
『キカイダーReboot』は若手俳優である入江甚儀をキカイダーに変身するジロー役に起用し、また人気モデルの高橋メアリージュンを悪のアンドロイド、マリ役に起用。

その他の俳優陣には、キカイダーを造った光明寺博士に長嶋一茂、光明寺博士のライバルで、キカイダーと戦う悪のアンドロイド、“ハカイダー”を造ったギルバート博士に鶴見慎吾、キカイダーのメンテナンスを行う初老の男性に本田博太郎、キカイダーを助けるジャーナリストには原田龍二などが脇を固め、更にはキカイダーに心を寄せるヒロイン、光明寺博士の娘役には今売り出し中の女優、佐津川愛美が扮しており、映画全体を盛り上げている。そして、今回往年のキカイダーファンにとっては目玉の一つとなるのが、オリジナルのTVシリーズでキカイダー/ジロー役に扮していた伴大介が、光明寺博士の恩師である前野究治郎 (このネーミングも実は、“前の旧ジロー”をもじって付けられており、面白い)役で登場しており、新旧ジローの競演となっている点は見逃せない。



キカイダー以上に僕が好きなキャラクター、“ハカイダー”も登場し、キカイダーを可愛そうなまでに苦しめる。スターウォーズのダースベーダーといい、やはり悪役がカッコイイ作品が引き締まるが、ハカイダーのデザインもかなり秀逸でカッコいいのだ。僕のロフトには、お気に入りのハカイダー人形が飾られている。また、今回冒頭から登場する女性アンドロイドのマリだが、これは原作では“ビジンダー”というアンドロイドとなってキカイダーと戦うのだが、今回ビジンダーには変身していないので、恐らく続編での登場となる模様。オリジナルのTVドラマでは志緒美悦子がマリ/ビジンダーに扮していたのが懐かしい。それにしても、キカイダーだの、ハカイダーだの、そしてビジンダーだのと、この安易なネーミングがとても素晴らしい((笑))。


映画ではアクションシーンと特撮がふんだんに使われており、迫力のある今風なキカイダーアクションが楽しめる。ハカイダーとのバトルもかなりの見物だ。ハカイダーのデザインは、比較的オリジナルに近いものとなっており、あの強烈なルックスが健在であったのが嬉しい。キカイダーは、オリジナルに比べるとかなりカッコ良くデザインに改良が加えられており、ある意味キカイダー01 (キカイダーの兄貴キャラ)にもちょっと似ているか。そして、エンディングでは続編を予感させる形となっており、キカイダーの復活と、新たなる敵や、キカイダー01の登場なるかなど、とても楽しみである。今回エンディングテーマにはあのTVシリーズの主題歌、『ゴーゴー・キカイダー』のReboot 2014年版が流れるのもまた粋な計らいであった。

僕が子供の頃は、ウルトラマン、仮面ライダー、ゴレンジャー、そしてキカイダーが大人気だった。そして、この内ウ
ルトラマン以外の全ては、漫画家/石ノ森章太郎による原作なのだから、やはり凄いヒーローメーカーであったと、改めて驚かされる。そして、今でも様々な作品がリバイバル制作されて、次の世代に受け継がれているのも嬉しい限りだ。キカイダーと仮面ライダーは、自分の意思に反して人造人間/改造人間にされてしまい、それでも光明寺博士によって“不完全な良心回路”が組み込まれることで正義の心を持ち、自分を改造人間にした悪に立ち向かう悲劇のヒーローとして描かれている点が、当時子供ながらに何か心に響いたのを今でも良く覚えている。今振り返ってもかなり大人っぽい設定である。また、良心回路一つで機械(ロボット)は正義にも悪にもなるというのも、また違った意味でロボット社会が現実味を帯びてきた今だからこそ、改めて問うて行かなければならないテーマでもある。

余談だが、キカイダーはオリジナルTV版の頃から、何故だかハワイで大人気だったようで、この『キカイダーReboot』もハワイでは大ヒットしたらしい。ハワイ以外のアメリカでは全く知られていないようだが((笑))。