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時系列的にも、舞台としても、登場人物を数えても、限られた空間で物語をつむいでいた長野まゆみが、この物語からそれを広げた事がはっきりと分かる作品である。
夏を越せた主人公たちには死の香りはない。
以降の彼女の作品を知っていれば、今後の作品のエッセンスがふんだんに含まれており、それがちょうど章題と重なる。
`鉱石倶楽部'は後にそのものをタイトルとした写真入りの作品が作られるが、「鉱石」に対する偏愛と独特の表現は初期の長野まゆみの代表的な要素である。
タイトルであり章題である`天体議会'は、彼女が愛する冷たく無機質な理科的モティーフで鉱石に続くエッセンス、「天体」ネタを現していると言えよう。
それぞれに知識があればラストの光景、縞石灰(トラヴァーチン)の尾根の先から碧い水平線の先に見る水先案内(カノープス)、は一層詩的な絵画を見る事が出来ると思われる。
続く章題、`変わり玉'では、長野まゆみが嫌われる時の理由の多くである、少年愛、少年同士の複雑な関係がかなり強調されて描かれている。
それはまだ精神的なモノを匂わせているレベルだが、わざわざ強調して、水蓮に藍生を「あなた」と呼ばせ、藍生の知人は銅貨に水蓮の事を「彼」は?と尋ねさせ、水蓮が藍生と仲が良いのが気になる心情を「嫉妬」だと言わせる。
最後に銅貨と水蓮は「食べかけの変わり玉を交換」するのだから、手段はどうあれ言われても仕方なく、またそこはファンタジーなのである。
4つ目の章題、`天河市場(てんがプラザ)'は直接的ではないが、ここで頻出する謎の少年、今後ひとシリーズとしてくくる事の出来る作品群の主要人物?を指していると言えなくもない。
それは「どこか人形のような印象」の「容貌は病的なまでに端麗」で「白磁のように硬質」な冷たく肌の少年、自動人形(オートマータ)と語られる少年である。
最後の章、`水先案内(カノープス)'は、南への憧憬である。
詳細に知ることもないのに、本能的に「南」に憧れ、行きたいと願う少年達は「南」に彼らの思う楽園があるように感じるのだろうか?
南を希求する想いは「テレヴィジョン・シティ」ではもっと強くなるものの、その後作者の描く「南」の物語を考えると、作者は生々しい現実、大人への通過儀礼と捉えているように思える。
また兄弟と友人という3人の少年(今回は兄の年齢が高めだったが)の微妙な緊張感のある関係はいままでの作品同様の変奏曲である。
そして彼らや他の登場人物も空間が広がった事でより個性が描写され魅力的に仕上がっている。
こういう作品が意欲作と呼ばれたり、主な作品に挙げられる作品なんだと思う。
作者としては『星の王子様』を意識しているようだけど、それはどうかな?と首を傾げつつ、原文を読んだことを思い出してみる。
登場人物:銅貨、水蓮、藍生、自動人形、鷹彦、烏貝、旗織
季節:9月から1月
単行本:1991年4月
文庫本:1994年7月
「理科少年系の事を書きたかったんですね。星とか、プラネタリウムとか石とか。あと『天体議会』の中での重要なアイテムは病院。」
(文藝別冊より。作者談)
「・・・タイトルでもある天体議会、鉱石倶楽部など著者自身と少年たちの硬質趣味が伺える作品。放射線状に広がりをみせる都市設計や近未来的世界観の中、少年たちはあえてレトロなものを好んで使う。代理母が子供を産み、家族関係は極めて希薄となっているが、少年たちは自身の世界を持っており個として独立している。・・・」
(文藝別冊より。幸田桜評)
夏を越せた主人公たちには死の香りはない。
以降の彼女の作品を知っていれば、今後の作品のエッセンスがふんだんに含まれており、それがちょうど章題と重なる。
`鉱石倶楽部'は後にそのものをタイトルとした写真入りの作品が作られるが、「鉱石」に対する偏愛と独特の表現は初期の長野まゆみの代表的な要素である。
タイトルであり章題である`天体議会'は、彼女が愛する冷たく無機質な理科的モティーフで鉱石に続くエッセンス、「天体」ネタを現していると言えよう。
それぞれに知識があればラストの光景、縞石灰(トラヴァーチン)の尾根の先から碧い水平線の先に見る水先案内(カノープス)、は一層詩的な絵画を見る事が出来ると思われる。
続く章題、`変わり玉'では、長野まゆみが嫌われる時の理由の多くである、少年愛、少年同士の複雑な関係がかなり強調されて描かれている。
それはまだ精神的なモノを匂わせているレベルだが、わざわざ強調して、水蓮に藍生を「あなた」と呼ばせ、藍生の知人は銅貨に水蓮の事を「彼」は?と尋ねさせ、水蓮が藍生と仲が良いのが気になる心情を「嫉妬」だと言わせる。
最後に銅貨と水蓮は「食べかけの変わり玉を交換」するのだから、手段はどうあれ言われても仕方なく、またそこはファンタジーなのである。
4つ目の章題、`天河市場(てんがプラザ)'は直接的ではないが、ここで頻出する謎の少年、今後ひとシリーズとしてくくる事の出来る作品群の主要人物?を指していると言えなくもない。
それは「どこか人形のような印象」の「容貌は病的なまでに端麗」で「白磁のように硬質」な冷たく肌の少年、自動人形(オートマータ)と語られる少年である。
最後の章、`水先案内(カノープス)'は、南への憧憬である。
詳細に知ることもないのに、本能的に「南」に憧れ、行きたいと願う少年達は「南」に彼らの思う楽園があるように感じるのだろうか?
南を希求する想いは「テレヴィジョン・シティ」ではもっと強くなるものの、その後作者の描く「南」の物語を考えると、作者は生々しい現実、大人への通過儀礼と捉えているように思える。
また兄弟と友人という3人の少年(今回は兄の年齢が高めだったが)の微妙な緊張感のある関係はいままでの作品同様の変奏曲である。
そして彼らや他の登場人物も空間が広がった事でより個性が描写され魅力的に仕上がっている。
こういう作品が意欲作と呼ばれたり、主な作品に挙げられる作品なんだと思う。
作者としては『星の王子様』を意識しているようだけど、それはどうかな?と首を傾げつつ、原文を読んだことを思い出してみる。
登場人物:銅貨、水蓮、藍生、自動人形、鷹彦、烏貝、旗織
季節:9月から1月
単行本:1991年4月
文庫本:1994年7月
「理科少年系の事を書きたかったんですね。星とか、プラネタリウムとか石とか。あと『天体議会』の中での重要なアイテムは病院。」
(文藝別冊より。作者談)
「・・・タイトルでもある天体議会、鉱石倶楽部など著者自身と少年たちの硬質趣味が伺える作品。放射線状に広がりをみせる都市設計や近未来的世界観の中、少年たちはあえてレトロなものを好んで使う。代理母が子供を産み、家族関係は極めて希薄となっているが、少年たちは自身の世界を持っており個として独立している。・・・」
(文藝別冊より。幸田桜評)
陰鬱じゃ~、というのは前作に比べてって事でしょうか?
確かに青いイメージ。
あえて限定するなら、割と薄い氷のようなブルー・・・かな?
さの人大丈夫かな~(汗)。6日遅れか!毎日ひやひやだったでしょうね!
わ~ん赤ちゃんたのしみですよ!
今日上司とさしでごはん食べてて、おまえは結婚とか出産をどう考えてるのかと聴かれて凍りついてしまいましたよ。