
それにしても、ペットショップボーイズはいい意味でャbプ界最高の“ワンパターンデュオ”だ。絶頂期であった80年代の曲やアルバムを聴いても、この最新アルバムを聴いても全く曲の雰囲気が変わらない。いきなり知らない彼らの曲をもし聴いても、それがいつの時代に作られたかすら恐らく判定するのは難しいだろう。そのくらい、彼らの曲は一貫性があり、クオリティーが全く変わらないのだ。それは陳腐化しないと言うことかもしれないが、80年代当時は時代を先取りした未来志向サウンドであったし、コテコテのシンセサウンドが減った今は、逆に新鮮に映る。普通は時代と共に曲風も多少変わるものだが、ここまで変わらずに何十年も創作活動を続けられるのも逆に凄いし、ある意味彼ら流の“シンセャbプ道”に深く根ざしたそのDNAには感服する。

収録曲は下記全10曲。曲数も80’sと変わらず10曲というのも聴きやすくて素晴らしい。
1) Will-o-the-wisp
2) You are the one
3) Happy people
4) Dreamland
5) Hoping for a miracle
6) I don’t wanna
7) Monkey business
8) Only the dark
9) Burning the heather
10) Wedding in Berlin

1曲目、2曲目などは如何にもペットショップボーイズ(PSB)らしい、テッパンのシンセャbプスなので、安心して聴いていられる。そして、このアルバムで一番のお気に入りは、3曲目の『Happy people』。アップテンモナノリの良い名曲で、何とも心地良いシンセ音と打ち込みビートが心に刻まれていく。『Dreamland』はPSBにしては若干異色な雰囲気もあるが、こちらもアルバムの中では印象に残る良い曲だ。10曲目の『Wedding in Berlin』は、あの結婚式の曲を巧みにサンプリングしており、PSBらしい、キャッチーで上質なシンセビートに仕上げられているのはさすがだ。これまでにもU2やエルビス・プレスリーの曲をシンセ風にカバーした曲があるが、今回のアルバムではあのお馴染みの結婚式の曲を彼ら流に上手く料理している。まさに今後結婚式でも使えそうな1曲だ。

80年代から今でもコンスタントに活躍するアーティストはそう多く無いが、曲風の変わらなさ度としては、Duran Duran以上に一貫しているかもしれないペットショップボーイズ。毎回変わらない、安定したシンセサウンドを届けてくれる彼らに大感謝である。
