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ブルース・リー 追憶のフォトセッション

前から欲しいと思っていたブルース・リーの写真集、『ブルース・リー 追憶のフォトセッション』をこのほどようやく入手することに成功した。この本は2017年にイギリスで出版されたもので、生前のブルース・リーと親交があった映画脚本家兼写真家でもあったリンダ・パーマーが撮り溜めていたブルース・リーと家族のプライベートフォトコレクションを収録した、ハードカバーの写真集だ。リンダ・パーマーは一時米国の映画制作会社TRI STAR PICTURESの副社長を務めていたり、元ワーナーブラザーズの社長と結婚していたこともあり、映画界のご縁でブルース・リー家族と知り合うことになったらしい。

収録されているのはブルース・リー一家(ブルース、妻のリンダ、子供たちのブランドン、シャノン)の家族写真が多数あり、素のままのブルース・リーと、見ているだけで何とも暖かい気持ちになる家族写真ばかりだ。のちに不慮の死を遂げてしまったブランドン、そして現在でもブルース・リーの遺産を管理する財団を経営する娘のシャノンの幼くあどけない頃の写真が収められている。過去に様々な本でも紹介されている写真もあるが、これだけ多くのバージョンを収めたものは、やはり写真を撮影したリンダ・パーマーならではのコレクションで、かなり貴重だ。

家族写真以外には、リンダ・パーマー自宅の庭やブルース・リー自宅の庭などで撮影されたトレーニングやスパーリング風景写真が数多く収められている。こちらも一部は過去に紹介されたものもあるが、ここまでたくさんの写真が撮影されていたとは知らなかったし、どれも臨場感たっぷりのものばかり。映画などでのブルース・リーとは違った、ある意味よりリアルなブルース・リーの日常風景がここにあり、スピード感、躍動感が写真からも伝わってくる。

写真だけではなく、この本にはリンダ・パーマーが生前のブルース・リーとその家族について語っている文章が綴られているのも特筆すべきポイントだ。ブルース・リーが如何にオーラのある誠実な人物であったか、そして米国でアジア人が成功することの難しさに直面しながらも、自分に正直に、そしてアジア人としての誇りをもって懸命にチャレンジしながら生きていたことなどを改めてリンダの口からも語られていることが確認出来たのも嬉しい発見だっった。

 

これら写真が撮影されたのは、ブルース・リーが香港に家族で引っ越す1971年以前。LAで撮影されたものらしいが、本文の中に、1973年にリンダが香港の映画界で成功していたブルースを訪ねて行こうと計画していたものの、訪問の2カ月前にブルース・リーが亡くなってしまったことなどもサラッと書かれており、読んでいて思わず感慨深さを抱かずにはいられなかった。

この写真集はこれまでのブルース・リーの映画や武道にフォーカスしたものとは一線を画し、プライベートなスナップショットを収めたものとしてとても私的で、貴重なものだ。熱烈なブルース・リーファンには、彼のプライベートを覗けたかのような、とても至福の時を感じることが出来る写真集となっているのではないだろうか。

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