一陽来復~近藤聡彦のファゴットブログ~

ニューヨーク帰りのファゴット奏者が綴る下関音楽日記

古き杯に新しき酒を注ぐ

2014年03月02日 | ファゴット
今日のファゴットカルテットのお題は、モーツァルトのファゴット四重奏曲。
とはいえ、モーツァルトはファゴットに、弦トリオとの四重奏曲は残してくれませんでした。
この曲も原曲はオーボエ四重奏曲KV370ですが、モディクァイ・ラハマンの編曲で、
ファゴット版が出版されてます。

モディクァイ・ラハマンは、名盤として名高いワルター指揮、コロンビア響の第九等で1番Fgを演奏し、
その後イスラエル・フィル首席を務めた方です。
引退後、編曲者として、ファゴットのレパートリーを増やすため、尽力されてます。
ニューヨーク・フィルの恩師、レナード・ヒンデル先生は「若い頃自分も彼のレッスンをよく受けた。尊敬しているよ」と仰ってました。

曲は原曲のヘ長調から変ロ長調に移調。これはファゴットの音域に合わせたんでしょう。
作曲家は曲を書く時、調性をとても吟味しているので、調が変わると随分印象が変わってしまう曲も多いけど、これは演奏してみたら、モーツァルトが言いたい事は内包されたままちゃんと残っていて、意外と良いアレンジになっていました。第二楽章なんてなかなか良い曲です
YouTubeにアップしている人がいるのも、頷けるところ。
ドゥビエンヌよりシンプルな譜面で、技術的にも演奏しやすく、
しかし内容が、より深くなってるところはさすがモーツァルト

ただファゴットのパート譜が、延々とテナー記号で書いてあるのはまいったな

高い音の為のテナー記号だから上は読めるけど、五線の下に飛び出して、更に下線が何本もある音符が突然出てくると、咄嗟に読めないよ
階名書いちゃうぞ



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やっと再起動

2014年02月16日 | ファゴット
年末年始を挟んで、リサイタルその他諸々が続いた為に、
カルテットがしばらく中断していましたが、やっと今年一回目をやりました。
今日はリハビリも兼ねて、ドゥビエンヌのファゴット四重奏曲全曲です
やればやるほど良い曲だなあ
特に2番と3番はもっと演奏されるべき

こういう合わせは、先日レッスンで習った事を試しながら吹くいいチャンス。
なかなかいい感じもっとコントロール出来るようにさらおう。

さて、最近の新しい曲で、何か良い四重奏曲ないかなあ?
この編成はバロック~古典派初期が多いけど、近現代のレパートリーをもっと増やすべきだよな。
誰か良い曲知りませんか?




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良い刺激を求めて

2014年02月11日 | ファゴット
久々にアメリカからの郵便。

自分の練習の為に、「小難しい」ソロの曲(笑)を買いました。
気長に練習して、機会があったらそのうち本番でやろう
今年の秋吉台は、もうH先生に伴奏譜渡しちゃったので、やるにしてももう少し先ですが
とはいえ歯応えありそう
闘志が湧いてくるな

さて、実は明日からちょっと遠出です




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基本が大事

2014年01月10日 | ファゴット
最近本番が続く中で、自分の演奏についていろいろ思うところがあったので、
ニューヨーク・フィルの恩師、キム・ラスコウスキー氏に薦められた小難しい教則本(笑)や、
音階の本を帰国以来久々で引っ張り出してきてさらっています。
「あなたは今この本やりなさい」って言われるのには訳があるよね。
今日もちょっとさらってたら、あっという間に2時間

明日もまた中学生達を教えるけど、レッスンで言ってる事って、そのまま自分にも当てはまるような気が。
中学生達を通して、正に自分に言ってるんだなあと思います。
もっと上手くなりたいなあ




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相棒の手入れ

2013年12月13日 | ファゴット
楽器にちょっとキーオイルを差したりくらいは時々やるんですが、大掃除は僕は大体年2~3回。
今頃の時期は大抵年末年始の暇な日にやってたんですが、今年は夏以来ロクに手入れしてないし、
リサイタルもあるしで、その前に手入れする事にしました。

