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感動のハリウッドリメイク、『HACHI約束の犬』を観賞!

2009年に劇場公開された映画、『HACHI 約束の犬』が突然むしょうに観たくなり、先週blu-rayを購入した。この映画は、1987年に日本で公開され、興行収入50億円の大ヒットを記録した感動の名作、『ハチ公物語』のハリウッド版リメイク作品としても話題になった作品だが、なんとこの映画は完全に見逃してしまっていた映画の一つであった。今回初めて観賞した感想として、期待していた通りの感動作であった。オリジナルに忠実で、良く出来たハリウッド版リメイクとなっており、犬好きにはたまらない感動作となっている。

主演はリチャード・ギア。オリジナルの『ハチ公物語』では仲代達矢が演じた、途中で亡くなってしまうハチ公のご主人/大学教授役である。リチャード・ギアは『愛と青春の旅立ち』や『プリティ・ウーマン』で日本でも大人気となったが、元々彼はアメリカ人にしては小さめでつぶらな瞳が、どこか日本人の好みにも合うルックスかもしれない。この映画でもなかなか渋いイケオジぶりを発揮しているが、日本犬をテーマにしたこの映画の主人公としては適任だったと感じた。ちなみに、リチャード・ギアもかなりの愛犬家でもあり、この映画の脚本を読んだ際、涙が止まらなかったというエピソードも残っている。

物語のあらすじだが、舞台はアメリカ東海岸の郊外にあるベッドリッジ駅。大学教授のパーカーは、その駅舎で迷子になっていた秋田犬の仔犬を保護して家に連れ帰る。以前に飼っていた犬を亡くした悲しみがまだ癒えない妻の反対を押し切って、仔犬を飼うことを決めたパーカー。着けていた首輪に漢字の「八」が刻印されていたことから、仔犬は「ハチ」と命名される。パーカーの愛情を受けてすくすくと育ったハチは、毎朝彼を駅まで見送り、午後5時になると迎えに行くのが習慣になり、周囲の人々もそれを微笑ましく見守っていた。しかし、幸せな日々は突然の悲劇によって終わりを迎える、という展開で、オリジナルに忠実なストーリーである。

オリジナルの『ハチ公物語』自体が、元々渋谷駅で主人を待ち続けたことで有名な秋田犬のハチ公をモデルにした実話の映画化であったが、今回の『HACHI 約束の犬』では舞台を大正―昭和初期の日本から、アメリカ東海岸の架空の町ベッドリッジ駅に移して、感動の秋田犬との物語が描かれた。物語の設定自体は少し変えているものの、基本的な筋書きはオリジナルを忠実に再現しており、とてもいい作品となっていた。オリジナルに対する大いなるリスペクトも感じられたのがまた良かった。

ちなみに、僕にとっては『ハチ公物語』がとても思い出深い映画だ。この映画が公開されたのは、僕がちょうどアメリカから帰国したばかりの1987年。当時前売り券を買って、渋谷東急(だったか?)に観に行った作品で、80年代に僕が映画館で観て思わず泣いてしまった作品は、『E.T.』と『ハチ公物語』くらいしかなかったので、その感動のあまり、今でも強い思い出として残っている作品だ。当時柴犬の愛犬マックを飼っていたこともあって、思いっきり感情移入してしまったのだろう。

本作のプロデューサー、ヴィッキー・シゲクニ・ウォンは日系3世および中国系であり、1980年代半ばに来日した際に渋谷駅前のハチ公像に興味を示し、ハチ公の物語を映画などで知って感銘を受けて、帰国後には飼い犬に「ハチコー」と名付けるなどしたほど影響を受けた。その「ハチコー」が2002年に亡くなったのを期に、この作品の製作を決めたという。また、今回ハチ役の秋田犬が見事な演技を見せているが、ハチ役を、フォレスト、レイラ、チコという名前の3頭の秋田犬が担当したらしく、撮影当時2歳のレイラとチコが若いハチを、4歳のフォレストが年老いたハチを演じたらしい。また愛情深いレイラや、控えめな気質でシリアスなシーンに向くフォレストなど、犬たちの性格に合わせた演じ分けも行われたらしい。映画を観ている分には、途中で違う犬に変わっているなどとは全く気が付かないので、純粋に様々な感情を見事に使い分けた演技のように見えて、とても上手く撮影されていた。

リチャード・ギア演じる大学教授の妻役には、ジョアン・アレン。僕がジョアンで一番印象に残っている作品は、大好きな映画『フェイスオフ』で主人公のジョン・トラボルタの妻役を演じていたことだが、この映画でもリアリティのある妻役を演じている。

僕がこの『HACHI 約束の犬』の設定で特に嬉しかったのは、舞台となった架空のアメリカ東海岸の町。しかし、劇中ヤンキースの野球中継がテレビで流れるところを見ると、恐らくニューヨーク北部の郊外という設定イメージだろう。どことなく前に僕がハイスクール時代に住んでいたニューヨーク郊外、ウェストチェスター郡の小さな町、Hastings-On-Hudsonの駅や、その周辺の小さな商店街にも雰囲気が似ており、東海岸特有の雰囲気が漂っているところも似ていた。アメリカのHastings-On-Hudsonに住んでいた当時、愛犬マックもちょうど一緒に住んでいたので、まさにマックと過ごした当時の日々を思い出しながら更に感情移入をしてしまった。また、映画の中でハチがスカンクのオナラにやられてしまうシーンがあるのだが、これはアメリカ東海岸特有のあるあるで、スカンクのオナラをを吹きかけられると、トマトジュースのお風呂に入らないと数日悪臭が体からとれないという最悪の事態となるのだ。マックも昔ニューヨークでスカンクにやられたことがあり、我が家でも映画同様トマトジュース風呂にマックを入れたのが苦い思い出である(笑)。その意味でも、この映画には妙に懐かしさと親近感を持ってしまった。

結末は基本オリジナルと同様で、ご主人は突然教壇で倒れて帰らぬ人となってしまうが、ハチは毎日5時になると駅で主人を待ち続ける。そして月日は流れて10年近く待ち続けたが、年老いたハチは、駅で働く様々な人々から気にかけて貰いながら、ついに雪が降る夜に駅前で静かに息を引き取る。これは、『フランダースの犬』にも似た感動のラストだ。しかし、最後朦朧としながらハチが見ていた夢は、ご主人が電車から降りて“ハチ~“と呼びながら駆け寄ってくる姿。意識が薄れていく中でご主人と最後に再会を果たす感動的なシーンで映画は締めくくられる。日本犬の飼い主への忠誠心を見事に描いたリメイク作品であった。映画のラストには、実話の忠犬ハチ公についても一言触れられている。

今回始めて『HACHI 約束の犬』を観賞し、自分がいかにワンちゃんものの映画が好きで、感情移入してしまうことを改めて痛感。これは昔から全く変わっていない。そして、DVDで所有している『ハチ公物語』もまたむしょうに観たくなってしまったので、これからDVDを引っ張り出して観ることにしよう・・・。

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