じじい、無駄な抵抗はよせ!

無駄な抵抗はよせ! 
だが、一度きりの人生じゃ
映画のタイトルに触発されて、じじいの抵抗はいかに??

東京裁判という映画

2019-10-28 08:57:25 | じじいの映画鑑賞
(長文です、お覚悟を!)
今「東京裁判」とう映画が上映されている。上映時間は
277分。個人記録では「人間の条件」に続く長さ。
昔は3時間以上の映画は、上映の中に「休憩」が入った。
(長い映画を数本/ウエストサイド物語、ベンハー、風
と供に去りぬ、ジャイアンツ、地獄の黙示録、ワンス・
アポンナタイム・インアメリカ、そして、アラビアのロ
レンスなど)世の中、余裕があったのか。

東京裁判はドキュメンタリー映画だ。
実際の裁判の画像を基に、太平洋戦争以外の戦争映像も
使われ、20世紀に起こった革命や戦争映像で綴られて
いる。もう目にする機会は無いと思ったので出かけた。
グアムやサイパン、テニアンは激戦地。比国のバターン
やネグロス島では多くの日本人が亡くなった。そういう
先人達の生命の礎の上に自分たちの今日、生かされてい
る。
だから、個人的に、何故に日本が太平洋戦争に入って行
ったのか非常に興味をもっている。私の周りにも、私の
母を初め、辛い戦争経験者がまだ生残っている。子供時
代に母から聞かされる戦争体験(満州国の引き上げ者)
は生々しく、聞くに堪え難いものだった。60年代、キ
ューバ危機の時には、本当に核戦争になるのではないか
と子供ながらに本当に心配したものだった。
何故に多くの国民を犠牲にする戦争へ入っていったのか
知っておく必要がある。

東京裁判以外に、最近極秘文書が期限開示されて、知り
得なかった軍事文書・映像等から、あらためて知らされ
る事実には驚くことの多い今日だ。
そして、何故に日本は戦争へと突き進んでいったのだろ
うか?
この映画には、その理由などは少ししか語られていない。
また、映像は実際のものであるが、映画の構成・解釈は
日本人によるものである。そして、裁判は、日本人とし
て見る限りは、一方的に裁かれた、という纏め方になっ
ている。

また、GHQが戦争を終結させ、日本を自由主義圏の防
波堤として残すには、天皇陛下を罪人として扱うことを
避ける方が都合が良く、共産圏が次第に力を付けて行く
中で裁判を利用したとも言えるかも知れない。

だいぶ前にハワイに行った。遊びに行ったのだが、どう
してもアリゾナ記念館、戦艦ミズーリを実際に自分の目
で見たかった。アリゾナはハワイ湾に沈んだまま保存さ
れている。ミズーリ号では、日本の無条件降伏文書に調
印が行われた。
ノースショアにサーファー見物に行くという友人は、そ
んなものを見たくないと言った。戦争の事実を知ってお
くことは平和ボケの日本人に必要なことと考えている。
そういう意味で、映画・東京裁判は貴重な記録映画であ
ると思う。

少し前から、日本軍のアジア、中国進出の記録を読んで
いる。東京裁判でもそうだが、20世紀に入った頃から
世界中で起きた紛争、革命、戦争などは、それぞれに無
関係ではないのだ。日本国内の最後の内戦・戊辰戦争も
海外の紛争、戦争とは無関係ではない。清国が欧米人の
草刈場となっていた時代、どうすれば外国の侵略を受け
ずに済むか明治政府は考えたのだ。そして、明治政府は
富国強兵策をとった。政府と軍部の主導は薩長に牛耳ら
れのだが、日本国は、日露戦争、日清戦争、満州事変、
太平洋戦争と息をつく間もなく歴史を重ねて行くことに
なるのだった。

明治維新の内戦に乗じて欧米に支那化されなかったのは
何故なのだろうか。昨年、民友新聞に明治維新の特集が
組まれた。私淑する半藤一利翁の寄稿も興味深い。
日本はアジアに進出する欧米と対峙せざるを得なかった
のではないか。軍部が力を強めた理由、支那へ出て行っ
た理由、ロシアと戦わなければならなかった理由は何だ
たたのだろうか。

映画の本題に入る。
ポツダム宣言を受け、無条件降伏をした日本人がその戦
争に犯した犯罪の中で、A平和に対する罪、B通常の戦
争に対する罪、C人道に対する罪を軍事裁判で裁かれた。
その内、「平和の罪」で訴追された戦犯がA級戦犯であ
るり、Aを裁いた極東軍事裁判所が東京裁判である。
岸信介や笹川良一などもA容疑で巣鴨に拘留されたが訴
追はされていない。