ファゴットのキーのポストは大きいので、サラサラのオイルではすぐ乾いてしまいます。
僕の使っているのは、左の黒いオイル。長年使ってもうだいぶ底溜まりですが
最近のヤマハのオイルはシリコン入りだそうで、トロッとしていて、これも良いですね
車のエンジンオイルでもいいそうですよ

まずは筆で楽器のホコリをきれいに払って、

軸が入っているキーは、キーとポストの間にオイルを差していきます。

ネジが入っているキーにはコルクグリスをちょっと充填。
ドライバーの先にこれ位の分量で充分。

見えるかな?ネジ穴にグリスを入れます。

入れたらネジを締めて、オイルをキーとポストの間に差します。

これでキーの摩耗が防げると同時に、金属同士が直に当たらなくなり、
キーが動いた時に金属音がしなくなります。

これは恩師中川良平先生に習った方法ですが、JDRでも同様にグリスを入れていました。
キーを動かす度に「カチャカチャ」いう楽器は、この方法で金属音を止めると良いですよ。
ネジを外す時はどれがどれかちゃんと分かるようにして、間違って違うネジをはめないように
ネジは各々のキーに合わせて切ってあるので、違うネジや軸を入れると動かなくなってしまいます

手入れが行き届いた楽器は「パタパタ」という音はしますが、金属音はしません。
「パタパタ」は良いけど「カチャカチャ」はかっこ悪いです。かなり目立つしね
学校の楽器はそれだけでなく、いつの間にやらコルクやフェルトが取れて、無くなってしまってるものもよく見かけますが

キーオイルは他にもバネや、

板バネにも差します。錆びると折れちゃいます。

それと、意外にパチャパチャいうのがローラー。
ローラーにもキーオイルを差しましょう。

キーオイルを差したら、少しキーをパタパタ動かして、オイルを馴染ませます。
オイルが回ったら、ティッシュで余分な油やグリスを拭き取りましょう。
手や服に付くと黒くなっちゃうし、ホコリが付着しちゃいます。

久々の手入れでしたが、オイル差しはキーの余計な振動も抑えるようで、
音以外のノイズも減り、楽器が静か。
やっぱ状態がいい楽器は、吹いてて気持ちいいなあ



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ファゴットは常にベルアップ

2013年11月20日 | ファゴット
ファゴット先端部のベルは、キーも一つしか付いてないし、
「最低音を出すためのパーツ」とか「ただの筒」と思いがちです。

バロック期の楽器は、今のベルの分ほど楽器が短くて、最低音もドの音だったそうです。
(その方が楽器が軽くていいんだけど
バロック~古典派頃の曲には、現在普通に出せる最低音のシ♭や、ド♯辺りを避けて書かれているものも多いですが、演奏する上で最低音はシ♭の方が何かと便利なので、徐々に改良されたようです。

ベルの内側のテーパーは、楽器全体の響きや抵抗に大きく影響するんですが、意外と個体差が大きくて、同時期に同メーカーで作られた楽器でも、なぜこんなに違うの?ってくらい違う事があります。
これがまたいろんな意見があって、「同じ径のドリルなんだけど、ワッと雑に掘ってるだけ。」とか「いや、一本一本の楽器の特性に合わせて削られているに違いない。」等と聞きますが、ほんとはどうなんでしょうね?ヘッケルの技術者に聞いてみたいところです

ニューヨークにいた頃、抵抗が大きくて鳴らし辛い楽器を使ってた時期があって、どうしたらより鳴らしやすくなるのか試行錯誤していたら、知り合いが「ニュージャージーにベルの中を削るのが上手い調整師さんがいる。」と言うので紹介してもらって、ベルだけ送って削ってもらった事があります。
その間1週間位ベル無しで吹いてたら、恩師レナード・ヒンデル先生が「ベル無しでさらってるの?ベル貸してあげるよ。」と、奥のクローゼットをゴソゴソして、ベルを一つ取り出してきました()。
「何でベルだけ余分があるんですか?(笑)」「いや~昔ベルを変えたら音が良くなるって話で、友達と二人でヘッケルにベルだけ注文したんだよね。自分の楽器はあまり変わらなかったけど、友達の楽器はとても良くなったらしい
この話も、その友達の楽器はベルのテーパーが大きく変わったという事なんでしょう。
ともあれしばらく借り物のベルで練習(笑)。先生の楽器とは製造年代等が違うので、ジャストフィットはしませんが、何も無いより全然ましです。
1週間後、自分のベルがニュージャージーから帰ってきました。中をのぞくと確かにいろいろ削った跡が。
早速付けて吹いてみると抵抗感がかなり減って、楽器全体の音色もよりオープンな感じになりました
径が一般的なサイズよりだいぶ狭まっていたそうです。いろいろ影響するもんですね。

