長野まゆみ 『僕はこうして大人になる』

中学3年生の少年以上青年未満の男の子たちの話。

系統としては正に『白昼堂々』に属していて、日本の学校生活の話と言っても『鳩の栖』や『天然理科少年』とも異なる。

主人公、一(はじめ)は凛一と同じく家族に問題を抱えて屈折し、自らの性癖を隠し優等生として振る舞う。
しかし、気心の知れた幼なじみがおり、家族も沢山いる。
ストーリーとしてもクラスの席が、修学旅行が、試験が…とよくある学校生活を逸脱なく描いている。

タイトル通り通過儀礼的なストーリーというよりは、学園ラブストーリーと言った方が良いかと思う。
但し、男の子同士の。


これも表紙は著者のイラストです。
手元にある単行本は何故か落款が押されていました。
しかし会った記憶はないので謎…。



単行本：2000年10月
文庫本：



「（ポイントは）主人公の語り口ですね。イッくんの。」

（別冊文藝より　著者談）



「書き下ろし小説作品。海辺の田舎町に暮らす中学三年生の優等生が、ひとりの孤独な少年が暮らすに転入してきたことをきっかけに、さまざまな問題に直面し乗り越えてゆく成長物語。思春期の子供たちからなる学級が生み出す集団心理を巧みに描きながら、その集団にとけ込めない少年たちの心の機微を映し出している。…」

（別冊文藝より　大串尚代評）