【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

現代の探検家《田邊優貴子》 =25=

2016-12-05 16:34:44 | 冒険記譜・挑戦者達

○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= ○

◇◆ 第10回 雪に閉ざされたバオヤーズ半島 =1/3= ◇◆

  「9時に飛ぶから荷物を車に載せておいてね」

 2015年1月11日の朝8時半、朝食を食べていると、チリ・エスクデロ基地の隊長が伝えにきた。  いよいよ今回の南極半島調査の目的地であるリビングストン島のバイヤーズ半島までヘリコプターが飛べる天候になったのだ。

 ここキングジョージ島に到着して2日間、低い雲がたれ込み、時折みぞれや雪が降るというあまり芳しくない天候だった。  ただ、そのおかげで日本から南極までの急速移動で疲労した身体を回復させることができた。  時差ボケも少しずつ治り、エスクデロ基地周辺を散策したり、すぐそばにある中国の長城基地との交流会に参加したりと、予想外に充実した滞在だった。

  30分後、チリ空軍の真っ赤なヘリコプターに荷物を積み込むと、ライフジャケットと防音ヘッドセットを手渡され、機内へ乗り込んだ。すぐさまヘリコプターのブレードが回り始め、離陸した。

 リビングストン島にはスペインのファンカルロスI世基地があって、1月7日にはスペイン人の研究者5人とフィールドアシスタント2人が船でキャンプ地入りしているらしい。  ということはすでにキャンプ地の設営作業は終わって、私たちは到着次第すぐに調査に出ることができるという素晴らしい状況だ。

 南極半島エリアにはいくつもの島、そしていくつもの基地が建てられていて様々な科学研究がされている。  生物の豊かな場所ということがあってか、特に生物の研究者が多い場所である。ところが私たちの研究フィールドである湖が豊富な場所はあまりない、というかリビングストン島だけと言っても間違いじゃない。 ほかの地域にももちろん湖はあるのだが、ポツポツとあるだけで1つのエリアにある程度の水深を持った湖が集中して存在するのはリビングストン島以外にはない。

  そんなわけで南極半島エリアで湖の研究をするならば、湖の集中しているリビングストン島のバイヤーズ半島が最高の場所なのだ。

 まだ見ぬ調査地に期待を膨らませながら飛行すること約50分間、いくつもの山と氷河を越え、ついにバイヤーズ半島が見えてきた。  のっぺりとした平坦な地形が雪ですっぽりと覆われ、所々わずかに緑色の地面が出ている。  そんな中、真っ白な雪原の中にポツンと黄色いテント群と赤いイモムシのような小さな建物が2つ。

“あっ! あれがキャンプ地か! あれ? ここまで湖を全然見なかったな・・・”

 ヘリコプターは旋回し、キャンプ地から少し離れた浜辺近くにゆっくりと着陸した。  ヘリコプターから降りると、私は膝くらいまで雪に埋まった。  なんだこの雪の多さは!!

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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