僕の楽器は少し古い楽器なので、象牙のリングが付いています。
写真じゃ分かり辛いけど、年輪のような筋が入っています。

学校の楽器を使っている学生さんの楽器は、ベルの内側にホコリが溜まっている物をよく見かけます。
ケースに掃除棒が入っていたら、中を掃除してホコリを取ると、より響くようになる事がありますよ
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一か月ぶり!?

2013年10月27日 | ファゴット
今日はファゴットカルテットの日。
最近週末は現代物に浸っていたので、
久々のドゥビエンヌ第3番はとても新鮮・・・でした・・・が・・・。
ひと月も空いちゃうと、前回の事をみんな忘れちゃってまるで初見のような人も

しかも「文化の秋」とやらで、これからみんな結構忙しいんですよ。
次はまたひと月後
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どっちがいいのかな?

2013年10月03日 | ファゴット
ファゴットの各パーツのジョイントは、糸がいいのかコルクがいいのか?
時々話題に上りながらもいろんな意見があって、どちらがいいのかはよく分かりません。
「糸の方が振動を止めない。」「いや、コルクの方が振動を止めないでしょ。」
「糸は接続部に点で接するからよく振動する。」「いやいや、コルクが密着した方が振動をよく伝えるのでは?」・・・と意見百出です。
写真は左がジョイントが糸、右がコルクの楽器。

僕はコルク派です
ニューヨークでより良い音色を求めて、いろいろ試行錯誤していた時に、ファゴットの修理調整で著名なL氏が「僕は音色で悩んでいる人にはコルクを勧めてるよ。」と話してくれました。
それまで糸の楽器しか使った事がなかったんですが、「よし、試そう」と、その場でコルクに張り替えてもらいました。
そして吹いてみたら、「あ!良くなった」とすぐに実感。
余計な響きが減って、それでいて音抜けが良くなったと思いました。まああくまで僕の主観なんですが
それ以来、手に入れた楽器のジョイントが糸だったら、コルクに張り替えてもらうようにしています。

JDRのHさんは「ロングの下側、ブーツに差し込むジョイントには、斜めのテーパーがついている。傾斜がある部分にコルクを貼るっていうのは、音色としては分からないけど、とりあえずヘッケルの設計段階では想定されてないのでは?」という意見でした。
それも分かるような気も

結局どうなんでしょうねえ?楽器だけじゃなくリードの傾向も絡むのかなあ?
僕は今コルクで満足してるんですが
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keep it clean

2013年09月25日 | ファゴット
僕のリード工具入れには、いつも絵筆が1本入っています。
別に絵を描くわけじゃありません。むしろ絵は苦手

これでファゴットのキーの間に溜まったホコリを掃除しています。
息を吹きかけながら掃除するとキーを外さなくても、
簡単にきれいになりますよ

きれいな楽器は気持ちがいいです。お試しあれ
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ロマン派の萌芽

2013年09月22日 | ファゴット
今日は朝からF君のソルフェを片付けて、午後はファゴットカルテットの日。
ドゥビエンヌ第3番の初見大会でした。
三曲中唯一短調の曲ですが、古典派の曲ゆえあまり沈鬱なムードにはならないけど、
2楽章等は後のロマン派作品群を思わせる「泣き」が入る所もあってなかなか面白いです。

これで三曲とも手をつけたなあ。本番もやれるなあ
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天使のファゴット

2013年09月18日 | ファゴット
ヨーロッパを一人でブラブラ歩き回った時に、イタリアの土産物屋で、
楽器を持った天使の人形をよく見かけました。
ヴァイオリンを持ったのや、フルートを持ったのや、オーボエだかクラだか分からん物を持ったのや
「ファゴットはないの?ファゴットは」と捜し歩きましたが、他はあるのにファゴットは見つかりませんでした。

