”気ままな…ホルン道楽”

近未来検診(前編)

目の前の柔らかなクリームのドーム型の建築物。
これが最新設備が導入された検診センターです。
今日は年に一度の健康診断。
受付を済ませると、すぐにドクターとの問診が始まります。
既往歴や前回までの検診結果をもとに今回のメニューが決まります。
例えば、前検査で肝機能障害の疑いがありならば、その検査の精度を高めます。
逆に腎機能はここ数年正常なら検査精度を少し下げるわけです。
要するに検診もオーダーメイドというわけです。

問診が終わると、こんどは薬剤師から、カプセル剤と錠剤が渡されます。
薬剤師の説明は、こんな内容です。
「カプセルは薬ではありません。超高感度データ収集器です。
接触した体内組織のpHや特定成分の組成を分析します。
カメラ機能も付いていますので、昔の胃カメラや内視鏡機能も兼ね備えています。
カプセルには超小型モーターがついていて、センター内のコントロールセンターからも操縦できます。
しかし、基本的にはカプセルに仕組まれているCPUで自動で動き回ります。
一緒に飲む錠剤は、消化管の動きを高めるもので、カプセルの動きを補佐するものです。」
これを炭酸水で服用するのは胃を膨らませて撮影しやすくするためです。
味はレモンスカッシュやソーダ水など好みのものを選べます。
わたしは、昔流行ったシークワーサーのノンアルコールサワーにしました。
間もなくテーブルにサワーが運ばれてきました。

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