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あの異色ドラマが更に魅力アップ!『作りたい女と食べたい女』シーズン2

NHKの夜ドラとして、先月29日から『作りたい女と食べたい女』のシーズン2放送が開始されている。シーズン1は2022年の11月から全10話放送され、僕はその独特な空気感のドラマにすっかりハマってしまったが、今回シーズン2が開始されたことが実に嬉しい。『作りたい女と食べたい女』はゆざきさかおみの漫画が原作。毎週月-木の放送で、1回15分という朝ドラと同じ長さなので軽く観るには最適だ。

シーズン1に関するブログは下記ご参照。

異色ドラマ、NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』! - blue deco design lab (goo.ne.jp)

今回のシーズン2も引き続き主人公の野本さん(比嘉愛未)と春日さん(西野恵未)を中心に物語は展開するが、今回から新たなキャストとして同じマンションで、野本さんと春日さんの間の部屋に引っ越してくる南雲さん(藤吉夏鈴)と、野本さんがSNSで知り合った矢子(Yako)さん(ともさかりえ)が加わり、キャストが更にパワーアップ。

『作りたい女』の野本さんがお料理好きなことから、毎回心温まる料理が登場するのもドラマの魅力の一つ。それも、何か変に凝った料理とかではなく、自宅で一工夫すれば作れるようなシンプルで可愛い料理が多い。それを『食べたい女』春日さんが、実に気持良く食べてくれる。僕は料理を全くしないが、料理が好きな人は“自分でもちょっとやってみようかな”と思わせるカジュアルなメニューなのが、お料理コンテンツとしても親近感を持たせてくれる。

このドラマは登場人物や場面もそう多くないのがまた面白い。まさに、演劇にも出来そうなクローズドな空間でのドラマで、淡々とした物語展開にどこか癒されるのだ。基本的には野本さんと春日さんが住むマンションで、主に野本さんの部屋に2人が集まり、料理などを作ったり、色々と話をしたりするのが中心で、たまに野本さんと春日さんそれぞれの職場や職場メンバーが少し登場する程度。このまったりとした空気感がまたこの異色ドラマの味わいでもある。

そして、ドラマは2人の関係性をゆっくりと丁寧に描いていく。野本さんと春日さんは、単に気が合う相手・友達を通り越して、シーズン1後半では“恋愛感情”への発展を匂わせて終了したが、シーズン2ではいよいよ野本さん、春日さんのジェンダーを超えた恋というレズビアンをテーマに1歩踏み込んでいる。但し、セクシュアルな部分に焦点を当て過ぎることはなく、初めて芽生えた同性への恋愛感情をどのように表現すべきかという微笑ましい捉え方に軸足を置きながら、テーマとしては現代ならではの着眼点で実に暖かい視点を忘れずに描いているところがとても好感が持てる。料理やこの女性同士の恋愛関係をテーマにしているあたり、女性の関心が高いドラマだと思うが、男性の僕が観てもまた違った世界観を垣間見れたようで、異性ながらどこか感情移入出来ている感覚もあり、個人的にとても興味深いものがある。

そして、今回シーズン2としての新たな魅力は、野本さん、春日さんの2人に関わってくる新たなキャラクターとして、南雲さんと矢子さんが加入したことだ。南雲さんを演じるのが、櫻坂46の藤吉夏鈴。このドラマを観るまで、藤吉夏鈴の存在をあまり知らなかったのだが、会食恐怖症というメンタル疾患を抱えている南雲さんという若い女性を演じている。本当は楽しい場に参加して会話したりしたいと思っているものの、過去のトラウマから、人前で食事が出来ない会食恐怖症になってしまったことから、臆病になってしまっているのだ。この地味で暗い感じの女性が何とも魅力的に映るのは、やっぱり藤吉夏鈴の魅力によるところが大きい。彼女のさっぱりした顔は正直タイプだし(笑)、どこかジェンダーレスなこの暗い役どころを見事にじめっと(笑)演じながら、時折キラッと輝く明るさを散りばめて上手く表現している。精神的な弱さを抱えながら引っ越してきて、最初は周りとの関わりを最小限にしようとしていた彼女も、お隣さんとなった野本さんと春日さんにおうちご飯に誘われたことをきっかけに、少しずつ気持ちが明るくなり、自分で会食恐怖症に向き合おうと、前向きになって行く展開となっている。今後の彼女の展開が楽しみでならない。    

そして、野本さんは前からフォローしていた同じレズビアンであることを公言している矢子さん(SNSではYako)も注目の新キャラだ。野本さんがSNS上で交流し、オンラインで春日さんへの思いに戸惑っていることを相談する相手として矢子さんが物語に登場するが、やがて矢子さんのマンションに招待され、カレーパーティー女子会をリアル開催する中、彼女も野本さん、春日さん、そして南雲さんの良き理解者としてとても重要な役割を担っていく。この矢子さんを演じているのがともさかりえ。ハキハキとしたバリキャリ風なキャラながら、特別押しが強過ぎるわけでもなく、相手の話を良く聞きながら寄り添うことで、野本さん、春日さん、そして南雲さんも矢子さんに心を開いていく。

前回も書いたのだが、『作りたい女と食べたい女』は、全く派手さは無いドラマなのだが、淡々と穏やかに展開される心地良さと、なんだかほっこり幸せな気持ちにしてくれる、そんな見事な異色ドラマである。そこに同性恋愛や、家族との確執、精神的な疾患などと向き合いながら生きていく現代女性というテーマを、大げさにせず、爽やかに表現している点で、良い余韻を残しながら展開していくところがとても心地良いドラマである。シーズン1は10話までだったが、シーズン2は既に今週14話まで進んでいる。引き続き、出来るだけ長くこの毎日の15分劇場を楽しめたら嬉しい。

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