そしてそれから数年後、しばらくニューヨークを留守にしていたヴァイオリニストのSが
「こんちゃんお土産にいい物があるんよ」とやって来ました。
何かと思ったらプレゼントしてくれたのがこれ。

「おおーっこ・・・これはところであんたどこ行ってたの?どこで見つけたの?」
「メキシコのトラヤカパンって所で売ってたの見つけたのよ。壊さないように持って帰るの大変だった~。」
「南米か~。盲点だったな~

いい表情してます。とてもお気に入り
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ハ長調侮りがたし

2013年09月08日 | ファゴット
今日は午後からファゴットカルテットの日。
最近はドゥビエンヌの奥深さに魅せられて、1番と2番を集中練習しています。
どの楽器も第2番ヘ長調の方が、第1番ハ長調より吹きやすいし弾きやすいみたい。
ハ長調って楽器もあまり鳴らないし、指も意外と転びやすい。
そういえばその昔、フルートの友達から、ランパルの講習会に行ったらやっぱり「ハ長調が上手く吹けないからいつもさらってる。」と言ってたという話を聞いたなあ。
楽器を演奏する者にとって、ハ長調は永遠の課題なのかも
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好みはそれぞれとはいえ

2013年08月31日 | ファゴット
低音域をたくさん演奏する時に、安心便利なピアニッシモキーのロック。
左手親指でいつでもかけられるように、ピアニッシモキーのすぐ側にあるのがよく見かける配置ですが、
僕の楽器は右手親指の位置にあります。
これはアメリカの楽器に多い仕様だそうですが・・・

やっぱり左親指でかける方がいいよなあ
今までこの配置で特に便利だった事ないんですよ。

ピアニッシモキーの側にロックがあると、かけた時にキーが下がったままになるので、親指がキーに触れても「ロックかかってるな」と分かるんですが、ここでロックをかけると、構造上ピアニッシモキーは上がったままなので、かかってるの忘れる事があるんですよね。

昔オケで何の曲だかソロを吹いてた時に、ロックがかかったままなのに気づかず、
かなり高音域まで上がっていって、吹きながらボーカル横のホールが閉まったままになってるのに気付いて焦りまくった事があります
なんでアメリカ人こっち好きかなあ?
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秋の気配?

2013年08月25日 | ファゴット
F君のソルフェを朝から片づけて、午後からファゴット四重奏。
今日はドゥビエンヌの第2番と、時間があったら1番も。
ところが・・・両方やってみると1番の方が難しい
1番はハ長調なのに小賢しい感じというか、2番の方が吹きやすいなあ。
ハ長調の音階がきちんと並ばないのは悔しい
次回は1番メインでやる事にして今日は終了。
皆さん頑張りましょう。

おとといから久々に雨の下関。
でも今日、秋吉台以来で(笑)楽器を組み立てた時に、ジョイントがゆるくなってました。
秋吉台の湿気が抜けただけ?それとも静かに秋が?
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忙しい一日

2013年08月11日 | ファゴット
今日の朝はF君のソルフェージュからスタート。
毎回いろんな拍子の曲を入れて書いてますが、随分読めるようになって来たなあ。
最近はアルト、ト音に加え、しれっとヘ音記号を混ぜたりしてますが意外と読んでるよ
この調子で頑張りましょう。

昼からは弦楽器とのカルテット。
お題はドゥビエンヌのファゴットカルテット第2番ヘ長調。
有名な第1番は、今まで何度か本番で演奏する機会があったけど、2番は最近初めてやったんですよ。
これがねえ・・・いい曲なんですよもっと演奏されるべき。
第1楽章を吹いてる時に、自分の心の中のなんだかどんよりしてた部分が、パーッと晴れていくような不思議な感触がありました。
最後のヴァリエーションも楽しいし。Var.3はF君よろしくね


そして夕方はH先生と秋吉台の伴奏合わせ。あさって出発なので、下関での最後の合わせです。
さすが先生やる度に上手くなってるんだよなあ
秋吉台の本番が楽しみになってきたよ。
そういえばH先生このブログに触発されて、自分も秘かにブログを始めたらしい。
今から探してみよう。今日は写真も撮られたしな


追記:発見。ブックマークに入れました
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