14年間お世話になった短歌の先生、角宮悦子さん。
昨年3月22日、天に召されました。
3月3日に生まれ、80年間の生を全うして逝かれました。
たくさんの心の叫びとも、ささやきとも言える歌を残して。
仲良しの住正代さんとのツーショット。左が角宮さん。
刃を当てるごとく触れ来る一枚の手にししむらは統べられてゐる
ぞくっとするようなエロチィシズムを感じます。
最期は、ご夫君の腕の中で息をひきとられたと聞いています。
結婚生活は幸せだったんだと思います。
母の血を引く血この世に捨ててゆく再び人に生まれたくなし
お母さんとの確執に、最後まで悩んでおられました。
お母さんにもお母さんなりの苦労があおりだったと思うのですが、
潔癖な悦子さんは許せなかったんでしょう。
最後の生活の場所、横浜の桜木町で17人の参加でした。
本当に、歌に生き、歌を愛した人でした。
わたしたちに、「歌を手放しちゃいけませんよ」
といつも言っておられました。
残された私たち、それぞれに新しい道を
歩んでいます。
「はな」最終号・183号のわたしの歌です。
「はな」とわたしと
十四年欠かさず続け来たりしが「はな」への投稿これにて終ふ
鋭角の人と思へり横浜に初めて会ひし角宮悦子
つとぬとり、なり、らむ、ごとし、久々に学び直しぬ文語文法
たくさんの歌の心に魅せられて書かせてもらへり「うたへの想い」
道端に咲く花見れば「はな」のこと思ひ出すだらう幾たびもなほ
ただいちど上大岡のマンションへ行きたり歌集の校正のため
やはらかなスフレケーキを孫のため持たせてくれぬ角宮さんは
さう言へば今年は年賀の返信のなかつたことを疑ひもせず
お別れのやうな手紙を会員のひとりひとりに書きしのち逝く
夏雲は陽に輝いてさやうなら角宮悦子また会ひませう
角宮さん、空から見ていて
くださいましたか?