爪楊枝を2本ご用意ください。
その爪楊枝をピタッと2本並べてずれないように保持してください。
その2本の爪楊枝のとがった部分である先端を、ご自分の人差し指の指先部分(指紋のある部分=指腹)に軽く押し当ててみてください。
「2本触れている」ということが、(かろうじて)分かると思います。
お歳を重ねていくと、また糖尿病などを長く患っていらっしゃる人ですと、分かりにくいかも知れません。
「2本触れている」というのが分かった人は、次に同じ様にその2本の先端を、肘から手首の間(この部分を「前腕」といいます)にそっと押し当ててみてください。
ここでは、「2本触れている」ということが分からないはずです。 もちろん、自分自身で2本の先端で触れる、ということを理解していますので「分かった気」になってしまいます(^-^;
もし今、そばにどなたかいらっしゃるのでしたら、「感覚のテストだよ」とお伝えして、指先(指腹)と前腕の2ヶ所で試してみてください。
これは、リハビリの検査にもある「2点識別検査」と言います(ちなみに爪楊枝ではやりません)。
人の体には、触れた物が何であるか、いくつあるか、どんな圧か、どんな硬さか、どんな温度か、などを感知するセンサー(受容器)があります。
この受容器は、全身に張り巡らされています。 体に異常がないか、危険な状態に陥っていないか、など、全身の情報を脳に送っています。
この受容器は、体の部位によって密度が違います。
「指先」「唇」といった、物をつかみ、口に持っていき、食べる、という赤ちゃんにも必要な、「生きるための行為」を行う部位には非常に密集して存在します。 したがって2点識別検査の正常値として、指先は3~4mm、口唇は6~7mmと報告されています。 爪楊枝を2本並べた状態での先端の距離は約3mmですので、正常な状態であれば指先でかろうじて知覚できます(できなくても「異常=問題!」ではありませんのでご心配なく (^-^; )。
それとは逆に、前腕部、背中など、生きるために優先して必要な行為をする場所ではない部分には、受容器は密集していません。 必要がないからです。
前腕では37~39mm、背中にいたっては40mmといわれています。 したがって、この様な部位で爪楊枝2本分の識別は困難となります。
背中にいたっては、指を2本並べても分かりません(^-^;
指先の感覚受容器のセンサー機能や、その感覚を脳に伝える末梢神経の機能は、お歳とともにどうしても低下していきます。 これもいわゆる「正常な変化」です^-^
ただし、「糖尿病」や、頸椎の病気やケガなどの「頸椎症」など、手や指などに伸びる感覚神経に影響を与える様な病気がありますと、お若い人でも感覚が鈍くなることがあります。
・本をめくる時、指先に当たる紙の感覚が分かりにくくなった
・物をつかんている時、昔よりも触れてる感じが鈍い気がする
・手で物をつかんでいるのに、不意に落とすことが増えてきた
こんなことを、最近感じることがおありでしたら、一度爪楊枝で簡単に検査してみてください^-^ (あくまでも簡易検査です)
糖尿病や頸椎症などの病気がもともとない、という人でしたら、いわゆる加齢にともなう機能低下かも知れませんですね。
その場合は、逆にこの様な「指先」で物の形状などの感覚を見分ける「ゲーム」的なことを繰り返してみてもよいと思います。
例えば、2~3本の鍵を用意して、目を閉じて、その鍵の鍵山を指で触れてみます。 その鍵がどこの扉の鍵なのかが分かる様になる、といった簡単なトレーニングも有効かも知れませんですね^-^
「点字を覚える」というのも、頭の体操にもなりそうですし、今後は視覚障害を持つ人へのサポートにも役立つかもしれませんね。