支持されているのは、こう言った要素もあるように思う。
それにしても、今回の展示は改めてウルトラシリーズの革新性を体感することが出来、大変に刺激的であった。また、久しぶりに「ウルトラセブン」の世界観に触れることが出来たことも大きな成果である。すっかり僕のクリエイティブ魂にまた火が付いてしまった。
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