【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

現代の探検家《田邊優貴子》 =24=

2016-12-03 14:24:13 | 冒険記譜・挑戦者達

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○

◇◆ 第9回 今度は、南極まで2時間ほぼ貸し切り =2/2= ◇◆

氷のない南極

 飛行機はどんどん降下し、低い雲を抜けると海が見えた。

 “氷がない!”

 それが第一印象だった。 海氷が全く張っていない南極の海を見るのは初めてだ。私は窓に顔をピッタリと貼り付けるようにして眼下の光景に見入っていた。 キングジョージ島はいくつもの半島が連なり、とても入り組んでいた。そのまま飛行機は轟音をたてて滑走路に着陸した。 氷の上ではなく、地面の上への着陸である。

 外へ出るとどんよりとした曇り空の中、少し冷たい風が吹いていた。 けれど、2週間前までいた南極内陸部の風とは違っていた。 あの凍てつくような風ではなく、なんというかもっと暖かみがあって湿気を帯びた風だった。そしてその中に潮の香りと土の匂いがした。

 上空では「キィキィキィキィッ」と鳴きながら、キョクアジサシがせわしなく飛んでいた。 キョクアジサシは昭和基地やアンターセー湖といった大陸性南極には生息していないので、南極でキョクアジサシを見るのはこれが初めてだ。 キョクアジサシは夏に北極、冬に南極(南極は夏)へやってくる世界一長距離の渡りをする鳥で、私の遠征パターンと似ているため大好きな鳥の一つでもある。 嘴が黒かったので、南極で繁殖しているナンキョクアジサシではなく、北極で繁殖して南極に渡ってきたのだろう。もしかしたら、去年の夏に北極で会った子かもしれない、なんてことを思うと感動はひとしおだった。

 ピックアップ型の車が迎えに来て、私たちはひとまずチリの南極基地であるエスクデロ基地へ連れて行かれた。キングジョージ島からリビングストン島へは当初、船で向かうと聞かされていたが、昨日になって急きょ、チリ空軍のヘリコプターで行くことに決まった。そのため、ヘリコプターが運航できる天候になるまでチリ基地で待機することになったのだ。 チリ基地に着くと、基地の掃除のおじさん的な存在の人にスペイン語で中に案内され、2段ベッドのあるゲストルームのような部屋に通された。

「えっ?!使っていいの??」
「うん、もちろん」
「グラシアス!!」

 英語がさっぱりわからないおじさんと、スペイン語がさっぱり分からない私たちだったが、なぜか言っていること分かるのが不思議だった。

 まだ調査地に着いたわけではないけれど、日本を出てからたった3日で、あまりにもすんなりと南極に到着してしまった。ただ、この間まともに横になってちゃんとした睡眠を取っていない私の身体はなかなかに疲れてくたびれていた。 あっという間の移動に驚き喜びながらも、そんなことよりとにかく一晩ゆっくりと横になって眠りたい、というのが正直な気持ちだった。そんな私にとって、チリ基地の2段ベッドは天国のように思えた。

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・・・・・ 南極点到達競争 =壮絶な英国隊・スコットの遭難= ・・・・・・・

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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