裁判の生の映像から垣間見る人物像は興味深い。人間性、
軍人・武人であろうと努める人、仲間擁護の立場から、
何も自分自身の弁論をしない人など、興味深い。
そして、裁判に開始当初、冒頭の検察官、弁護人の応酬
は新しく知る東京裁判の性格だった。

それは、「戦勝国の軍事法廷で敗戦国の戦犯を裁くこと
ができるのか」という事が議論された。日本人が犯した
戦争行為が犯罪として扱われ、例えば、米国が投じた原
爆は犯罪にならないのかということ等だ。弁護人(米国
人)は原爆投下の事実、実施者、命令者を「私は知って
いる」「彼らは何故に裁かれないのか」と熱弁を振るう。
映画では、数字を公表していないが、ハワイ真珠湾攻撃
で死んだ米兵は2300人前後であり、広島・長崎に投
下された原爆による民間人の死亡者は9万と6万人であ
る。死亡者の数でその行為の善悪と是非を比較するべき
ではないが、事実なのだ。ハワイで奇襲攻撃を受けた軍
人死亡と、無防備の日本の民間人が殺された事実がある。
実際の裁判は膨大な資料の審議を昭和21年5月から昭
和23年11月まで行われた。誰がどのような判決を受
けたかは記述しないが、戦後75年も経っても戦争は終
わっていないと思っている。世界の情勢を見る限り、あ
らゆる戦争の事実が今日まで引きずっている。

自分としては、支那で関東軍は政府の決断を無視して暴
走したと思っている。天才・石原莞爾が描いた王道楽土
構想。中国の国内事情、それを利用しようとした中国の
駐留軍であった関東軍は謀略に走り、日本国の国軍が引
き返せない状態へ仕向けてしまったようだ。しかし、こ
の東京裁判では、満州事変の首謀者でありながら、東条
英機から軍部を追われてしまったという立場から訴追さ
れてはいない。

中国、東南アジアへの日本軍の侵攻は欧米に遅れを取ら
ぬよう暴走したと考えている。それは欧米の経済封鎖で
困窮した日本が、欧米のアジア侵略に危機感を感じて、
一部の日本人の扇動によって全面戦争に突入してしまっ
たと思える。日本軍の侵攻を正当だとは言わないが、ネ
ズミが大国に囲まれて抵抗したのではないか、とも考え
ている。アヘン戦争で中国を植民地化した英国、インド
も同様に英国は世界中をコロニーにしている。古くはス
ペインもそうだ。フランス、ドイツもアジア進出した。
インド、香港、マカオ、フィリピンはつい最近まで欧米
に食い物にされた国々である。

戦争はは終わっていないと書いたが、人類は今日でも同
じようなことを繰り返し続けている。
湾岸戦争でフセインが裁かれて殺された。クウェートに
侵攻したフセインにも理由があったようだ。サウジ政府
がトルコで記者を殺害したがうやむやに。北朝鮮元首が
兄を他国で殺すも、東南アジアでは主権を侵されたのに
協力者を無罪放免にした。ロシアはウクライナの一部を
武力で併合した。そんなロシアは信用できない。山口に
やって来るときに、さも返しそうな雰囲気で舞い上がっ
た首相が居た。北方四島のうち二島も返さないそんな、
国と交渉を続けて行かなければならない日本である。
この映画は70年前の映画である。しかし、かえりみる
と何も人類は学んでいないし、過ちを繰り返している。

香港は未だに返還後の後遺症の火種でくすぶっている。
テレビでそういう状態をある言葉で表現していた。
「昨日のモンゴル、今日の香港、明日の台湾」と。経済
力を付けた中国がやりたい放題にその威力を広げている。
東シナ海にとどまらず、経済力に物言わせ、貸金で途上
国を締め上げ、世界中に中国の飛地を作っている。さす
がにアフリカのいくつかの国は中国と距離を置き始めて
いるようだが、それでも既得事実を作りまくっている中
国は絶対に注意しなければならない。

ワールドカップラグビーで日本中が沸きかえった。自分
も含めて、このスポーツのルールを知らない国全体が勝
利を喜んだ。しかし、少し冷めて目でみると、英国連邦
の国の殆どが強い国として残った。何故に一国に多数の
チームの参加が許されるのか不思議なワールドカップで
ある。
そして、その強い国は大英帝国の植民地であった国ばか
りである。もう忘れかけている人もいるかも知れないが
女の鉄血宰相サッチャーが仕掛けたフォークランド紛争
やIRAの紛争は民族紛争である。英国が良い加減で国
境を決めてしまった事で中東紛争は終わらずエライ迷惑
を世界中に残したままである。
映画は太平洋戦争の戦争犯罪人を裁いた内容であるが、
未だに解決できないその核心「火種」を記録した内容で
ある

本日は新天皇陛下即位した記念日・祝日である。

そんな日に東京裁判という映画について書いてみた。


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